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2019年09月24日

B2Bは、もはやB2Cと同じ? ~調査にみるグローバルマーケティング~

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一時、新しいマーケティングモデルとして世界で人気を博したB2Bマーケティングですが、現在B2Bマーケティングは大きな壁にぶち当たっています。企業のバイヤーがB2Bを敬遠し始め、企業のカスタマージャーニーがB2C化してきたというのです。では、B2Bはこのまま消えていってしまうのでしょうか。本記事では、B2BB2Cの基本を確認するとともに、B2Bの未来について、世界で実施された調査やレポートを元に考察します。

 

1.B2CとB2B

本題に入る前に、B2CとB2Bについて簡単に説明します。『B2C』は「Business to Customer」『B2B』は「Business to Business」を表します。B2Cは、企業が消費者に対して行う製品やサービスの販売取引です(参照:Defference Between B2B and B2C)。私たち個人が商品を購入する過程は、B2Cに分類されます。

一方B2Bは、企業と企業の間で行われる製品やサービスの販売取引です。サプライヤーから製造元、製造元から卸売業者、卸売業者から小売業者など様々な形態がありますが、すべて企業と企業の間で行われる取引です。

B2Cマーケティングのポイントは何よりも商品やサービスの質です。コストに対して商品やサービスの質が優れており、消費者が欲しい、買いたいと感じたときに購入を行います。それに対しB2Bマーケティングのポイントは企業間の「関係性」です。B2Bの場合、商品やサービスの量が膨大になることもあり、当然費用や質も重要ですが、それ以上に企業間の関係性が重要な決め手となるといわれています。企業の経営を大きく左右する購入であればあるほど、信頼できる企業から購入したいと思うのは当然です。また、B2Bでは、B2Cのように衝動的に購入を行うということはほぼなく、企業の必要性に基づき、計画的に購入が行われることがほとんどです。B2CとB2Bのその他の違いについては、下記の表をご参照ください。

B2BとB2Cの主な違いについて(参照:Defference Between B2B and B2C

2.B2Bマーケティングの広がり

オンラインショッピングの一般化、また安価な海外製品が大量に輸入されるようになると、顧客は商品の質や値段だけでなく、その他の付加価値を求めるようになりました。具体的には、商品購入のスムーズさや購入後のサポートやサービス、また企業ブランドに対する信頼感などです。実際、2012年にAMERICAN EXPRESSの行った調査によると、消費者の約3分の2は、商品購入時に商品のコストだけでなく、サービスの内容や信頼が大切だと回答しています(参照:2012 Global Customer Service Barometer)。さらに、これはB2Bマーケティングでは顕著で、Avanadeの調査では、56%の企業意思決定者が6ヶ月以内によりよい顧客体験を獲得するために、商品やサービスにより多くのお金を投資したと回答しました(参照:Global Survey:B2B is the New B2C)。企業の未来を左右するような大きな買い物であれば、安心安全の信頼できる企業から商品を購入したいと考えるのは当然のことです。B2Bマーケティングはこの点に着目し、企業間の「信頼」をキーワードとし大きな成長を収めてきました。
セールス側の企業にとっては、B2Bは、手軽に大きな利益を得られる優れたマーケティングモデルでした。消費者の認知度を高めるための高額な広告費は必要なく、優れたセールスマンが時期を見計らいバイヤーとなる企業に資料を持ち込み、付加価値を含んだ商品価値を魅力的に説明すれば、大きな収益を上げられる時期もありました。また、「信頼」という名目の元で一度関係性を構築することができれば、その後何年間にもわたってオートマティックに商品を販売することもできました。B2Cを中心に行っていた企業も、B2Bの優位性に目を付け、大きく方向転換した企業もあったほどです。

 

3.B2Bマーケティングがぶち当たった大きな壁

一見、大きな成功を収めているかに見えるB2Bマーケティングですが、現在、大きな壁にぶち当たっています。その一番の原因は、バイヤーがB2B離れを起こし始めたことです。B2Bは一見、非常にシンプルなマーケティングモデルかのように見えますが、現在B2Bは、バイヤー側の企業にとって非常に複雑な購買プレセスが必要になると言われています。以下は、リサーチ&アドバイザリ企業のGartnerが報告した、バイヤー企業のB2B購買プロセスの例です(参照:Win More B2B Sales Deals)。


B2Bバイヤー企業の複雑な購買プロセス例

B2Bは大きな買い物であるが故に、多くの意思決定者が1つの購入に関わっていること、また、それぞれが異なる情報や価値観をベースとし議論を進めていくため、購入決定までに非常に複雑なプロセスを経る必要があるというのです。セールス側の企業にとってはシンプルで大きな収益が期待できるB2Bは、現在、バイヤーにとって、非常に複雑なものとなっています。そこでバイヤーが始めたことは、インターネットでの商品検索や、企業ウェブサイトのチェック、通販サイトの利用などです。つまり、B2Bのカスタマージャーニーが、B2Cのカスタマージャーニーに近づいていることを意味します。オンライン上での情報は一貫しており、バイヤーにとっては非常に楽で確実な方法です。現在多くの企業は、B2B購買プロセスが複雑であるがために、B2Bで培ってきた企業間の「信頼性」や商品やサービスの「付加価値」を捨て去り、楽で確実な方法へと移行しつつあるのです。これは、B2Bのセールス側の企業にとって、非常に大きな問題です。B2Bマーケティングはこのまま消えていってしまうのでしょうか。

 

4.新しいB2Bマーケティングの形

B2BのカスタマージャーニーがB2Cのカスタマージャーニーに近づいてきたとはいえ、B2Bの持つ独自性はやはり重要です。商品の質や価格だけでなく、企業の目的に合わせた商品やサービスを独自にカスタマイズし、安心・安全なサービスを提供するB2Bは、やはりバイヤー側の企業にとっても有益なものといえるでしょう。そこで、上記で挙げたようなバイヤー側の企業の問題を真摯に受け止めた上での新しい形のB2Bマーケティングモデルが提案され、それらの方法を用いることで大きな成功を収めている企業もあります。

①バイヤーイネーブルメント

「バイヤーイネーブルメント」は、B2Bバイヤー側の企業が複雑な購買プロセスをスムーズに進められるように、B2Bのセールス側の企業がバイヤー側の企業に提供する情報媒体です。これまでのB2Bでは、セールスマンが所有する秘密で特別な情報が商談の中心に配置されていました。しかし、これがバイヤー企業の購買プロセスを複雑化させている要因の一つであることから、バイヤー企業が自由にアクセスできる情報媒体「バイヤーイネーブルメント」の重要性が謳われています。これまではセールス側の企業が主導していたB2Bマーケティングプロセスを、バイヤー側の企業に主導権を移す取り組みといえます(参照:Win More B2B Sales Deals)。

バイヤーイネーブルメントに興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。
世界の情報をお届け! 2019年「新しいB2B購買プロセス」の形

②アカウントベースドマーケティング(ABM)

「アカウントベースドマーケティング(以下ABM)」は、B2Bの特徴をさらに強調したもので、近年世界で流行の兆しを見せています。以前のB2Bでは、セールスマンは、バイヤー側の企業の一人の有力な意思決定者との話し合いで商談を成立させることができました。しかし先にも述べたように、現在のB2B購買プロセスでは、バイヤー側の企業では多くの意思決定者が購入プロセスに関わっており、たった1名の担当者との商談では十分ではありません。これまで、1名の担当者、つまり点にアプローチしていたプロセスを、企業全体、つまり面にアプローチすることで、商談成立の可能性を高める方法がABMです。また、下記の図が示すように、多くの魚を捕らえにいくのではなく、焦点を絞ったたった1匹の、しかし貴重な魚を全力で捕りに行く方法がABMと言われています(参照:マーケティングプラットフォームDrift)。

アカウントベースドマーケティングに興味のある方は、こちらの記事もご覧ください。
海外で大流行!?「ABM(アカウントベースドマーケティング)」って?


1つの企業に焦点を絞り確実な契約成立を目指すアカウントベースドマーケティング

 

終わりに

昨今のB2Bの状況について見てきましたが、B2BとB2Cはお互いに影響を及ぼしながら、時に似たり寄ったりしながらも、基盤となる概念は異なるものといえます。現在B2Bには大きな壁が立ちふさがっており、以前のB2Bマーケティングモデルは限界にきているといわざるを得ませんが、世界ではそれらを克服した新しい形のB2Bマーケティングモデルが構築されています。B2Bマーケティングで成功を収めるためには、最新のマーケティング情報に対し、常にアンテナを張りながらアップデートしていくとともに、それらを効率的に活用していくことが重要です。B2Bマーケティングに関する最新の情報及び効果的な活用に興味のある方は、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。

執筆者プロフィール


Kaita

宇佐美 海太 マーケティング部マネージャー

弊社の「デジタル x アナログマーケティング、コーポレートブランディング」を統括しています。東京生まれ、南欧育ち。ヨーロッパの生活は1年だけですが、人生が劇的に変わりました。自分を育ててくれた"日本と世界"への感謝を胸に、「日本と世界をつなげること」が生涯のテーマです。趣味はプロレス鑑賞・料理です。