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2022年08月05日

中国・主要検索エンジン【2022】
~独自に発達する中国検索エンジン市場を知る~

china search engin 2022 KV

世界ではGoogleが検索エンジン市場を独占している一方、中国では、デジタル事情は大きく異なります。これには、中国政府が実施する「グレートファイアウォール」というネット検閲システムが大きく関わっており、中国政府主導の情報規制のため、海外のネットワークに安易に接続することはできません。

中国では、海外で人気のGoogleやYahoo!といったメジャーな検索エンジンの利用はできず、代わりに、中国独自の検索エンジンやSNSが独自のデジタル市場が形成されています。

世界の巨大市場と呼ばれる中国において大きな成功を勝ち取るためには、日本国内およびその他海外でのマーケティング戦略を適用するだけでは不十分です。中国国民の情報の核となる中国検索エンジン事情を熟知したうえで、最適なタッチポイントを構築することが重要です。

2023年に入り、規制緩和により訪日中国人観光客は徐々に増加いることに加え、2023年8月には約3年半ぶりに団体旅行が解禁したことで、今後、中国人観光客の急激な増加が見込まれています。このような状況の中で、今後、中国人に向けたプロモーションをご検討されている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回の記事は、国内唯一5年連続、Baidu 優秀代理店に選出されたこともあるインフォキュービック・ジャパンが、中国向けデジタル戦略を考える際に必須になるであろう、中国の主要検索エンジン事情を詳しくご紹介していきます!

 

中国検索エンジン市場シェア、2023

2023年11月時点の世界の検索エンジンシェア率は、以下のようになりました。

2023年11月中国検索エンジン占有率
<Statcounter_Search Engine Market Share China>

  1. Baidu:68.52%
  2. Bing:11.5%
  3. Haosou:5.89%
  4. Sogou:4.8%
  5. Yandex:3.17%
  6. Other:6.11%

中国ではデバイスによって利用されている検索エンジンが大きく異なります。
以下は、デスクトップとモバイル別の検索エンジンのシェア率を見ていきましょう。

中国検索エンジン、デスクトップシェア率

  1. Baidu:41.13%
  2. Bing:30.64%
  3. Haosou:14.46%
  4. Sogou:6.36%
  5. Google:4.81%

2023年11月中国検索エンジンデスクトップシェア率

 

中国検索エンジン、モバイルシェア率

以下は、2023年11月時点のモバイルにおける検索エンジンのシェア率です。

  1. Baidu:79.9%
  2. Sogou:4.18%
  3. Yandex:3.77%
  4. Shenma:3.54%
  5. Bing:3.47%
  6. その他:5.15%

2023年11月中国検索エンジンモバイルシェア率

このように、デスクトップ・モバイル共に「Baidu」が圧倒的に人気ではあるものの、デスクトップでは57%、モバイルは94%と、デバイスによってシェア率が大きく異なります。次に中国のデバイスのシェア率を見てみましょう。

中国検索エンジン、モバイルシェア率

  1. モバイル:61.56%
  2. デスクトップ:37.2%
  3. タブレット:1.24%

2023年11月中国デバイス別シェア率

時期によってデータが乱高下するものの、基本的に中国でもデバイス別に利用率は大きな差が生じています。2023年11月時点でモバイル利用率は61.56%を超え、デスクトップ利用率は37.2%となっています。

 

中国人気の検索エンジン、5選【2022】

check Baidu / 百度

中国の検索エンジンで、84%(2022年3月時点)のシェアを誇る「百度/Baidu」です。2001年にサービスが開始された後、徐々に人気を獲得し、現在は中国検索エンジン市場で長年不動の”1位”を築いています。百度はいくつかの点でその他の検索エンジンとは異なる特徴が見られます。

Baiduは検索したキーワードに関連する情報を幅広く提供しています。検索したキーワードに関連するであろうページが大量に表示されるため、そこから徐々にテーマやキーワードを絞り、最終的に自分が最も求めるサイトにたどり着くという使い方が可能です。

2つ目は、百度は情報を提供するだけでなく、実際のサービスにつなぐことに重点を置いている点です。具体的には、例えば「バスの予約を取りたい」と考えた場合、Google検索では、「バス会社のウェブサイト」にたどり着くことができるように設計されていますが、百度では少しでも速くサービスの獲得にたどり着くことができるように、「購入・決済ページ」をダイレクトに提供する仕組みになっています。Baiduでのオーガニック検索を獲得するためには、これらの情報を始めとした、Baiduに適したウェブサイト作成とSEO対策が重要になってきます。

このSEO対策もBaidu独特で、Baiduでは中国語の簡体字を使用しているサイトのみをインデックスしており、中国語のウェブサイトがないと表示すらされません。画像AIが採用されているため、画像のAltテキスト・メタデータが重要であったり、JavaScriptがうまく機能しないため、HTMLである必要があるなど、Google SEOとは異なる独自の対応が必要となってきます。また、中国語のサーバーでホストされているウェブサイトが最優先されるので、プロバイダーライセンスを取得する必要などもあります。

 

check Bing

GoogleやYahoo!へのアクセス制限がある中、中国で利用できる数少ないアメリカ発の検索エンジンが、マイクロソフト社が提供する検索エンジン「Bing」です。(最近までLinkedInも中国で使えていたりと、マイクロソフトが頑張っています。)

2019年1月に中国でのBingの利用が一時停止されたり、2022年にも自動提案機能の推奨アルゴリズム機能が停止されたりしたこともあり、中国国内でBingへのアクセスが制限されたのかと世界を驚かせましたが、現在では以前と同様に利用することができています。Bingにもその他の中国検索エンジンと同様に情報へのアクセス制限がかかっていますが、中国では、海外発の貴重な検索エンジンの1つとして認識されています。

 

check Sogou / 搜狗搜索

「Sogou / 搜狗搜索」は、短期間で中国上位の検索エンジンの仲間入りを果たした、興味深い歴史を持つ検索エンジンです。Sogou攻略の鍵は、中国で大人気のアプリ「Wechat」です。と、言うのも2021年SogouはTencentに買収され完全子会社となり、Tencentが提供している中国主要アプリである「WeChat・QQ Browser・QQ Messenger」のデフォルトの検索エンジンになっています

そのため、最新情報がネットではなくWechat上で発信されることも多い中国では、Sogouを利用することでWeChat内の最新コンテンツに容易にアクセスできることから、特にWeChatユーザーの中で人気が高まっています。WeChat内の情報を検索したい中国人が積極的に活用している検索エンジンといわれています。また、ウェブサイトのホームにQLコードがついており、自動的にアプリページへと飛べる変わった構造になっているのも、Sogou独特の機能です。

Sogouの検索エンジンアルゴリズムは、コンテンツのオリジナリティに高い価値を置いています。また、Baiduと同じように、中国語の簡体字を使用しているサイト・中国サーバーを利用しているサイトを最優先にします。

 

check Shenma / 神马

近年中国で人気になりつつある検索エンジンが「神马」です。中国の電子商取引大手「アリババ」と中国のモバイルブラウザ「UC優視」が連携し、2014年にサービスを開始した比較的新しい検索エンジンです。Shenmaは、GoogleとBaiduの特徴をうまく取り入れながらも、中国における最新のインターネット事情や、中国国民の生活習慣などを考慮した上で設計された、新しいタイプの検索エンジンとして注目を集めています。

特に特徴的なのは、今後パソコンでの検索よりも「モバイル検索」が主となることを見越し、モバイル専門でサービスを提供しているという点です。検索エンジンとアプリストアを組み合わせたような仕組みを構築し、商品ページへの直接リンクなどを含めることができるようになっています。

今後、中国国民のモバイル端末利用がより一般化するにつれ、Shenmaがさらに大きなシェアを獲得するだろうと予想されています。

ShenmaはタオバオやTmallに掲載されている商品を優先的に表示される仕組みになっており、効果的に活用するためには、Shenma独自のモバイルSEO対策が非常に重要になることはいうまでもありません。

 

check Haosou / 360

Haosouは、2012年にサービスが開始された中国の検索エンジンです。百度と比較するとシェア率は低いですが、特定のユーザーたちから信頼を勝ち得ており、根強い人気を誇っています。

Haosouは中国国内で絶大なる人気を誇るアンチウイルスソフトを提供する会社であったため、情報セキュリティは他の検索エンジンよりも優れているといわれています。

中国ユーザーのHaosouブランドへのイメージは、「安全・頼りになる・プロフェッショナル」などが真っ先に挙げられ、中国では、「個人で気軽に利用できる百度」と「企業等でも安心して利用できるHaosou」というような使い分けがされています。また、中国人は情報リテラシー・情報セキュリティに敏感で、特に東海岸の大都市を中心にした裕福層および中間層の人々に人気のある検索エンジンです。

サイバーセキュリティ重視の傾向はHaosouのアルゴリズムにも反映されているようで、権威・信頼性の高いサイトが上位表示される傾向があると言われています。また、Haosouは競合が少ないため、他の媒体と比較しても有料広告のクリック単価が低くなる傾向にあるのもポイントの1つとなります。

今後も中国政府は「グレートファイアウォール」を進めていくと考えられるため、中国国内で確実な成果を残していくためにはHaosouの活用が重要な観点といえるでしょう。

 

さいごに

中国の検索エンジンは独特の進化を遂げているとともに、現在中国には、各産業で世界が注目する巨大市場が広がっています。中国をターゲットに海外マーケティングを進める際には、中国に適したマーケティング戦略を練る必要があるでしょう

中国市場では言語やグレートファイヤーウォール、運営方法など課題が多いのも事実です。一方で、約10億人以上のインターネットユーザーにアプローチできる市場があることも事実です。「自社に中国人スタッフはいないけど、マーケティングで中国市場を狙いたい」とお考えでしたら、ぜひ私たちにお申し付けください。

ホワイトペーパー_厳選!お客様事例集

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。