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2024年05月31日

「Amazon」が丸わかり!
~Amazon広告の種類から費用、海外の広告配信まで徹底解説~

Amazon広告とは?広告の種類と特徴、海外戦略まで徹底解説1

一度は利用したことがあるという方も多い「Amazon」。「Amazon.com 」は、月間2億人以上のユーザーがアクセスする、世界で最も訪問されている電子商取引サイトです。この圧倒的なスケールを活かし、近年では海外市場への進出を目指す企業も増えています。

本記事では、Amazon の基本概要からメディアとしての強み、海外向けAmazon広告の魅力について徹底解説していきます。「Amazonは知っているけど、どうマーケティングに活用できるの?」という方から「Amazonで広告出稿やマーケティング施策を検討したい」という方は、ぜひお読みください!

目次

 

「Amazon」とは?

1994年に設立された「Amazon.com」は米国発の電子商取引会社です。書籍販売会社としてスタートしたAmazonですが、2017年に食料品企業を買収して以来、オンライン小売りから物流、エンターテイメント、ヘルスケア、メディア、ペイメント、AWSクラウドサービスなど、EC事業以外にも力を入れ、現在では非常に幅広いサービスを展開しています。

現在、ヨーロッパ・アメリカ・中東・アジア太平洋の20の国にグローバルマーケットプレイスを展開しており、Amazon.comには世界中で3億1,000万人以上のアクティブユーザーがいると推定されています。

正確な数値を公表していないものの、毎年100万人以上の新規販売者がマーケットプレイスに参入していると言われており、多くのユーザーと新規参入者を抱えるAmazonでは、1秒あたり約20件の注文を処理を行い、毎日160万個以上の荷物を発送しているそうです。

Amazon 2004年から2023年までの売り上げ推移
<Statista>

SimilerWebで調べてみると、2024年、米国で最もアクセスされたマーケットプレイスは、「Amazon.com」でした。2023年は米国における電子商取引市場のシェアの37.6%を獲得しており、2位のWalmartが6.4%、3位のAppleが3.6%だったことを考慮すると、AmazonはEC市場で圧倒的シェアを獲得しています。(2024年3位にAppleがジャンプインしたことも今後注目すべきポイントの一つです。㊙)

Most Visited Marketplace (in U.S)

日本国内においてもAmazonを含む物販系EC(BtoC)の市場規模は、2022年13兆9,997億円に達し、増減率は5.37%と前年比より上昇しています。また、2024年以降も更なる通販市場、EC市場の成長が見込まれており、今後も注目すべき市場の一つです。<経済産業省_令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書 >

 

メディア化するAmazon

Amazonは、世界中でECモールとしての確固たる地位を確立していますが、近年では一つの「メディア」として見られるほど存在感が増してきています。

2024年現時点で「Amazon.com」は、世界で14番目にトラフィックを獲得しており、12位のTikTok、13位のRedditの後に位置付けています。(2024年5月)

加えて、利用率の高い米国においては、既にAmazonは「小売メディア」と表現され、米国のデジタル広告市場の12.9%をAmazon広告が占めています。 Google広告が 27.1%、Meta広告 19.5%に次ぐ、非常に高いシェア率で、Amazonはメディアとしての存在感を急速に高めています。2023年には、Amazonプライム会員数が2億人を突破しました。これは、Amazonのメディアとしての影響力がさらに高まっていることを示しています。

さらに、米国では2022年12月からTikTok風の写真や動画投稿に、いいねや保存・共有したり、フィードから直接購入することができる機能「Inspire(インスパイア)」を実装し、「AmazonのSNS化が進んだ!」と話題になりました。この機能によってインフルエンサーやブランド、ユーザーが作成したコンテンツから商品を発見・比較・検討・購入することができるようになり、Amazonのメディア化戦略の一環が伺えるアップデートとなりました。


<Amazon新機能_Inspire>

日本国内でも、メディアのユニークビジター数は約5,400万人を超え、TwitterやInstagramなどを抑えて「6位」に位置しています。

Amazonは、国内外において、単なる「ECサイト」としてだけでなく、「膨大なユーザーを抱える一つのプラットフォームメディア」としても機能しています。

 

Amazon広告が選ばれる理由

Amazonの中で「広告事業」は、最も急成長している事業の一つであり、収益の重要な原動力となっています。2024年1月からは米国プライムビデオストリーミングサービス内でも一部広告を表示を開始すると発表し、話題となりました。そのほか、無料ストリーミングTV「Freevee」やゲームストリーマーに人気の高いSNS「Twitch」など、安定した広告サービスを提供しています。

ここからはAmazon広告に関する強みについて解説していきます。

「商品検索」に利用されるAmazon mobile lgoo

Amazonの活用手法としてメインとなるのは「EC機能」ですが、同時に多くのユーザーはAmazonを「商品検索ツール」として利用していることが分かっています。

商品の購入を検討した際に、GoogleやYahoo!などの検索エンジンではなく、Amazonで商品名を検索し、商品レビューで購入者のリアルな声を確認したり、価格やバリエーションなどで商品を検討したりするユーザーが増えてきています。さらに、実店舗で商品を購入する前に、商品の詳細やレビューを確認するなど、事前にAmazonを経由するというパターンも増えています。「商品購入」を目的に利用されるだけではなく、「比較検討」段階でも利用されているということはAmazon広告を運用する上で重要なポイントです。

Amazon広告を効果的に活用することができれば、Amazonで商品を購入するユーザーだけではなく、顕在層にも効率よくアプローチができる優れたマーケティング手段と言えるでしょう。

ユーザーの購買意欲が高い lightbulb- idea

Amazonにおけるもう一つの強みは、ユーザーの購買意欲の高さです。

ECで商品やサービスを購入する場合、情報入力などユーザーは購入に至るまでに一定のハードルを感じてしまいます。しかし、書籍などを覗いても3億5,000万以上のあらゆる商品が揃っている、Amazonでは、日常生活のあらゆる買い物の多くをAmazon内で完結させることができるため、日常的にAmazonを利用するユーザーが多く、コンバージョン率やリピート率が非常に高い傾向にあります。

更に、さまざまなオプションが利用できるプライム会員のコンバージョン率は、さらに高くなる傾向があり、他のECサイトに比べて「購買意欲の高いユーザー」が集まっているのが特徴です。

Amazon独自の「購買データ」を持っている!

GoogleやYahoo!といった検索エンジンでは、ユーザーの「検索行動データ」。FacebookやInstagramなどSNSは、ユーザーの興味・関心を計るための「嗜好データ」を多く保有しています。Amazonでは、ユーザーの購買行動を図る「購買データ」を保持しています。このデータは広告配信のためのターゲティングに活用されるため、広告を最も関心の高いユーザーに確実に届けることができます。

世界で最もデジタル広告のシェアを獲得している、FacebookやGoogleと比較しても、実購買に最も近いデータの保有量はAmazonがトップです。「購買」に繋げたいと考えるBtoC企業にとって、膨大なユーザーの購買データを活用できるAmazon広告は、魅力的なマーケティングツールと言えるでしょう。

マーケティング戦略の基本である「ターゲティング」に関しても、膨大な顧客情報や過去の購買情報が蓄積されているAmazonでは、より高い精度で行うことができます。

「どのような広告が効果的かわからない」「初めての海外向け出店でターゲティングできない」といった悩みは、Amazon広告のビギナーには付きものです。

しかし、Amazonに蓄積された類似店舗や類似商品のデータをもとに、親和性の高いユーザーを効率よくターゲティングすることで、ターゲティング失敗のリスクを最小化することができます。

加えて、Amazon広告はPPC課金方式を採用しているため、1クリックあたりの購入率が高くなれば、マーケティング施策のROIが向上し、結果的にマーケティングコストの軽減につながります。

 

Amazon広告の種類と特徴

amazon広告の種類と特徴

ここでは、Amazon広告の種類を詳しくご紹介していきます。

Amazonの広告プロダクトは大きな括りで見ると、「純広告・AmazonDSP広告・スポンサー広告」の3種類に分類することができます。純広告は、AmazonのTOPページといったAmazon内に主に掲載される広告です。AmazonDSP広告は、Amazon内・外の提携サイトにも掲載されるディスプレイ広告で、スポンサー広告はAmazon内に掲載でき、広告主が売上向上のために活用する検索連動型の広告になります。

スポンサー広告には、スポンサープロダクト広告スポンサーブランド広告スポンサーディスプレイ広告の3種類があり、ユーザーのAmazon内での検索行動などに基づいて広告掲載が行われます。

Amazon広告は唯一Amazon内に掲載ができる広告でもあり、ここまで述べてきたように購買意欲の高いユーザーに訴求したり、実購買データを基にしたターゲティングが活用できたりするなど、ぜひ押さえておいてほしい広告商品です。さらに、海外向けにAmazon広告を活用したい場合は、主に「スポンサー広告」を活用します。ここからは、スポンサー広告を具体的にご紹介していきます。

check スポンサープロダクト広告

スポンサープロダクト広告はAmazon内の検索結果ページと商品詳細ページ下部に掲載できる検索連動型広告です。
ユーザーの検索結果ページにオーガニック表示される商品と並んで表示されるため、抵抗感が少なく受け入れやすく、クリックしてもらいやすいのが特徴です。3つのスポンサー広告の中で、スポンサープロダクト広告は最も費用対効果が高い傾向にあります

広告出稿する商品を選択し、ターゲットキーワードを選択するか、自動ターゲティングを選択し、入札金額と予算をセットすることで、広告パフォーマンスを計測することができます。遷移先は商品詳細ページのみになります。

費用

クリック課金型(CPC)

キーワードターゲティング

事前に入札をかけるキーワードを設定することで、ユーザーがキーワードを検索した際に該当枠へ入札します。キーワードの選定は、手動ターゲティングと自動で関連キーワードを選出してくれる自動ターゲティングの2つがあります。ただし、自動ターゲティングは手動ターゲティングと比較して細かな調整を行うことはできません。

スポンサープロダクト広告のメリット

スポンサープロダクト広告活用のメリットは、クリックと費用対効果の高さです。加えて、検索連動型の広告のため広告を配信するユーザーは少なくとも商品や商品の属するカテゴリにある程度の興味・関心を持つ顕在層になります。特定のキーワードに対して広告を配信しない「除外キーワード」を設定することができるため、狙ったターゲットに効率良く広告配信を行うことができるのも大きなメリットの一つです。

 

check スポンサーブランド広告

スポンサーブランド広告は、Amazonで検索したキーワードに対して、ブランド・商品・ロゴなどの訴求ができる検索連動型広告です。

広告配信面は、Amazon内の検索結果ページの最上部、下部、検索結果の中央や製品詳細ページに掲載が可能なため、スポンサー広告の中では視認率が高いことがスポンサーブランド広告の特徴です。

静止画と動画が利用可能で、動画の場合は検索結果ページの中部のみに表示されます。また、スポンサーブランド広告には商品コレクション、ストアスポットライトと呼ばれるフォーマットが存在します。表示先と遷移先が異なります。

遷移先はAmazonストア、商品リストページなどです。広告内のASINをクリックした場合は各ASINの商品詳細ページへと遷移します。ストアスポットライトでは、ブランドロゴ、見出し、商品画像とサブページタイトルを表示します。ストアのサブカテゴリページに遷移します。

費用

クリック課金型 (CPC)

ターゲティング

スポンサーブランド広告のターゲティングは、キーワードターゲティングと商品ターゲティングが利用可能です。

静止画広告の他に動画広告が利用可能であることは前述しましたが、このスポンサーブランド広告の動画広告はスポンサーブランドビデオ広告と呼ばれており、普通の動画広告とは異なる部分もあるため次項でご紹介します。

 

check スポンサーブランド動画広告

スポンサーブランド動画広告は、検索結果ページの中部に掲載さる動画広告です。広告の半分が画面に表示された際に自動で動画広告が再生される仕組みになっています。キーワードを検索したユーザーに対して効率的にアプローチすることが可能な魅力的な動画広告です。しかし、動画視聴開始率など広告効果を測定するためのデータが一部見ることができない指標もあるので、注意が必要です。

検索結果ページのファーストビュ―に掲載できることから視認率が高く、費用対効果も高い傾向にあるため、自社のブランド認知を高めるために効果を発揮する広告です。

費用

CPC課金

 

check スポンサーディスプレイ広告

先述した広告が、検索結果に連動する形で表示される広告タイプであったのに対し、スポンサーディスプレイ広告は、Amazonの商品を閲覧しているユーザーの興味関心に関連性の高い広告を配信することが可能なため、先述したスポンサー広告とユーザーに接触するタイミングが異なるのが特徴です。Amazonストアだけでなく、何千ものアプリやウェブサイトにも広告配信が可能で、配信サイズも豊富です。

Amazonストアで商品を販売しているかどうかに関係なく、さまざまなビジネス形態でも活用できるディスプレイ広告です。

主な遷移先は商品詳細ページと検索結果ページです。

費用

費用は、CPC(クリック)課金、vCPM(ビューアブルインプレッション)課金

ターゲティング

閲覧・購入履歴をベースとしたセグメントを活用したオーディエンスターゲティングや商品ターゲティングが利用可能です。

スポンサーディスプレイ広告のメリット

前述したように配信先と配信サイズが豊富な点が、スポンサーディスプレイ広告の大きな特徴の一つです。ユーザーの興味関心セグメントを基にターゲティングを行う点も特徴の一つです。また、スポンサー広告の中では比較的CPCが安価になる傾向があるものの、顕在層へアプローチするための広告ではないため、費用対効果は他のスポンサー広告より低くなります。

 

海外で成功するAmazon広告戦略、6つのポイント

Amazon広告とは?広告の種類と特徴、海外戦略まで徹底解説

新しい市場で最適に広告運用を行うためには、やはりノウハウが必要です。Amazon広告戦略を最適化するために、押さえておきたい重要なポイントをご紹介します。

check ユーザーを知る

まず、広告最適化のためには、ターゲットとする国や地域の特徴を理解しましょう。Amazonのブランドアナリティクス機能は、顧客の検索データと購入データを通じて企業が顧客とパフォーマンスを正確に理解するために役立ちます。

  • インプレッション
  • 上位の検索用語
  • リピート購買行動
  • 人口統計
  • 検索クエリのパフォーマンス

など、重要な指標を分析し、自社のビジネスを客観的に評価を行います。そして、さまざまな国や地域で人気のあるキーワードや検索クエリなどに関する情報を取得しましょう。広告を運用する前には、ターゲット国で販売するための適切な「製品リスト」を作成しましょう。

check 目標を設定する

広告キャンペーンを開始する前に、自社の目標を設定しましょう。単に「売上を増やしたい」と言った目標ではなく、測定可能な目標を設定します。

キャンペーンごとに最大で3つまでの目標を設定します。

check 魅力的な製品ページを作成する

広告をクリックすると製品ページに遷移されますが、魅力的な製品ページでないと離脱に繋がります。オンラインショッピングの場合、商品情報と商品詳細ページの質が売上を大きく左右します。特に視覚的要素に注意しましょう。

文化・言語・商習慣の異なる海外では、スペルミスや言葉の表現にも細心の注意を払う必要があります。顧客は(特に海外は)警戒心が強く文法が間違っていたり、商品説明が不明瞭だった場合、ネガティブな印象を持ってしまいます。AIの進化で翻訳の手間が省けるようになったとはいえ、必ずネイティブチェックやAmazon広告ローカリゼーションサービスなどを利用しましょう。

check キーワードは定期的に確認して、評価を行う

Amazon広告は非常に競争が激しいため、広告予算が効果的に使用されているかを確認し、キーワードのパフォーマンスを定期的に評価しましょう。自動化された広告キャンペーンでは、キーワードごとの重要なインサイトを確認することが可能です。

データを定期的に分析し、パフォーマンスを向上させていきましょう。

check レビューを確認する

Amazon広告で集客が成功したとしても、Amazon戦略では顧客レビューは非常に重要な要素となります。商品レビューがAmazonでのランキングを決定づける唯一の要因ではありませんが、Amazonが商品を分類して、ランク付けするために使用していることは良く知られています。

Business Insiderによると、レビューが1件ある商品は、レビューがない商品よりも購入される可能性が65%も高くなり、消費者の3分の1はレビューがない製品を購入しないことがわかりました。

レビューを過少評価せずに、常にレビューを確認し、肯定的なレビューを獲得できるようにしましょう。

check 現地の文化や習慣を意識する

海外へ広告を配信する場合、現地の文化や習慣を意識することは非常に重要です。例えば、広告クリエイティブやターゲティングの設定においても現地の消費者に受けいれられる内容にする必要があります。

 

おわりに

今回はAmazonの特徴とAmazon広告の特徴について解説してきました。Amazon広告が持つ最も大きなメリットとして考えられるものは以下の2つです。

• Amazonのユーザーはもともと購買意欲が高いため、購買につながる確率が高い
• Amazonが保有する豊富なデータを広告戦略に活用できる

このメリットは国内向けショップに限らず、日本から海外に向けた越境ECを行う際にも変わらず有利に働くため、グローバル市場を視野に入れた広告運用の強い味方となります。それぞれの広告の種類や特徴、強みをしっかり理解したうえで効果的な広告戦略を講じることが大切です。

Amazonは今後さらなる成長を遂げる企業として、世界中から注目されています。実際、2024年実店舗でもウォールマートを追い越して、米国最大の小売業者となると見込まれています。AmazonをはじめとするECモールの活用やオウンドサイトの活用など、Eコマースにおけるマーケティング施策に関するご相談をお待ちしております。国内外対応可能ですので、お気軽にお問合せください。

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吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。