「YouTube広告」解説と攻略法
~海外の成功事例から学ぶ必勝法~
毎月20億人近くのユーザー、80以上の言語で動画を視聴されており、世界第2位のトラフィックを誇るYouTube。この記事を読んでくださっている多くのマーケターの方々は海外マーケティング施策の一つとしてYouTubeを戦略的に活用しようと思っている方が多いのでないでしょうか?世界中の多くの企業が、マーケティング戦略の1つとしてYouTubeを利用しており、その注目度はますます高まってきています。
現在、新型コロナウイルスの影響により、企業の広告費が減少しているため「YouTube広告の危機」などと騒がれていますが、裏を返せば、ユーザーが増加する中で広告単価が下がる=企業にとって、安い広告費で多くの人に企業をアピールできる絶好のチャンスだと捉えて良い時期ではないでしょうか。
そこで今回は、海外市場を攻めるための「広告運用ガイド・ベストプラクティス」をお届けします。
なぜYouTube広告なのか?
広告を出すプラットフォームは無数にあります。その中でYouTubeに広告を出す意義は、世界規模で宣伝効果が高いからです。YouTubeにはビデオ広告が使用されますが、このビデオ広告はテレビコマーシャルよりもROI(投資対効果)が約77%高いと言われています。また、テキスト広告よりも約66%見込み客を多く獲得するという数字も出ています。
このようにYouTube広告には、メリットがあります。YouTubeを利用することによって得られるメリットについて、もう少し見てみましょう。
より多くのユーザーにアピールしやすい
YouTubeの月間アクティブユーザーは、世界でおよそ20億人と言われており、YouTube上でターゲットとする顧客を見つけられる可能性があります。



ニッチなターゲッティング


YouTube広告で人口統計以上のものをターゲットにして、興味や閲覧履歴などに基づいてユーザーを獲得します。適切なオーディエンスを見つけるために、一般的またはきめ細かいターゲティングが可能です。



コスト削減


YouTube広告には「インストリーム広告」や「バンパー広告」など、いくつか種類がありますが、いずれも「クリックされた時点で課金」「30秒以上視聴された場合に課金」など、一定の条件を満たした場合にのみ費用が発生します。キャンペーンの設定にもよりますが、YouTubeの広告ビューごとに5〜10セントと、その他多くのマス広告などの有料広告よりも安価です。



結果測定が簡単にできる


YouTube広告のレポートは、プラットフォーム別での分析が可能で、設定した指標に対しての結果について、確認できます。視聴時間やキャンペーン費用、広告視聴時間、どの時点で視聴をやめたかなどなどが数値化されますので、動画広告の効果について多角的に分析することも難しくありません。YouTube広告のレポートを活用すれば、結果を測定するだけでなく、コンテンツを微調整して露出を増やすことができます。
YouTube広告の4つの主要広告フォーマット
YouTube広告には主に4つの種類があり、用途や目的によって使い分けが可能です。広告の種類ごとに、特徴やメリットなどについて解説します。





プレロール動画広告




動画が開始される前に自動で表示され、約30秒再生されるタイプの動画広告です。
動画の視聴回数ではなく、クリックの総数に対してのみ料金が発生するため、通常、リンククリックなどのオンサイトコンバージョンに焦点を当てたキャンペーンや、チャンネル登録者の拡大に最も費用対効果があります。プレロール動画広告には、「スキップ可能」「スキップ不可」の2種類あります。
前者は5秒ほどでスキップできるように設定されていて、ユーザーは広告の視聴を続ける・やめるの選択が可能です。プレロール動画広告は、30秒視聴した、または広告が終わる前にユーザーがクリックすることで課金されます。クリック課金の特徴から、プレロール動画広告は、オンサイトコンバージョンを目的とするキャンペーンやチャンネル登録を募集するなどの広告が向いています。





インストリーム広告




TrueView広告を選択した場合、動画が再生される前に表示され、時間の上限なく、これらの広告の視聴ごとに課金されます。ただし、広告を表示している人は誰でも5秒後に動画をスキップすることができ、ユーザーが興味を示さない場合、スキップされてしまうことも少なくありません。
自由度は高いですが、最初の3秒~5秒間で興味を引けない場合は、動画が全て視聴される可能性は低くなります。そもためブランドの認知度を高めたいという場合に向いている広告と言えます。





バンパー広告




バンパー広告は表示時間が6秒の短いスキップ不可広告のことで、動画の前に挿入可能です。6秒では広告としての効果は薄いのでは、と思うかもしれませんが、Googleの調査によると、300のバンパーキャンペーンで、90%が広告想起を大幅に向上させた素晴らしいフォーマットになりました。このことから、ブランドの認知度を高めたい場合に効果的であることがわかります。
バンパー広告は、広告表示回数1,000回ごとに課金されます。





インディスプレイ広告




インディスプレイ広告とは、TrueView型広告の一種で、関連動画とともに表示されるタイプの広告です。動画内に広告を表示させたくない場合、インディスプレイ広告を選択すると良いでしょう。リンクをクリックして視聴されるに課金され、インディスプレ広告がユーザーの画面の右側に表示されます。
ユーザーが、現在視聴している動画の視聴のみに関心がある場合は広告を完全に無視できますが、インディスプレイ広告をクリックした場合は、ユーザーが選択によってクリックしており、すでに興味を示しているため、コンバージョン率が高くなる傾向にあります。
世界の動画市場もやっぱりYouTube!
~ YouTube広告の基礎について ~
YouTube広告を効果的に活用する「ベストプラクティス」
YouTube広告の取り扱いは、慣れてしまえばそう難しいことではありません。
以下の5つのポイントを考慮して、練習してみましょう。
✔ 広告を短く、端的に!
2分間のコマーシャルはテレビでは通用するかもしれませんが、YouTubeではうまくいきません。広告が長いと、ユーザーはスキップをクリックする場合や途中で見るのをやめてしまう確率が高くなるからです。ユーザーを拘束しないように、内容を手短にし、広告の長さは5〜60秒以内にしましょう。
< プリングルス:6秒のバンパー広告>
YouTube広告の目的は、ビジネス全体を説明することではなく興味をひくことです。ユーザーの注目を集め、ランディングページで詳細を説明しましょう。
✔ ユーザーの注意をすばやく引く
YouTube広告には、ユーザーが広告を視聴する・しないを選択できるシビアな面があります。動画広告の所要時間は60秒かもしれませんが、ユーザーは5秒後に広告をスキップできるようになります。つまりブランドはわずか5秒で、ユーザーが視聴を続けるように注意を引かなければなりません。
<アディダス : TrueView動画広告とバンパー広告を活用して、ブランド認知度33%アップを実現>
ビデオスクリプトの最初の5秒が非常に貴重であり、最初の5秒間には、「会社名」、「製品またはサービス」、「製品またはサービスの機能」、「なぜユーザーがその製品またはサービスが必要であるのか」などを入れ込みましょう。更に広告コンテンツは、ユーザーが見ようとしていた動画よりもさらに優れている必要があります。
✔ ユーザーを飽きさせない
ユーザーはYouTubeでたくさんの広告を見ており、製品についてのビジネス自慢を聞き飽きています。「面白い動画を見たい」「問題を解決したい」などの目的で、動画を探しています。そうしたユーザーの心理を理解した上で動画広告を制作する必要があります。サービスやブランドの差別化を明確に伝え、面白く伝えるということが重要なポイントの1つとなります。
Tuft & Needle社は、動画を使うことで一級品と従来のマットレス業界で出回っていた二級品の違いを効果的にはっきりと示しました。動画広告のターゲティングのおかげで、ウェブサイトにアクセスしているユーザーや不動産を探しているユーザー「最高のマットレス」などと検索しているユーザーにアプローチする際に役立ちました。適切なコンテンツ戦略で、わずか数秒で面白い広告を作成することができます。
✔ 成功事例を活用する
コンテンツがYouTube広告にとって最も費用と時間のかかる要素の1つであることは周知の事実ですが、YouTubeの古いコンテンツを転用することで、時間を節約し、ROIを高めることができます。
すでに成果を上げているコンテンツがあれば、過去に作成した動画を少し編集してYouTube広告に使用したり、パフォーマンスの高かったブログを動画に変換したりして、制作時間を短縮することもできます。なぜこのコンテンツはうまくいったのか、細く分析しておくと、次のステップにつながります。このコンテンツ制作の段階で時間やお金を節約できれば、ROIを向上させることができるでしょう。
✔ 自社のYouTubeチャンネルを運用する
広告を作成するためだけにYouTubeに参加しないでください。ユーザーが広告に興味を示している場合、それはおそらくユーザーはあなたのオーガニックコンテンツも観てみたいと思っていることを意味します。YouTubeで成功したい場合は、有料広告を補完するアクティブなオーガニックチャンネルがの設置が必要です。
他のブランドからインスピレーションを得てください。あなたのブランドが格式高く重厚なイメージを尊重しているブランド戦略をとっていたとしても、YouTube広告は、面白いものにすることも可能です。自社の製品やサービスには当てはまらないと思われる場合は、Blendtec社を見て、何か感じるものはありますか?
同社はブレンダーのようにありふれたものを売るために、商品の機能を宣伝するビデオを作成せず、それとは全く関係のない動画を配信し続けファンを増加させています。この動画は1900万回以上再生されています。
過去に成功したブログ、インタビュー、クライアントの声、How To動画、FAQなどに基づいてビデオを作成します。週に1本の動画を投稿すると、オーガニックチャンネルのトラフィックだけでなく、有料広告へのトラフィックも大幅に増加することがわかります。広告を超えたコンテンツでユーザーの興味をより長く維持し、コミュニケーションを深めましょう。
まとめ
現在、世界はマルチメディアコンテンツに寄っている動向にあり、それはブランドがマルチメディア広告を受け入れる必要があることを意味します。完璧なYouTube広告の魔法の公式はありませんが、これら上記のベストプラクティスに従うと、より良い広告を制作して効果的な結果を得ることができます。テストと反復を続け、ユーザーのニーズに沿うものを見つけましょう。


吉田 真帆 マーケティング部 プランナー
当社の「コンテンツマーケティング(企画・記事執筆)、メールマーケティング」を担当しています。オーストラリアの永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。「愛のあるコンテンツ作成」がモットーの一児の母です。趣味はランニング・ヨガ・料理・読書。