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2023年01月19日

感性を刺激する!
海外の秀逸な「観光ウェブサイト、6選」

世界の秀逸な観光・旅行ウェブサイト

昨今、多くの人がインターネット上で得た情報をもとに、旅行先や宿泊先、アクティビティプランなどの旅行計画を立てています。

旅行に関する意思決定において、ウェブサイトから得られる情報や印象の優位性はかつてないほどに増大しており、ユーザーの好奇心を刺激するような優れたデザイン・設計が施されたウェブサイトは、観光客を招くための集客ツールとして重要性が高まってきています。デジタル化が加速し、顧客接点がデジタル上に移動した現在、ウェブサイトは顧客と企業・自治体を繋ぐ重要な接点となっています。

今回の記事では、海外の秀逸な”観光ウェブサイト”を見ていくとともに、魅力的な観光ウェブサイトを実現するためにウェブサイトに「含めるべき要素」も解説していきます。

ぜひ、旅行気分で見ていきましょう!

目次

 

観光・旅行業ウェブサイトに「含めるべき要素」とは?

世界の秀逸な観光・旅行ウェブサイト 含めるべき要素

インターネットやソーシャルメディアの普及により、これまで以上に観光・旅行業界は身近な存在となりました。(ネットがない時代はほとんどの人が、代理店に行って予約をしていましたね。懐かしい。)

現在では旅行先を見つけたり、航空券やホテルの予約、人気のレストラン、現地でのアクティビティなど旅先のあらゆるものを全てオンライン上で見つけることができます。さらに、近年のデジタル化の加速もあり、ほとんど全ての行動をオンラインを通して行うようになりました。きっと今この瞬間にも世界中の至る所で、「次の休暇はどこへ行こうかな~」と手元のスマートフォンをいじりながら、リサーチや予約が行われていることでしょう。

では、「魅力的なウェブサイト」だと海外ユーザーから認識・信頼されるウェブサイトには、どのような要素が含まれているのでしょうか。

1.魅力的な画像や動画

未知の場所や思わずうっとりするような美しい画像や動画は、旅への欲求を刺激します。シンプルな配色や美しく魅力的な画像と的確なキャッチコピーを使うことで、ユーザーをウェブサイトにいっきに没入させていきます。テキストでメッセージを伝えることも重要ですが、人間の脳は視覚的情報を優先するため、画像や動画は文字よりも強力に人々を惹きつけることが多くの調査により判明しています。

古い画像や低解像度の動画などは、それだけでウェブサイト全体の印象を大きく失墜させてしまう可能性があるため、画像や動画といったコンテンツ素材選びは、ウェブサイトの品質を大きく左右することを意識したうえで行いましょう。

2.整理されたレイアウト

コンテンツを整理して表示することで、ユーザーの離脱を防ぎ、ユーザービリティを高めます。特に観光・旅行サイトでは情報量が非常に多くなりがちなため、運営者は理解していても、初めてウェブサイトを訪れたユーザーにとっては「どこに行けばいいのかわからない…」と、複雑怪奇になりやすい傾向にあります。

ウェブサイトがどんなに美しくデザインされていたとしても、ユーザーが目的のページにたどり着けない場合は、すぐに離脱してしまうため、シンプルで明確なナビゲーションでユーザーをスムーズに目的の場所まで誘導するように設計します。

3.旅行先で役立つ情報

ユーザーがウェブサイトを訪れる大きな理由の1つは、「有益な情報」を見つけるためです。

動画・ブログなどで、旅先の文化・食事・アクティビティ・旅のヒントなど、旅行者が旅先で体験するであろうさまざまな情報を提供することで、ユーザーの旅行意欲を高め、さらには旅の不安を軽減させることができます。情報の更新が滞っている状態はもちろんですが、ただ闇雲に情報を詰め込むのではなく、ウェブサイトを訪れるユーザーに「有益で価値のあるもの」を提供しなければいけません。

4.ユーザーの不安を軽減させる要素

ウェブ上でのビジネスを展開するにあたり、忘れてはいけないのが「相手の顔が見えない」ということです。ユーザーは、顔のわからない相手を信頼していいかどうかを、ウェブサイトのみで判断することになります。日本の大企業であったとしても、海外でも同様の「知名度・信頼度」があるとは限りません。そのためウェブサイトを通して、少なくとも「ユーザー⇔企業」との信頼を確立する必要があります。

「評価・口コミ」はユーザーの行動に大きな影響を与えることが出来ますし、「地図」は旅先の公共交通機関をわかりやすく提示し快適な旅を提案することに繋がります。「言語ガイドライン」は「日本語が読めない・書けない外国人」の不安を大幅に軽減することができるでしょう。ユーザーが何を求め、何を懸念しているかをしっかりと理解したうえで、これらに対して何らかの対策を講じることで、旅への「心強い一押し」となるでしょう。

では、ここからは実際の秀逸な観光・旅行ウェブサイトを見ていきましょう。

 

 感性を刺激する!
海外の秀逸な「観光ウェブサイト、6選」

観光ウェブサイトは、当該地域や観光地の情報提供ツールとしてだけではなく、その土地・場所への訪問を疑似体験するためのツールとしての役割が求められています。感性を刺激するような魅力的な観光・旅行サイトを、6つの事例をあげながら解説していきます。

1.Visit Seattle

https://visitseattle.org/ (2022年12月の訪問者数:17万2千人)

visitseattle.org website

Visit Seattleのウェブサイトを分析してみると、訪問者数は2022年12月には約17万人以上の流入があり、米国はもちろんのこと、カナダ、ベルギー、ドイツ、ノルウェーからの流入が多いことがわかります。

Visit Seattleのウェブサイトの特徴は、「美しいシアトルの景観画像、心躍るキャッチコピー、シンプルで明確なナビゲーション、豊富なコンテンツ」で、ユーザーを没入させていきます。

最上部に位置するメニューバー(赤枠)は、「誰が・どこに行けば・何があるのか」を、一目見ただけでわかるような階層になっており、情報量の多い観光サイトであるにも関わらず、ユーザーが欲しい情報を出来る限りわかりやすく配置しています。また、特筆すべきは、「 VisitSeattle.tv 」という階層です。YouTubeでも配信されている動画コンテンツは、様々なトピックごとに美しくシリーズ化されており、実際のドキュメンタリー番組を見ているかのような気分に浸ることが出来ます。

visitseattle.org website 2
<https://visitseattle.org/tv/>

また、Visitseattle.tvと言っても動画だけでなく「音声コンテンツ」も用意されており、シアトルで暮らし活動する人々を「アート・食・自然・多様性」などの様々な視点からインタビューした動画・音声コンテンツによって、シアトルという街のダイナミズムを気軽に感じることができるようになっています。


<https://visitseattle.org/tv/>

動画や音声コンテンツは、画像やテキストに比べて非常に多くの情報をユーザーに伝えることができるため、旅行・観光サイトには必要なコンテンツフォーマットの1つとなっています。加えて、サイト内に設けられたブログでも、最新のローカル情報が入手でき、一人旅でも家族旅行であっても参考になる豊富なコンテンツが用意さています。

画像や動画による印象的な視覚情報と、テキストによる新鮮な現地情報とのバランスが非常に良く、「シアトルに行ったらこんなことをしてみたい!」という欲求が刺激されるウェブサイトです。

 

 

2.Visit Norway

https://www.visitnorway.com/  (2022年12月の訪問者数:59万6400人)

visitnorway.com websitevisitnorway.com website

ノルウェーの観光ウェブサイト「Visit Norway」のウェブサイトへの1か月の訪問者は平均して59万人ほどの流入があり、米国・ノルウェー・英国・ドイツ・オランダなどからアクセスを集めています。

Visit Norwayのウェブサイトのメインビジュアルは、装飾や華美な要素を限りなく排除し、まるでノルウェー旅行をしているかのような美しいオーロラ動画でサイト訪問者を魅了します。ウェブサイト全体を通して非常にシンプルで整理された設計であり、画像や動画をふんだんに活用することで、直感的にサイト内を探索できるよう設計されている点が特徴的です。メニューバーには、旅行者が知っておくべき現地の気候やホテル予約、感染症対策等の情報がまとめて確認できるようになっている点も、サイトに対する信頼性や利便性を高める要因として役立っています。

visitnorway.com websitevisitnorway.com website

オーロラや美しい自然などの「北欧の国・ノルウェー」ならではの“観光価値”を、画像や動画コンテンツとして活用することで、ユーザーは視覚情報だけでどのような体験ができるかを直感的にイメージすることができます。さらに、サービスや情報が多いにも関わらずシンプルかつ必要十分な選択肢が提示されており、ユーザーはストレスなくウェブサイト内を回遊することが出来るように設計されています。

visitnorway.com website

また、地図ベースでの情報検索が可能となっており、地理に不安を覚える外国人観光客であっても不安を軽減し、さらに検索に紐づく豊富なコンテンツでユーザーとの信頼関係を見事に構築しています。言語もイギリス英語・アメリカ英語・フランス語・ドイツ語・スウェーデン語・ノルウェー語・中国語・デンマーク語・スペイン語・イタリア語・オランダ語と、多言語に対応しています。

 

3.Visit Finland

https://www.visitfinland.com/(2022年12月の訪問者数:32万6900人)

visit finland website

「Visit Finland」はフィンランド政府の公式観光庁のウェブサイトです。ウェブサイトの訪問者数は、2022年12月には約32万人以上の流入があり、フィンランド国内はもちろんのこと、アメリカ・ドイツ・フランス・日本からの流入を集めています。

サイトを訪れると、フィンランドの壮大な美しい自然と「The happiest country in the world / 世界で最も幸せな国」という世界で唯一、フィンランドだけが使えるキャッチコピーで私達を迎えてくれます。

全体を通して、キャッチコピーはインパクトがあり、簡潔です。また、そのキャッチコピーや美しい画像や動画を引き立てるために、十分な余白とシンプルな配色・デザインを採用することで、ユーザーアクションを減らし、直観的に理解を促しています。

visit finland website

トップページは、「フィンランドに興味はあるけど、まだよく知らない」と言った”潜在顧客”にターゲットを絞り、地図や初歩的な質問などに回答するコンテンツを配置しています。スクロールするごとに「どの都市に行くべきか、どの地域で何をするべきか」など、より具体的な情報を提示しています。まだ、未開拓の地を旅するユーザーの不安・疑問を軽減してくれる素晴らしいウェブサイトです。

さらに、各コンテンツ毎に「Share (共有)、Save(保存)」が出来る機能が実装されており、気軽に情報やアイデアをシェア・保存する若者世代の性質に対応した素晴らしいウェブサイトになっています。

言語はスウェーデン語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・中国語・日本語・ロシア語の8か国語に対応しています。

 

4.Visit California

https://www.visitcalifornia.com/ (2022年12月の訪問者数:77万9000人)

「Visit California」のサイトの訪問者数は、2022年12月には約77万人以上の流入があり、アメリカ国内はもちろんのこと、韓国・日本・メキシコ・イタリアからの流入を集めています。

カリフォルニア州の観光サイト「Visit California」は、一見、一般的な観光サイトのような印象を受けますが、マウスをスクロールする度にページレイアウトを変化させ、まるでゲームの世界にやってきたような没入感覚を味わえる、視覚的アプローチを効果的に活用したユニークなページを用意しています。(是非、こちらのURLでサイトを訪れてみてください!)


<https://www.visitcalifornia.com/dreaming/>

インタラクティブなサイト設計は、大胆で鮮やかな色彩とレイアウトと相まって、「文化やテクノロジーの最先端都市」とされるカリフォルニアのブランド価値をさらに高め、旅行者の高揚感を誘っています。

さらに、Instagramと連携させており、「#VISITCARIFOLNIA」とタグ付けされた投稿写真をウェブサイトに反映しています。ユーザー自身が作りだすコンテンツ(User Generated Contents)は、BtoCビジネスにおいて、購買意欲喚起に大きな影響を与える重要なコンテンツとして認識されています。

事実、Crowdriffの調査に参加した人の79%は、「ユーザーが生成したコンテンツが意思決定に大きな影響を及ぼした」と回答しています。また、観光や旅行の計画を立てる際も、実在するユーザーの生の声や感想が映し出されたSNSやブログなどの投稿記事が、高いエンゲージメントを獲得し、より高いロイヤルティも期待できる費用対効果の高いコンテンツタイプの1つとして注目を集めています。

ユーザーが生み出すコンテンツを多く取り入れることで、インフルエンサーの地であるカリフォルニアのリアルな魅力を伝えることに成功しています。

言語は英語(英・米・豪・加・印)、スペイン語(メキシコ)、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、中国語、日本語、韓国語に対応しています。英語だけで、5つの国にローカライズされているという点も注目すべき点と言えるでしょう。

 

5.The Yacht Week

https://www.theyachtweek.com/ (2022年12月の訪問者数:6万3000人)

「The Yacht Week」のサイトの訪問者数は、約9万人ほどの流入があり、アメリカ、オーストラリア、コロンビア、インド、イギリスなどからの流入を集めています。オーダーメイドなヨット旅を提供する「The Yacht Week」は、美しい海や自然の写真に加え、7日間に渡る船上でのエクサイティングで華やかな日々を追体験できる動画コンテンツを効果的に活用したウェブサイトです。

一見、典型的なウェブサイトのように見えますが、魅力的なウェブサイトに必要が要素を全て取り込りこんでいると言っても過言ではないほど、緻密に設計された秀逸なウェブサイトです。

ナビゲーションは非常にシンプルで、「どういったサービスが提供されているのか」、「どのようなメリットがあるのか」「どのような手順で行えばよいのか」「料金はいくらなのか」など、十分な情報が全て提示されており、ユーザーはストレスを感じることなくサイト内を回遊することができます。

トップページには、ユーザーからの口コミ・SNSの投稿を連携し、海外市場ではより重要視される「実績・評価」を掲載することで、ユーザーの不安を軽減しています。さらに、とんでもない数のFAQも一見の価値があるページです。加えて、高額&パッケージングされた商品であるにもかかわらず、料金の内訳をウェブサイト上で明確に提示することで、透明性を高めユーザーとの信頼関係をさらに強固なものにしています。


<What’s Included‐全てのツアー料金の内訳を見ることができます>

GoProやドローンを使って撮影された美しい動画は、ダイナミックな自然に囲まれた中での船上パーティーやビーチでの音楽ライブ、美しい島々でのアクティビティに溢れた7日間のクルーズが、よりリアルに映し出されており、サイトを見ているだけで、そこに行ったかのうような臨場感を味わうことができる素晴らしいクオリティです。各所に適切な動画が組み込まれているため、初めて利用する人でも、システムやサービスをしっかり理解したうえで申し込める点も、ウェブサイトの信頼性を高めています。

 

6.Context  Travel

https://www.contexttravel.com/ (2022年12月の訪問者数:7万3000人)

「Context  Travel」のサイトの訪問者数は、平均で約8万人ほどの流入があり、アメリカ、イギリス、スイス、カナダ、イタリアなどからの流入を集めています。歴史を学ぶための観光ツアーを提供している「Context Travel」は、非常にニッチな市場でありながらも、わかりやすいサイトに設計されています。

世界6ヵ国60都市以上の観光地で、博士号相当の資格を持った専門家がツアーガイドをしてくれるというビジネスモデル+企業からの評価と参加者の口コミを掲載することにより社会的信頼を高めています。

各ツアーはメインビジュアルに設定された検索バーから用意に検索できるため、旅行日程の中に気軽にツアーを組み込むことができます。さらに、Instagramと連携しており、自社で投稿したコンテンツがウェブサイトに反映されています。ウェブページからの「いいね♡」がInstagramにダイレクトに反映されるため、気軽に情報やアイデアをクリッピングしたい若者世代のニーズに対応した機能を実装しています。また、感染症対策の方針やキャンセルポリシーに関しても明確に規定しているため、ユーザーの旅先での不安を払拭する情報もしっかりと含まれています。

 

さいごに

いかがだったでしょうか?(思わず、「あぁ、行きたい…」と心の声が漏れてしまった方も多いのでは?!)これまで紹介してきた観光地のウェブサイトはどれも、その場所特有の空気感や付加価値をうまくビジュアライズしたサイト設計がなされていました。海外からの訪日観光客を取り込むための観光ウェブサイトの設計には、その土地ならではの魅力や価値が伝わるような写真や動画を掲載することはもちろん、サイト内のレイアウトやアニメーションにも配慮することが重要です。

今回紹介した海外サイトの優れているポイントを参考に、日本の魅力を最大限発揮できるようなビジュアル効果を生む観光ウェブサイトの制作を進めていきましょう。

ホワイトペーパー_グローバルな視点で紐解く 海外向けWebブランディング戦略構築術

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。