海外向けB2Bウェブサイトの基本
~リード獲得のための、13のポイント~
B2B企業における製品の購入まで至るプロセスは、B2Cに比べるとはるかに複雑で時間がかかり、B2Cとは全く違ったプロセスをたどります。またB2B企業の「購入決定」のほとんどがオンライン検索から始まると言われており、優れたウェブサイトは従来の営業活動とマーケティング手法を併用することにより、営業チームの取り組みを「強化すること」も可能です。
今回の記事は、海外でリードを獲得するための「B2Bウェブサイトの基本」をご紹介していきます。
目次
B2B企業における「購買プロセス」
B2B企業の商品購入の決定に至るまでにはそれぞれの担当者が独自の情報を保持し、その情報を元に情報の精査・検討を実施するため、ステークホルダー同士のすり合わせなどが発生します。そのため、B2Bの購買プロセスは、ウェブサイトに訪れた人が購入までを行うB2Cと比較すると、非常に「複雑」になります。
以下は、B2B「購買プロセス」を図式化したものです。問題が顕在化してから購入決定までには直線的な流れではなく、多くの人が介していることがわかります。
<ソース:Smarter With Gartner ‐ A Long,Hard Slog>
B2B購買における「6つのプロセス」
バイヤーイネーブルメントで整理しよう
世界中でデジタル化が加速しているなかで、企業が単に”ウェブサイトを持っているだけ”では、その存在価値は限りなく低くなってしまいます。実際、多くのB2B企業のウェブサイトで、更新が滞っていたり、モバイル最適化されておらず、正しく表示出来ていない企業ウェブサイトは多く見受けられます。
インターネット環境が整い、パソコンやスマートフォンの所有率が高くなった現代では、ほとんどのユーザーは、「検索」を行って情報収集をしています。しかし、古くなってしまったウェブサイトは、せっかく興味を持って訪れてくれたユーザーに有益な情報を提供するどころか、ネガティブな印象を与えてしまう可能性もあります。
事実、「サイトでストレスを感じて離脱したユーザーの88%は、ウェブサイトには戻らない」という調査レポートがあるほどで、B2C・B2Bビジネスともにウェブサイトは売上・成果に直結してしまうのがデジタル化が進んだ現代です。新製品やサービスなどをお客様に向けて開発、提供するのと同じように、ウェブサイトに手をかけ、こまめに更新していく必要があるのです。
御社のウェブサイト経年劣化していませんか?
リニューアルすべき理由と8つの兆候
サイト経由のリードを獲得する
BtoBウェブサイトの基本「押さえるべき13のポイント」
ウェブサイトをより良いものにし、顧客対象の企業にとって、より興味を持ってもらえるものにするには多くの設計が必要となります。成果を出せるグローバルサイトとはどのようなものなのでしょうか?最初に焦点を当てるべき「基本の13のポイント」をご紹介します。
既存サイトの情報を整理する
ウェブサイトを設計する前に今の状態で、訪問数が直帰率、重要なキーワードのSEOランキング、ウェブ経由の成約がどれぐらいあるかなど、既存サイトの分析をすることから始めましょう。
どこの数値が良くないのか、どこを見直していけば良いのかを評価します。
- トラフィックが最も多いページ
- トラフィックが最も少ないページ
- 各ページの獲得キーワード
- 各ページのセッション数
- 新規ユーザー数
- ユニークユーザー数
- 直帰率
- 滞在時間
- ドメインオーソリティ(ドメインに対する評価)
- ウェブ経由のリード数
- 成約率
また、ヒートマップを活用し、サイト訪問者が現在のサイトのどのページをどのように「見て」いるかを分析することをお勧めします。
< Hotjar >














ターゲットを明確化













多言語ウェブサイト制作においてターゲットの絞り込みは、非常に重要なポイントの1つです。ブログ冒頭でもお伝えした通り、B2B企業の商品購入の決定に至るまでには多くの担当者が関与しており、「問い合わせ」から「成約」に至るまでには、B2Cと比較すると遥かに長い時間を要します。
そのため、新しいリードになる可能性のある3~4人のオーディエンスグループを絞り込みを行いましょう。
バイヤーペルソナの精度を高めるためには、ペルソナのニーズを具体化することが大切になってきます。市場を細分化し、各セグメンテーションの軸を定めましょう。ペルソナターゲティングを効果的に活用するために押さえておきたい要素は以下の通りです。
- 人口統計によるセグメント化
- ニーズを特定する
- 行動分析














目標を設定する













そもそもなぜ海外向けウェブサイトを制作するのか、リニューアルを行うのかを明確化してください。グローバルサイトには日本語サイトを運用する以上に非常に多くの工数と労力が必要となります。
多くの企業は多くのページビューを獲得することを目標としてしまいがちですが、最も重要視すべきことは「トラフィックからより多くのリードを生成すること」です。測定可能な方法での目標を決め、そこに向けて戦略を落とし込んでいきましょう。














競合分析を行う













競合他社を何社かピックアップをして競合のウェブサイトを見てみましょう。しかし、単に競合他社のデザインを模して意図的に同じようなサイト構造にしても効果的なウェブサイトにはなりません。
自社の強味を明確化し、どの点が短所でどこが長所なのか認識をし、改善できる点、ほかの企業とは異なるアクションの仕方などをWebサイトに反映していきます。
また、競合のウェブサイトに最適化されているキーワードについても調査と戦略が必要です。この「キーワード戦略」はブランドの認知度を高めるために役立ち、早い段階で見込み客との関係を築き始めることが可能になります。














独自の価値提案を定める













効果的なウェブサイトはサイト訪問者がウェブサイトを訪れた瞬間から信頼構築を行います。「ウェブサイトを訪れるユーザーの55%は、滞在時間がたった15秒未満」という調査が証明するように、ユーザーがサイトを訪れてから最初の「10~20秒」という非常に短い時間で多くのユーザーは、離脱してしまいます。
そのため、サイトを訪れたユーザーにサイト内に留まってもらうには、自社の価値を明確に伝える必要があるのです。
サイト訪問者の興味を惹きつけるには、ほんの数秒しかありません。ターゲットオーディエンスの抱えている問題に対して、最良の解決策であることをウェブサイト上で伝える必要があります。














ウェブサイト内でのユーザー行動について考慮する













ウェブサイトを訪問したユーザーがウェブサイト内をどのように操作するかを明確にしましょう。これは「見て欲しいページを最優先させる」という意味ではなく、「ウェブサイトを訪れたユーザーにとって最も有益な情報を整理する」ことを意味します。
企業がアピールしたいものを全面に押し出すのではなく、サイト訪問者にとって有益ウェブサイトである必要があります。過度な専門用語で構成するのではなく、ユーザーが理解しやすい言葉を使います。
サイトでの望ましいカスタマージャーニーを理解し、サイト訪問者が適切なコンテンツを簡単に発見できるようにしましょう。














行動を促すフレーズ(CTA)を特定する













ウェブサイトを訪れたユーザーが取ってほしい行動を明確にしましょう。具体的には「問い合わせ」、「商品購入やトライアルの申込」、「資料請求」、「メルマガ登録」、「セミナー申込」などが該当しますが、これらの設置はサイト設計を行う時点で重要なポイントのひとつとなります。
サイト訪問者に何を促したいのか、どんなアクションを起こして欲しいのか、その「出口」がはっきりと見えないようでは、せっかく時間をかけて制作した多言語ウェブサイトも顧客との関係を構築する事が出来ずあまり効果が得られないでしょう。
また、行動促すボタンは「色」を効果的に活用し、ボタンの形、色、サイズ、表現などはテストを行いましょう。
「コンバージョン率が高い」のは何色?
~グローバル検証結果~














有益な価値を提供する













B2Bバイヤーにとって価値のある有益な情報でウェブサイト訪問者を惹きつけます。また、Googleの最近の更新は、検索エンジンがウェブサイトの品質に重点を置いています。ウェブサイトを訪れるユーザーが求めている価値のあるコンテンツを”継続的”に作成することが重要となってきます。
- 製品チェックリスト
- テンプレート
- 研究結果
- ケーススタディ(事例)
- ホワイトペーパー
- ウェビナー情報
- ブログコンテンツ
ビジネスを紹介する代わりに、専門知識を紹介する機会としてユーザーが問題を解決に役立つリソースを提供することで、再訪問ユーザーの獲得を目指します。














デザインを決定する













サイトデザインはリード獲得において重要な要素の1つであり、多くの議論が必要になってきます。企業にとってウェブサイトは、「企業の顔」になり、企業ブランディングに重要な役割を担っているため、ブランドを正確に”表現”する必要があります。
先述したように、ウェブサイトの訪問者はサイト訪問後のわずか3秒~5秒で「滞在するか、離脱するかを」決定します。 “ パッ” と見て「メッセージが伝わらない」「どこに行くべきなのかわかない」では、ユーザーの心を繋ぎとめることはできません。ウェブサイトデザインにおける適切な視覚的アプローチは顧客をウェブサイトに留まらせ、行動を促し、心を動かすことに繋がります。
クリエイティブ制作に取り掛かる前に、下記のことを整理しておきましょう。
- ユーザーに一番最初に見てほしい場所はどこか?
- ページ毎に最も重要な情報は何なのか?
- このページをスクロールしてもらうために最適な方法は?
- このページの重要なメッセージを明確に伝える画像やグラフィックはどれか?
- CTAボタンの最適な場所は?














検索エンジン最適化













ウェブサイトの設計・構築が完了したら、オーガニック検索トラフィック様にウェブサイトを最適化を行います。
世界の検索エンジンの主流はGoogleですが、グローバルサイトの検索順位をあげるためには、基本的にSEO対策が必要となってきます。これまでの国内をターゲットとした日本語サイトと違い、何十、何百倍ともいう競合が世界に存在することになります。
海外の検索エンジンにおいて上位表示を狙うなら、多言語化したウェブサイトを言語ごとにドメインURLを分けて管理するのが基本です。現時点の検索エンジンでは同一URLでの多言語化は本来の評価より順位が下がる懸念があります。ここでも「競合分析」で抽出したキーワード戦略を常に参照しましょう。














モバイルファースト













現在B2B企業検索の50%はモバイルデバイスで行われており、Googleは主要なB2B企業からの収益の40%がモバイルによってもたらされていると発表しました。
モバイルデバイス用に自動的にリサイズされないWebサイトだと、Googleアルゴリズムによってペナルティを受けるリスクもあると言われていますので、きちんと対応しておかなくはなりません。B2B企業の海外向けウェブサイトがモバイル最適化を行う必要性は「重要」ではなく、「不可欠」と捉えて良いでしょう。














結果を計測する













国内サイトに比べグローバルサイトのは、結果計測の頻度や分析が進んでいない日本企業も少なくありません。市場は刻一刻と変化するため、常に結果を計測する必要があります。コンテンツがどれくらい受け入れられているのか、どの国でどれくらいの反応があるのか、ユーザーの満足度を測ることは非常に重要です。
個別に結果を計測し分析するのは労力ですが、より高い成果を得るためには必要な業務と考えたほうが得策です。
無料で利用できる「Google Analytics」はもちろんのこと、世界にはさまざまな分析ツールがありますので、自社の目的に沿った分析ツールを導入しましょう。














リードを整理して追跡する













ウェブサイトを最適化して運用していくと、リードが生まれてきます。リードをうまく育てる秘訣は、リードを1つの使いやすいCRM(顧客関係管理システム)に統合することです。
ウェブサイトのフォームを使用して訪問者から連絡先情報を取得すると、マーケティングデータベースで、訪問者のサイト上での活動を追跡することが可能となります。この機能により、リードがセールスファネルのどこにあるかが一目でわかり、より多くのビジネスリードを生成することが可能となるでしょう。
さいごに
効果的なウェブサイトには、魅力的なヘッドラインや心に刺さるコピー、洗練された高品質な画像などさまざまな要素で複雑に構成されています。デジタル化が推進され、顧客との接点がデジタル上へ移動した現在では、B2B企業であってもデジタル施策はユーザーと企業を繋ぐ重要な接点になっています。
リードを生み出す海外向けBtoBサイト制作をご検討でしたら、ぜひ、お気軽にご相談ください。


吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。