海外SNSマーケティング成功のヒント
~海外SNSマーケティングを成功に導く基礎知識や注意点~
世界中でのネットインフラの整備や低コスト化が進むに伴い、人々のインターネットに接する時間が飛躍的に増加するしています。その中でも大きな割合を占めるのが、「SNS・ソーシャルメディア」です。
現在、世界中で毎月41億人以上がソーシャルメディアを活用し、「ユーザーの目覚めている生活時間の15%をソーシャルメディアプラットフォームで時間を過ごしている」なんて驚くべきデータも出ています。(Global Web Indexより)
このような時代の流れのなか、世界中の多くの企業はSNS公式アカウントを開設し、SNSマーケティングに乗り出しています。しかしながら、SNSマーケティングを熟知しないまま、プロジェクトを計画し、SNSの運用を開始している担当者様も(実は)多いのではないでしょうか?
当たり前のことですが、世界中でこれだけ普及しているSNSを活用したマーケティング戦略は、世界中の多くの企業が実施しており、既に「レッドオーシャン」。そんな中、戦略を持って運用しないと、進むべき方向を間違えたり、目標達成にもの凄く時間がかかってしまったり、そもそも目標達成が困難になってしまう可能性も高くなってしまいます。
そこで今回は、海外市場攻略の第一歩である、海外SNSマーケティングに取り組む前に知っておきたい基本知識から成功に導くヒント・注意点などを、最新のSNSユーザーデータを元に解説していきます。「これから海外を目指す」「まずはSNS運用から」と、ご検討のマーケターの方、必見です!
目次
- 1.なぜ、日本企業は海外進出を目指す必要があるのか?
- 2.2023年「世界のSNS利用者データ」
- 3.海外SNSマーケティングとは?
- 4.海外SNSマーケティング、3つの戦略
- 5.海外SNSマーケティングで期待できる効果
- 6.海外SNSマーケ担当者が直面する課題
- 7.さいごに
なぜ、日本企業は海外進出を目指す必要があるのか?
少子化 × 高齢化が加速し「市場規模が大幅に縮小」
2020年の内閣府の発表によると、2019年時点で1.26億人であった国内人口がは10年で1.2億人を下回り、2065年には4600万人減少し、8000万人になるとまで言われています。
<United Nationのデータを元に、インフォキュービック・ジャパンにて作成_日本の人口推移1950年~2020年>
しかも、人口が減少するなかで65歳以上の層が増加を続け、43年後の2065年には人口の38%が65歳以上となり「2.6人に1人が65歳、3.9人に1人が75歳以上になる」と予想されています。(汗)これは、「日本国内において商品を購入するユーザー数が確実に減少する」ことを意味しています。一方、世界人口の推移はどうでしょうか?
<United Nationのデータからインフォキュービック・ジャパンにて作成>
上記図からもわかるように、これから購買力を持ち、経済を支えていくであろう若者層の人口が多く、日本の1950年代のカタチと酷似しています。
世界人口比率を見てみると、2019年時点で77億人だった人口は、2030年には85億人、2050年には97億人に到達することが推測されています。特に東南アジア諸国・アフリカ諸国・米国においては、堅実な人口増加が見込まれており、これはシンプルに「商品を購入するユーザー数の増加」を意味し、日本市場の縮小傾向と真逆の推移であることがわかります。
変化した「購買行動」
注目すべきポイントの1つとして、このデジタル化の拡大はBtoC・EC業者だけに特化したことではなく、「BtoBビジネス」においても同様の傾向を見せています。Mckinsey&Companyの購買行動調査では、今回のコロナの影響によってBtoB購買担当者の80%がコロナ終息後も「対面販売に戻ることはない」と回答しており、BtoB購買プロセスも大きく変化していることが伺えます。
現在の国内の現状や、加速するデジタル化・変化したユーザーの購買行動などを考慮しても、ソーシャルメディアを活用した海外向けマーケティング施策は、日本企業の生き残りをかけた必須施策の1つとなる可能性があると言っても過言ではありません。
拡大するソーシャルコマース
2020年から発生した新型コロナウィルスの感染拡大防止のための外出制限などによって、世界中でデジタル化、特にEC化が進みました。
日本国内におけるEC市場では、2021年に経済産業省が発表した国内市場調査では、2020年は対前年比で物販系分野が約21%、デジタル系分野では約14%の増加率となっています。また、世界規模でも同様のことが起きており、2020年におけるEC化率は対前年比約28%も伸長しています。
<Mckinsey Quarterly _US EC penetration >
世界のEコマース業界は、「パンデミック発生後のたった数か月で、10年分加速した」と言われるほど急加速しました。そのため、ブランドのデジタル戦略・ビジネスの拡大・消費者の購買行動などの全てのプロセスにおいて、デジタル革命が起きるとともに、「顧客の意思決定・行動・消費に対する価値観」といった顧客像においても大きな変化が生まれました。
それに付随して、各プラットフォームが力を入れているのが、SNSからダイレクトに購買が出来る「ショッピング機能」です。主要SNSが次々に機能を実装し、近年さらに機能の拡張を進めています。これは、コロナの影響によって今までネットショッピングを利用してこなかった年代が初めてネットショップを利用し始めるなど、ソーシャルコマースの利用拡大を後押しする形となりました。
2022年、米国におけるソーシャルコマースの売上げ高は、約5兆円規模でしたが、2025年までに8兆円規模にまで拡大すると予測されています。(Statista)
では、2023年最新の海外におけるソーシャルメディアのユーザー数をみていきましょう。
2023年「世界のSNS利用者データ」
では、実際に世界にはどれほどのソーシャルメディアユーザーが存在するのでしょうか?詳しくみていきましょう。
世界のソーシャルメディア「ユーザー数」
<Hootsuite_We are social 2023>
- 1位:Facebook 29.58億人
- 2位:YouTube 25.14億人
- 3位:WhatsApp 20億人
- 4位:Instagram 20億人
- 5位:WeChat 13.09億人
- 6位:TikTok 10.51億人
- 7位:Facebook Messenger 9.31億人
- 8位:Douyin 7.15億人
- 9位:Telegram 7億人
- 10位:Snapchat 6.35億人
- 11位:Kuaishou 6.26億人
- 12位:Weibo 5.84億人
2023年に最も多くユーザーを獲得したプラットフォームはInstagramでした。また、ユーザー数が最も多いFacebookは、既に現在の全世界人口の約40%近くをカバーしており、Facebook・Instagram(Meta)は海外において主要なSNSプラットフォームであることは言うまでもありません。
ソーシャルメディア上で過ごす「時間」
Android端末を対象とし、「1か月に各ソーシャルメディア上で過ごす累計時間」を調査した結果、次の通りでした。
<Hootsuite We are Social 2023>
- 1位:YouTube 23.9時間
- 2位:Facebook 19.43時間
- 3位:TikTok 23.28時間
- 4位:WhatsApp 17.20時間
- 5位:LINE 10.59時間
- 6位:Instagram 12時間
- 7位:Twitter 5.28時間
- 8位:Facebook Messenger 3.07時間
- 9位:Snapchat 3.10時間
- 10位:Telegram 3.57時間
YouTubeはその他のSNSプラットフォームを抜き、最も長時間利用されています。しかし、2022年と比較してもっとも利用時間を伸ばしたのは、19時間から23時間へと大ジャンプした「TikTok」でした。そのほかのプラットフォームが微増であったなか、4時間も利用時間を伸ばしたTikTokは、世界中の若者に人気のSNSです。
また、YouTubeは「動画の視聴」が主体となる媒体であるため、必然的に滞在する累計時間が長くなる傾向にあります。また、ユーザーの興味関心・行動を分析し、ユーザーの興味関心に沿ったおすすめ動画を推奨する「高度なアルゴリズム」により、「1度見始めると止まらない仕組」が構築されています。YouTubeは、ユーザーを惹きつけることができる優れたプラットフォームです。一方で Twitter の利用時間は、FacebookやInstagramなどと比較すると、半分以下という結果になりました。
「企業・ブランド」を調べる際に利用するチャンネル
16歳から64歳までのインターネットユーザーを対象に、ソーシャルメディア上で「企業やブランド」に関する情報を調べる際に利用するソーシャルメディアチャネルを調査した結果は次の通りとなりました。
<Hootsuite We are Social 2023>
- 1位:82.7% 「少なくとも8個以上のプラットフォームを利用」
- 2位:60.9% 「Instagram」
- 3位:38.1% 「Facebook Messenger」
- 4位:17.2% 「Pinterest」
- 5位:37.9% 「Twitter」
- 6位:37.5% 「TikTok」
- 7位:30.6% 「Reddit」
- 8位:27.1% 「LinkedIn」
特定のチャンネルではなく複数のSNSを横断的に活用するという傾向が最も多く、80%を超えていることがわかります。加えて、InstagramやPinterestなど視認性の高いプラットフォームがランクインしている傾向が見てとれます。
海外向けSNSマーケティングとは?
SNSマーケティングとは、自社のターゲットとなるユーザーに最適なソーシャルメディアチャネルを活用して、ブランドや製品、企業文化・価値観などを伝え、最終的には製品やサービスの購買や新規顧客の獲得などの企業目標へと繋げるマーケティング施策です。企業のマーケティング活動の一環として、海外ユーザーに向けてSNSを活用していくことを海外SNSマーケティングと呼びます。2023年現在、全世界のソーシャルメディアユーザーは47億6000万人に達しており、ユーザー数はたった10年で3倍以上にまで拡大しており、非常に高い成長率が続いています。
ユーザーとの接点が「デジタル上」へ移行している現在におけるソーシャルメディアは、企業にとって、ユーザーとの深い繋がりを構築するための重要なタッチポイントの1つとなっています。
ソーシャルメディア上でブランドに対するポジティブな体験をしたユーザーの71%は、そのブランドや製品を友人や家族に進める可能性が高く、海外向けビジネス戦略として「ソーシャルメディアを活用することは海外戦略において避けては通れない施策の1つと言えるでしょう。
世代別のソーシャルメディアユーザーの利用率は以下の通りです。
- ミレニアル世代(1981~2000年初頭):90.4%
- ジェネレーションX(1965~1980年):77.5%
- ベビーブーマー(1946~1964年):48.2%
年齢層が低くなるほど、ソーシャルメディアの利用率が高くなる傾向が顕著にみられ、ミレニアル世代より若い世代では、生まれた時からスマホが傍にある生活を送っています。そのためインターネットは生活インフラの一部であり、「デジタルネイティブ」と言われています。
海外SNSマーケティング、3つの戦略
では、ソーシャルメディアを使った具体的な施策はどのようなものなのでしょうか?
① SNSアカウントの運用
海外進出する企業が、現地のユーザーに対してブランドや製品に対する認知を形成し、定着させるために、まずSNSアカウントを開設し継続的に運用することが最も一般的な施策です。
上述のように、海外におけるインターネットユーザーの76%以上は「企業・ブランド」を調べる際に、SNS上にあるコンテンツを頼りに情報を取得します。テキストだけでなく画像、動画によるコンテンツを制作し投稿することでその商品が何であるかの理解を促進させ、口コミ形成や情報拡散のきっかけを作り出すことができるでしょう。
SNSアカウントを開設する際は、現地においてターゲットとするユーザー間で最も普及しており且つ競合他社が利用しているSNSプラットフォームを優先的に採用します。投稿するコンテンツは、日本とは異なる現地の文化やコンテキスト理解を前提としており、現地で一般的にりようされている「現地語」にも対応している必要があります。そのため、SNSアカウントを運用する担当者は現地で生まれ育ったネイティブスピーカーであることが最も望ましいです。
② SNS広告の活用
SNS広告は有料施策となりますが大きく2つのメリットがあります。一つ目はこれまでリーチできていなかった潜在ユーザーに対してアプローチできることと、二つ目はSNSプラットフォームが持つ広告配信アルゴリズムを活用することで自社がターゲットしたいユーザーに対して、費用対効果の高い効率なアプローチができるという点です。
SNS広告は、これまで自社商品を認知していなかった新規ユーザーへのアプローチや、自社商品を忘れかけていた既存ユーザーに対して、再度認知を図ることも可能です。FacebookやInstagramをはじめとするSNSプラットフォームは、膨大なユーザー数の中で自社がターゲットとするユーザーを「年齢・趣味・嗜好・地域属性などに基づいてセグメント化し、広告配信できる機能を提供しています。
このような機能をしっかりと理解し、効果的に活用することで、広告予算を適切に使用し最適化することが可能です。
③ インフルエンサーマーケティング
市場へ投入して間もない商品はSNSアカウントにおける投稿を通じて認知を広めようとしても、フォロワーが増えない限り、認知拡大や実際の購入へ繋げるには大きなハードルがあります。そこで活用するのがブランド・商品と親和性の高いインフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングです。
インフルエンサーは第三者視点で商品・サービスの解説をすることで、インフルエンサーの熱心なフォロワーに対して、購入を促す効果があります。しかし、製品やサービスとインフルエンサーとのマッチングが悪いと、悪影響を与えるリスクがあることや、エンゲージメントは年々下落しています。
海外SNSマーケティングで期待できる効果とは?
適切な海外SNSマーケティングを実施することで、下記のような多面的なアプローチを実現することができます。
- ブランドの認知向上
- 製品・サービスの販売
- コミュニティの構築
- カスタマーサービス
- ターゲットを絞った費用対効果の高い製品・サービスの宣伝
- ブランドや製品に対する評判を把握
- 市場と顧客に関するインサイトを収集
いくつか具体的に見ていきましょう。
☑ ブランド認知の向上
インターネットユーザーの多くは、ブランドや商品に関する情報を仕入れる際にSNSを活用しています。SNS上で「ハッシュタグ」を使用した検索や自分がフォローしているユーザーからの「口コミ・拡散」をベースに、ブランドに関する認知が自然と派生していきます。結果として、自社SNSアカウントの新たなフォロワーを生み出しブランド認知が少しずつ形成されていきます。
ブランド認知は一朝一夕で劇的に向上させることは難しいため、中長期的な戦略を構築し、ブランド認知を少しずつ拡大することを念頭に置き、コンスタントにコンテンツを投稿していきましょう。
☑ 効果的なブランディング
B2B業界に相性の良いLinkedIn
世界で圧倒的ユーザー数を誇るFacebook
視覚的アプローチに優れたInstagram
テキスト × 拡散力の高いTwitter
画像や動画共有に特化したSnapchat
言論の自由を重視したParler
写真家やグラフィックデザイナーで大人気のFlickr
など、自社の目的に沿ったソーシャルメディアを選択し、ブランディングに重点を置いたコンテンツを投稿することで、ブランドが持つイメージをフォロワーに対して浸透させることが可能となります。
商品が持つ機能や特徴を説明することで、その商品がユーザーに対して何を提供できるのか明確にすることも重要です。SNSでは画像や動画のようなクリエイティブを活用することでブランディングにおいて最も重要な感情面での訴求をうまく実現することができるでしょう。
☑ ターゲットを絞った費用対効果の高い宣伝
前述したように、SNS広告では、非常に高い精度のターゲティングを利用して、的確なユーザーにのみ広告を配信することができます。
ユーザーの性別・居住地・言語などはもちろんのこと、LinkedInでは勤務している業界や役職なども絞った広告配信も可能です。また広告単価も調整することができたり、その日に配信を開始したり、停止したりすることも可能です。
☑ 顧客との関係の強化
企業はSNSを媒介としてフォロワーと関係性を強化することにより、ブランドに対して高い好感度を持つユーザーを増やすことができます。自社商品に関するユーザー投稿を自社SNSアカウントが「いいね!」「シェア」、インセンティブをユーザーに付与することがその例として挙げられます。
SNSを活用することで、企業とユーザーが相互にコミュニケーションを図ることができるようになります。SNSが登場する前は、企業に直接電話をかけたり、ウェブサイトの端にある「お問い合わせフォーム」しかなかったことを考えると、想像もできなかった新しいコミュニケーションツールが登場しました。
SNSを通じたロイヤリティの向上はブランド好感度を上げるだけでなく、ブランドとの長期的な関係性を期待できるため、顧客生涯価値(LTV)を高める効果もあります。
海外SNSマーケティング担当者が直面する課題
ソーシャルメディアユーザーは年々増加傾向にあります。しかし、実は、世界中でこれだけ普及しているSNSは、世界中の多くの企業がSNSを戦略的に活用しており、既に「レッドオーシャン」です。目標を定めて、戦略的に運用していかないと、「効果がイマイチ」という施策になりかねません。
そこで、SNSマーケティングに取り掛かる前に、担当者が直面するであろう課題と「成功へのヒント」をご紹介します。
「目標達成には想像以上に時間がかかる」
「工夫を凝らしたツイート」
「話題のハッシュタグ」
「人々の心に訴えかけるコンテンツ」
早い段階でソーシャルメディアに参入した一握りの企業は、すぐに沢山のフォロワーを獲得できた時代もありました。しかし、先ほども述べたように多くの企業が参入する現在では、競合がひきめき、コンテンツに対するユーザーの目もますます厳しくなっていきます。
そのため、「少量のキラーコンテンツを投稿し、数か月で結果を出す」といったことはほとんどあり得ないと思っておいた方が良いでしょう。実際、SNSマーケティングの効果を実感するまでは、「継続的な努力と試行錯誤の連続」が必要です。
いくら試行錯誤したとしても「1か月で1万人のフォロワーを獲得すること」は、イーロン・マスクでない限り、難しいと認識しておきましょう。(イーロン・マスクは、驚愕の「6か月で550万人以上」のユーザーを獲得)
成功へのヒント:辛抱強く、一貫性を保ちながらSNS運用を続けましょう
SNSマーケティングを成功させるためには長期的な投資が必要です。SNSの戦略案を作り、定期的に見直すことを心掛けましょう。 新しいキャンペンーンがあるときだけ投稿し、それ以外はアカウントを放置するなんてことは厳禁です。
「簡単に売上には繋がらない」
「ソーシャルメディアにコンテンツを投稿し、多くのユーザーとのコミュニティが構築できれば、後はコンバージョンが生まれて売上が上がるはず!」
残念ながら現実はそう甘くありません。魔法のように売り上げに繋がる仕組みはSNSマーケティングだけではなく、どんな施策、どんなチャンネルにも存在しません。それでも、そのような楽天的なことを期待してしまう人や、心のどこかでそう願っているSNS担当者も少なからずいるのではないでしょうか?(…ドキッ)
ソーシャルメディアはユーザーとのコミュニケーション、信頼関係の構築、売上に繋がるリードの獲得など、さまざまな施策が実を結ぶはずです。ただ、SNSマーケティングにおける「ROI」を図ることは単純ではありません。日々淡々とコンテンツを投稿するだけでは、決して大量の利益結び付く施策ではないことを覚えておきましょう。
「ソーシャルメディアを活用して顧客満足度を上げるためには?」という質問は「ソーシャルメディアからいくら売上を稼げるか?」よりずっとシンプルで合理的です。ソーシャルメディアを企業の課題解決と目標を実現するための戦略の一つとして捉えることで、初めてSNSマーケティングの効果を検証できるようになります。SNSマーケティングによって実現できるビジネス目標をいくつか挙げてみました。
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- ウェブサイトの流入を増やす
- リードを獲得する
- 顧客満足度を改善する
- 商品調査や開発のための情報収集
- 競合調査
- ブランド認知を高める
各目標に対する適切な指標を一定期間、観察してみましょう。もし、ビジネスの目標に合わせてソーシャルメディアのゴールを設定できたのであれば、その効果を計測する指標も併せて確認しましょう。
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- 「投稿のシェア数・投稿リンクのクリック数」以外にも「サイトに流入した後のユーザーの離脱率」を確認していますか?
- 「SNSから流入したユーザーの離脱率」と「他のソースから流入したユーザーの離脱率」を比較していますか?
ソーシャルメディアからの流入ユーザーの離脱率の方が低いのであれば、オーディエンスのターゲティングが正しく設定されており、ソーシャルメディアがビジネスに大いに貢献できていると判断してよいでしょう。
「興味・関心を示す人は、思ったほど多くない!」
世界中の全てのユーザーの心を掴むことは不可能です。しかし、実際に担当者が期待を膨らませ、「自分のビジネスが得るべきエンゲージメント数を過大評価してしまう」ということは、しばしばあるのも事実です。SNSマーケティングは長期戦です。一喜一憂せずに、黙々とPDCAを繰り返しましょう。
プラットフォーム上の全ユーザーに対しての投稿ではなく、自社のビジネスにとって重要な人、つまり顧客、見込み客、ブランドのファンにしっかりと焦点を当てましょう。投稿に反応してくれるユーザーを分析し、関係を強化できる施策や、ユーザーが興味を示したコンテンツを増やすことに注力します。まずは「ターゲットとなるユーザーが、SNS上でどんな行動を取っているか」に徹底的にフォーカスしてみましょう。
ユーザーがビジネスアカウントをフォローするということは、貴重な「SNS個人フィード」への入場券を渡すようなものなのです。
- ユーザーにとって価値があり、魅力的な投稿でしょうか?
- ぼんやりとしたビジネスの売り込みになっていませんか?
コンテンツのクオリティーをチェックする簡単な方法は「もし私は一般のユーザーなら、このアカウントをフォローしたいと思いますか?」という質問を常に、毎回問いかけることです。
「 無料で効果を得ることは難しくなってきている」
ソーシャルメディアもかつては黄金時代がありました。かつては広告の力を借りなくても非常に高い効果が得られていた時代がありました。しかし、数え切れないほど数多くのコンテンツが投稿されている現在では「オーガニックリーチ数」は著しく低下しています。
ほとんどのSNSは、非常に高度なアルゴリズムにより、全ての投稿を単にフィードに表示するのではなく、表示させるコンテンツを「選別」しています。したがって、投稿をできるだけ多くのユーザーに届ける一番効果的な方法は、プロモーションやSNS広告に投資することかもしれません。
お金を出して投稿を拡散すること・SNS広告を配信することは、「予算のある大きなブランドしかできない」というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、戦略を持ちターゲティングやキャンペーン設定をしていれば、少額でも驚くべき効果を得られるケースも少なくありません。余裕があればぜひ少額でもいいので試してみてください。
「マーケティングは想像以上に重い仕事です」
SNSマーケティングを成功させることは、想像以上に多くの努力と時間を要するだけではなく、多くのスキルも必要になります。
短期から長期の戦略立案、コピーライティング、編集、適切なデータ分析…
必要なスキルすべてを持ち合わせた担当者が、いれば問題解決!と言いたいところですが、実際のところほとんどの企業は社内でソーシャルメディアチームを立ち上げることは難しく、クリエイティブ制作と戦略立案をできる適任者を1人アサインするだけでも一苦労。さらに、もしもそれがグローバルビジネスのアカウント運用となると、適任者がもっと限られてくるでしょう。
チームにとって「一番重要なソーシャルメディアスキルは何か?」を明確にしましょう。その上で、適任者を探す際や、パートナー会社に仕事を依頼する際に必要とされているスキルをわかりやすく、正確に伝えましょう。
SNSスペシャリストを外部から雇う?あるいは自分がスキルアップする?
どちらを選択するにせよ、ソーシャルメディアに関する知識を身に付ける必要があります。書籍はもちろん、インフォキュービック・ジャパンのブログはソーシャルメディアに関する情報やノウハウを毎月発信していますので、ぜひお手すきの際にチェックしてみてください。
さいごに
購買層が大きく減少していくと予測される日本と比べて、人口増加が予測されている海外市場は、ますますデジタルネイティブの世代が増えると換言できます。今後、海外進出を目指す企業にとって、SNSマーケティングでは必要不可欠な施策の1つです。SNSマーケティングは、プラットフォームの特性をしっかりと理解した活用をすることで、ビジネスを大きく発展させるきっかけを作ることができます。「目標設定、戦略、そして最適なコンテンツ」を踏まえてSNSをマーケティングにフル活用しましょう。
そして、実は日本よりも海外市場の方がSNSマーケティングは大きな効力を発揮しうる可能性を秘めています。もしSNSを活用した効果的な海外マーケティングをご検討でしたら、ぜひ、私たちにお申し付けください。


吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。