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2023年02月17日

製造業の海外デジタルマーケティング戦略「究極ガイド」
~BtoB企業×製造業向け~

製造業デジタルマーケティング究極ガイド

デジタル化が加速する現代において、国境を越えたデジタルコミュニケーションを設計することは、海外顧客と企業を結ぶとても重要な役割を果たしています。優れたユーザーエクスペリエンス(UX)は、見込み客を集め、信頼を構築し、リードを獲得することへと繋がり、ビジネスの新規顧客獲得に役立ちます。

BtoB企業であっても顧客との接点がデジタル上へ移動した現在では、デジタル施策は自社のブランド・品質・企業理念などをユーザーに伝える重要な役割があり、海外進出の1歩として海外マーケティング施策を強化する企業も年々増加してきました。

展示会や見本市への出店、専門誌への広告出稿、紹介など従来行ってきたマーケティング施策とデジタルマーケティング施策を統合することで、ビジネスの更なる成長へと繋がるでしょう。

今回の記事では、製造業におけるデジタルマーケティングの現状と課題を把握し、デジタルマーケティングを通して何を解決するかなど、戦略と戦術の両面から解説します。

 

目次

 

 

製造業におけるデジタルマーケティングの現状

・COVIDが製造業に与えた影響

2021年に実施されたGoogleの調査では、製造業界のデジタルマーケティングへの取り組みが、他の業界に比べて大きく遅れを取っていることが指摘されています。これは、製造業での傾向として、製品自体の品質や機能性に注力してきた歴史が影響しており、さらに製品自体の価格が高額であったり、購入までの意思決定が非常に複雑で時間がかかるためであることが原因と言われています。

さらに追い打ちをかけるように発生したCOVIDによって、製造業にさまざまな悪影響を与えました。2022年2月に公開されたStatstaの最新のデータによると、2020年、業界別にCOVIDが与えた影響指数で最も深刻な影響を受けたのは、「製造業・旅行業・運輸業」であることがわかりました。

サプライチェーンの断絶による生産の停滞、多くの国で経済活動が停止したことによる需要の低下、感染拡大の観点からの労働力不足、海外市場への輸出や必要部品や素材の輸入が困難になるなど、COVIDは製造業に大きな打撃を与えたことは明らかです。

・デジタル化を積極的に推奨した国・企業の回復

しかし一方で、必然的ではありましたが、積極的にデジタル化を進めた多くの製造業は、柔軟な対応により、影響を最小限に抑え、生産性を維持し続けることに成功しています。2020年、BtoB企業の約90%近くが迅速なデジタル会議などを介して商談を実施。その中で、得に中国・インド地域は率先してデジタル化を取り入れ経済の立て直しを図りました。(McKinsey

製造業デジタルマーケティング究極ガイド2 (1)

・BtoB企業の購買行動の変化

さらに、McKinseyの調査によると、今回のCOVIDの影響によってBtoB企業であっても「購買プロセス・消費者心理」が、大きく変化したことがわかりました。

売り手と購入者の4分の3以上が「対面でのやり取りよりもデジタル上での人の関わりを好む」と回答し、さらに「予定の立てやすさ・旅費の節約・安全性」から回答者の70%~80%がCOVID収束後も「対面に戻らない」ことを望んでいるというのです。そして、意思決定者の10人中9人近くが「この習慣が固定化されると考えている」と述べており、今後も以前のような対面に頼る商習慣へは戻らないことが予想されているのです。


Makinsey_These eight charts show how COVID-19 has changed B2B sales forever〉

 

 

製造業にデジタルマーケティング戦略が重要な理由

1.情報収集手段が変化

BtoB企業、特に製造業の場合、一般的にデジタル上で接点を持ち、購入に繋がる可能性が低いと思っている方も多いかと思います。しかし、現在ではBtoB企業の担当者の89%は、あらゆる情報を精査するためにまず、「インターネット」を利用して情報収集を行っています。さらに、特定の企業・ブランドのサイトにアクセスする前に、既に12回の「検索」を実施していることがGoogleの調査により明らかになっています。

また、2021年のトライベック・ブランド戦略研究所によると、「BtoB企業の顧客が取引業者の選定を行う際の情報源として利用しているもの」は、以下の通りとなりました。

  1. 企業のウェブサイト― 66%
  2. 営業員・技術員の説明- 47%
  3. カタログ・パンフレット― 44%

この調査結果からもわかるように、全世界で53億人がインターネットを利用する現在、BtoB企業であってもまず、検索エンジンで「検索」を行い、企業を見つけ、情報を集め、比較検討を行います。顧客は営業担当者の説明やカタログよりも、企業のウェブサイトを参考にしています。さらにここ最近では(特に海外では)、「ソーシャルメディア」を情報収集の手段として利用する傾向も高くなってきています。

 

2.「有益な情報提供」は、満足度の高い購入を促す

BtoB企業にとって、顧客が購入に至るまでに複雑な工程をめぐる場合、顧客行動フェーズに沿った「有益な情報」を提供することで、購入への後押しとなります。無料でダウンロード可能なホワイトペーパーや事例コンテンツ、製品の使い方、購入ガイド、最新情報が詰まったブログ記事など、顧客にとって有益な情報は顧客との信頼関係を強固なものにしてくれます。

Gartnerの調査によると、サプライヤーから「仕事を進める上で役に立つ」と感じた顧客は、そうでない場合と比較して、2.8倍も「購入しやすい」と感じ、さらに「購入後の満足感」も3倍高いものであることがわかりました。


<Gartner_The B2B Buying Journey>

BtoB企業であっても有益な情報発信を継続的に提供することで、企業価値を高め、ブランドの優位性を示すことができます。これは購買プロセスが複雑化するBtoBビジネスの場合であっても、長期的に有効な手段となります。

3.競合優位性の向上

製造業の場合、海外進出に意欲的であっても、その重要性を理解していたとしても、多言語デジタルマーケティング戦略を策定し確実に実行に移している企業は世界中を見てもまだまだ多くありません。そのため、多言語によるデジタルマーケティングを実施することで、その専門知識を証明することでき、競合他社との差別化を図る上でも優位に働くでしょう。

近年では「B2B × 製造業」であっても、ホワイトペーパーや電子書籍などで豊富な情報を提供し、顧客にとって有益な情報を発信することで、業界における先駆者としての地位も築くことが出来ます。顧客の欲しい情報がそこにあることで、検索を通じて「顧客⇔企業」とのコミュニケーションを強化し、顧客ロイヤリティを向上させることができます。

 

4.担当者に合った適切なメッセージで訴求ができる

BtoB企業の場合、購入担当者が商品を見つけ出してから、商品購入を決定するまでの購買プロセスにおいて、平均して6~10人の関係者が関与し、さらにその6~10人が独自の情報を保持しその情報を元に検討するため、購買までの道のりが非常に「複雑」になっています。(Gartner

広く大衆にアプローチするマス広告に比べ、デジタル広告では対象となる顧客一人ひとりの「検索履歴・閲覧履歴」、SNS広告などでは「顧客が登録したデータ」などを活用して広告配信を行うことができるため、ユーザーの「興味・関心・職業・年齢・居住地域」など自社の目的に合った的確なターゲットに無駄なくアプローチを行うことができるのです。さらに、顧客に最も関連性の高い広告を表示することもできるため、従来のマーケティング手法に比べて、はるかにコスト効率が高く、ROIを最大化することができます。

 

5.効果を計測することができる

マス広告や専門誌での広告は一般的に大衆向けの広告で、「認知拡大」をゴールと設定して不特定多数の顧客に対して情報を発信します。そのためテレビやラジオでは「述べ視聴率(GRP)」や「延べ注視量(GAP)」といった指標で計測しますが、大まかな指標となり一人ひとりのユーザーに向けた細かな効果測定は困難です。

一方デジタルマーケティングにおいては、Googleアナリティクスや専用の解析ツールを使用することで、非常に細かい範囲まで施策の効果を数値化することができます。実施した施策の効果が数値化されることで、施策の改善点や顧客行動の変化などを見つけやすくなり、さらに、テスト施策としてを施策を同時に走らせることで、同じ商品を異なる方法で宣伝し、どちらがより反応が高いかということもデジタルマーケティングなら簡単に分析することができるため、自社にとって最善の施策を導き出すことができます。

 

「製造業 × デジタルマーケティング」海外市場へ!9つのステップ

製造業において海外マーケティングを検討する際、「なにを目標に・どんな施策を・どうやって実施するか」を明確にすることは、着実な施策実施に向けた大切な第一歩です。これまでに数多くの企業様の海外ビジネスをご支援するなかでインフォキュービック・ジャパンが見出してきた9つのステップをご紹介します。

Step1.マーケティング戦略を立てる

どのような状況であっても、マーケティング戦略なしに戦術を実行することは、有益な結果をもたらすことができず、時間やリソースの無駄に繋がります。マーケティング戦略を立てるには二つの項目を踏みます。一つ目は、短期的、長期的な利益を獲得するためにどこに対して投資すべきかを吟味します。次にそれを実現するための具体的なロードマップを作成します。最終的にはそのロードマップをどう実行するのか予算や社内の知見に基づき決めていきます。社内に必要な知見を持っている人材がいない場合は代理店を活用するのも一つの方法です。

 

Step2.ターゲットを明確にするlightbulb- idea

BtoB企業の場合、特定もしくは単一の人物・属性を対象にするのではなく、「顧客課題とニーズ」について理解する必要があります。その「ビジネス課題」に取り組むのは、企業に所属する複数人のチームであり、その中には様々な役職・役割の人たちが存在することを忘れてはいけません。

新しいリードになる可能性のある3~4人のオーディエンスグループを絞り込みを行いましょう。バイヤーペルソナの精度を高めるためには、ペルソナのニーズを具体化することが大切になってきます。市場を細分化し、各セグメンテーションの軸を定めましょう。ペルソナターゲティングを効果的に活用するために以下のステップを踏みます。

  • 職位、地域、興味関心等のデモグラフィックデータに基づき、ペルソナの基本像を設定
  • 調査を通じて得た、顧客が製品に興味を持つに至った動機、顧客が今後達成したいゴール、顧客がこれから取り組みたいこと等を抽出します
  • 近い将来に発生する顧客との交渉や問い合わせに備えて、営業最適化ツールを学習し慣れるようにしておきます。
  • 質の高い見込み客と交渉する際に社内で統一して使用するキーメッセージを絞り込みます

 

Step3.競合を調査する

ベンチマークする企業分析を実施することは、自社に不足している要素を洗い出すとともに、新しい切り口を見つけることに結びつきます。競合調査を通して自社の強味を明確にし、どの点が短所でどこが長所なのか認識をし、改善できる点、ほかの企業とは異なるアクションの仕方などを洗い出します。

インフォキュービック・ジャパンの競合調査

〈インフォキュービック・ジャパン競合調査〉

市場でどのようなコンテンツが人気なのか、競合がどのようなデジタルマーケティングの取り組みを実施しているのか、どのような接点で顧客と結びつきを強化しているのかなどを把握しましょう。

 

Step4.ウェブサイトを構築し最適化する

ウェブサイトは企業にとって顧客との最初のデジタルタッチポイントであり、顧客にとってはブランドへの入口でもあります。しかし、どの企業もウェブサイトを持っている現代において、単にウェブサイトを持っているというだけでは、その存在価値は限りなく低くなってしまいます。

実際、多くのB2B企業のウェブサイトで、更新が滞っていたり、モバイル最適化されておらず、正しく表示出来ていない企業ウェブサイトは多く見受けられます。更新をしない、正しく表示できないでは、せっかく興味を持って訪れてくれたユーザーに有益な情報を提供するどころか、ネガティブな印象を与えてしまう可能性もあります。

事実、「ウェブサイトでストレスを感じて離脱したユーザーの88%は、ウェブサイトには戻らない」という調査レポートがあるほどです。いくら大金を払ってインパクトのあるウェブサイトを作っても、リッチなコンテンツを豊富に詰め込んでも、SNSから多くのユーザーを連れてくることができても、結局のところ「顧客心理を満たすこと」が出来なければ、その先にあるビジネスへは進むことができません。

ユーザー心理を満たす!
ウェブサイトに必要な「8つの質問」

Step5.検索エンジンの最適化を行う

ウェブサイトの設計・構築が完了したら、オーガニック検索トラフィック様にウェブサイトを最適化を行います。

世界の検索エンジンの主流はGoogleですが、グローバルサイトの検索順位をあげるためには、基本的にSEO対策が必要となってきます。これまでの国内をターゲットとした日本語サイトと違い、何十、何百倍ともいう競合が世界に存在することになります。

海外の検索エンジンにおいて上位表示を狙う場合、多言語化したウェブサイトを言語ごとにドメインURLを分けて管理するのが基本です。現時点の検索エンジンでは同一URLでの多言語化は本来の評価より順位が下がる懸念があります。ここでも「競合分析」で抽出したキーワード戦略を常に参照しましょう。海外市場で競合との争いに勝ち抜き、顧客の目に留まるためには、日本語サイトでのSEO対策以上に、専門的な視点からのSEO対策が重要となります。

 

Step6.顧客にとって有益な価値(コンテンツ)を提供する

消費者の購買行動の前にオンライン上で情報収集を行う傾向があるため、「コンテンツマーケティング」の重要性が高まっています。現在では、世界中の多くの企業が何らかの形でコンテンツを活用して情報発信を行っています。自社のターゲットとなる顧客が求める、価値のあるコンテンツを”継続的”に作成することが重要となってきます。

例え、超ニッチな製造業であったとしても、その情報を求める顧客は世界中のどこかに存在しています。さらに調査研究結果、市場のシェア、トレンド、消費者動向など様々な角度からのコンテンツは、バックリンクやリードの獲得にも効果的です。

  • 製品チェックリスト
  • 研究結果
  • ケーススタディ(事例)
  • ホワイトペーパー
  • ブログコンテンツ
  • 動画コンテンツ
  • ポットキャスト

ダウンロード可能な形にすることで顧客情報を取得する代わりに、専門知識を紹介する機会としてユーザーが問題解決に役立つリソースを提供することで、顧客との関係性を保ち、将来の顧客へとユーザーのナーチャリングを目指します。

 

Step7.デジタル広告を始める

WEBサイトの構築が完了した後に取り組むべきことはデジタル広告の出稿を検討しましょう。デジタル広告は精度の高いターゲティングで適切なメッセージを適切なタイミングで出稿することができます。デジタル広告はさまざまなタイプがありますが、海外向けにデジタル広告を配信できるプラットフォームは世界中に数多く存在します。

韓国であればNAVERDaum。中国ではGoogleは利用できないので、BaiduSogouという選択肢になるかもしれません。台湾・香港のYahoo!のアルゴリズム検索システムは「Bing」を使用しているため、台湾・香港のYahoo!で広告を出稿する場合は「Bing」の仕組みを理解して運用する必要があります。ソーシャルメディア広告を活用する場合、Facebookが良いのかInstagramやTikTokの方がいいのか、LinkedInをトライしてみるのか、自社の目標に沿ったソーシャルメディアを選定し、広告を配信・運用する必要があります。

このように国・地域・ターゲット・目的によって利用するプラットフォームの選択が異なってくるため、自社に適切な広告プラットフォームを選択する必要があります。(ぜひ、ご相談ください)

 

Step8.SNSを活用する

SNSを活用することは、海外リードつまり「海外における見込み顧客」を生み出すための非常に優れたマーケティング施策の1つです。

世界中で活躍するグローバルマーケターに対して行った調査によると、59%が新規顧客の獲得において「SNSマーケティングが重要である」と回答しています。さらにSNSマーケティングは、海外リードを生み出すだけでなく、双方向のコミュニケーションにも優れたツールのため、興味を持った顧客とメッセージのやりとりによって、グッと引き寄せることも可能な施策の1つです。

しかし、世界中で多くの競合がすでにSNSを活用している現在、SNSを戦略もなく活用するだけでは効果は薄いといえるでしょう。数あるSNSの特性をしっかりと理解し、そのプラットフォームに適切な戦略を実行することが重要です。

 

Step9.効果を分析し改善を繰り返す recycle-logo

デジタルマーケティングは一度実行したらそれで終わりという訳ではありません。どの施策のこうかが上手くいっているか、どのキャンペーンが効果的であったか、実施した施策に対しての分析をしっかりと行い、常に改善を図ることが成功への近道となります。

Forbes社の調査によると、マーケティングとセールスにおいて「データ主導の意思決定を行わない企業は、マーケティングROIの15%~20%の損失があることがわかりました。正確なデータを把握することは、自らのビジネスを正確に捉え企業がより良い意思決定を行うために必要不可欠なものなのです。しっかりと検証し次のアクションへと繋げていきましょう。

 

さいごに

製造業における新規顧客を獲得するための活動として、展示会やイベントなどが代表的なものとして挙げることができます。もちろん、こうしたオフラインでの活動もデジタルでは実現が難しい対面交渉や実物体験ができるため、効果的な施策と言えるでしょう。一方で、顧客心理が変化し、デジタル化が加速した現在において、場所や時間を選ばずに定常的に情報発信できるデジタルマーケティングを最大限に活用し、認知拡大やリード獲得を実現していくことも不可欠な施策と言えるでしょう。

さまざまな業界において日本企業の技術力は世界で依然高く評価されています。オフラインでのマーケティング施策、オンラインでのマーケティング施策、どちらか1つだけに注力するのではなく、この2つを上手く融合し、ニーズに合わせて顧客と良好な関係性を築いていくかが、重要なポイントとなるでしょう。

ホワイトペーパー_はじめての海外デジタルマーケティング 目標設定メディア選定代理店選び

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。