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2023年07月20日

「BtoB vs BtoC」それぞれに異なるSNS戦略
~目標設定・コンテンツ・プラットフォーム~

「B2B vs B2C – それぞれに異なるSNS戦略」 ~目標設定・理想コンテンツ・最適プラットフォーム~

1996年、世界初のSNS「Bolt(現在は閉鎖)」が登場して以来、ソーシャルメディアは世界人口の半数を超える人々に浸透しました。2010年の9億7000万人から2020年には38億1000万人、2023年には47億6,000万人を超え、ユーザー数は2010年から5倍以上に激増しています。

近年では「海外顧客⇔企業」を繋ぐ1つのツールとして、ソーシャルメディアを活用しようと考える企業が増える一方で、適切な戦略策定や運用が出来ていないケースも多く見受けられます。

ソーシャルメディアは適切な戦略策定・運用を行うことで、多くの海外リードを生み出し、売上を伸ばすことができる重要なマーケティング施策の一つです。しかし、ただ単に企業情報を発信しているだけでは、効力は発揮できません。さらにいえば、「BtoB⇔BtoC」といった異なるビジネスモデルによってソーシャルメディアの的確な運用方法は異なります。

今回は、BtoBとBtoC企業においてソーシャルメディア戦略がどのように異なるか、それぞれに最適なソーシャルメディアプラットフォームを選ぶヒントをご紹介します。

 

目次

 

「BtoB・BtoC」目標設定の違い

自社のビジネスモデルがBtoBもしくは、BtoCであるかによって、「目標設定」は大きく異なります。重要なポイントは「SNSマーケティングの成功を、どのように定義するか?」です。SNSマーケティング施策と最終的な利益との連関を把握していないと、マーケティングROIを測定することはできません。

ここでは、一般的な「BtoB / BtoC」のSNS目標設定をご紹介します。

BtoB

一般的にBtoB企業でSNSマーケティングを実施する場合は、「リード数・ウェブサイトのトラフィック・ブランド認知度・シェア数の増加」などをKPIとして設定します。BtoBビジネスでは、「販売サイクル」が長いため、単に売上を重視するのではなく、潜在的な顧客との繋がりを可視化する指標である「エンゲージメント(顧客との関係性)、ブランドの認知度」といった要素を重要視します。この指標は顧客との長期的な関係を見る上で価値のあるものとなります。

BtoC

ほとんどのB2CのSNSマーケティングの場合、「認知・エンゲージメント・コンバージョン」を重要視します。販売サイクルが短く、顧客と1対1で対峙するBtoCの場合、できるだけ多くの潜在顧客の目に留まり、コンバージョン(購入)を増やすことを目指します。

エンゲージメントの指標としては、「ロイヤリティ(ユーザーのファン化)」が重要な指標となります。企業との繋がり深ければ深いほど――つまり自社ブランドのファンになっていれば――、生涯顧客として維持できる可能性が高いことが証明されているからです。SNSで発信すべき情報としては、ユーザーの商品理解促進がメインとなり、いかにサービスサイトへの流入が発生しやすいコンテンツになっているかが重要です。

 

「BtoB・BtoC」最適なコンテンツの違い

「B2B vs B2C」- 最適なコンテンツの違い

BtoB

BtoBビジネスの購買サイクルは、BtoCと比較して、一般的に長くなる傾向があります。加えて、BtoB企業が提供する製品・サービスには、顧客ビジネス課題を解決する商品力が求められます。だからこそ、BtoB企業にとってソーシャルメディアは「リードナーチャリング」手段として効果を発揮するのです。

ホワイトペーパー・ケーススタディ・ウェビナーといったコンテンツをSNS上で提示しながら、自社の商品が顧客の問題を確かに解決できることをアピールしましょう。そうしておくことで、顧客が製品を購入する段階にきたときに、真っ先に御社の製品を想起させることが狙いです。

さらに、作成するSNSコンテンツの内容を検討する際には、ユーザーの思考をイメージすることが大切です。

  • BtoB企業の顧客は友人や家族と共有できるようなユーモアのある記事を求めていますか?
  • 業界の変化や最新トレンドについて、専門家の意見を求めているのでしょうか?

このように、見込み顧客として育てたいユーザーを正しく捉えて、より深く知ること。それがBtoB企業のSNSマーケティングの第一歩となります。

BtoC

一方でBtoC企業の場合はどうでしょうか。お客様の購買サイクルは短く、リードナーチャリングの必要性はBtoBと比べて低いでしょう。見込み客を育成するようなコンテンツというよりもむしろ、「Instagramと親和性の強いビジュアルを意識したコンテンツ」であったり、「Twitterポストとして最適な、共有可能な魅力的なコンテンツ」など、使用する各SNSの特性に合致したコンテンツであることが大切です。

たった1回のパワフルで魅力的なSNS投稿や魅力的なコピーのキャンペーン広告などが、大きな売上をもたらすかもしれないのです。誰もやっていないこと、ユニークな企画など、BtoC企業におけるSNSマーケティングは、独創的なアイデアがそのパワーを遺憾なく発揮します。

 

「BtoB・BtoC」最適なプラットフォーム

「B2B vs B2C」- 最適なSNSプラットフォーム

Social Media Examinerが行ったSNSプラットフォームを比較する調査では、BtoBマーケターはLinkedInを、BtoCマーケターはFacebookを重要視していることがわかりました。

デジタル化が進む現代社会では、世界のユーザーが何かしらのSNS上で、長時間の時間を消費しており、“自社が狙うターゲットユーザーがどのプラットフォームにいるか” を正しく把握することは、SNSマーケティングを成功に導くためにとても重要になってきます。

「BtoB/BtoC」それぞれに最適なSNSプラットフォームを選定するためのヒントをご紹介します。

BtoB

▼ LinkedIn LInkedIn logo

BtoB企業がコンテンツを配信するのに最適なプラットフォームとして、近年世界中の多くの企業が活用し始めたSNSが「LinkedIn」です。

日本ではまだまだユーザー数が少なく、転職のイメージの強いLinkedInですが、2023年6月現在、200以上の国や地域に9億3000万人のユーザーを獲得しており、特に『海外』×『ビジネス』に親和性の高いソーシャルメディアとして、企業のマーケティング活動に積極的に活用されています。

LinkedInの最大の利点は、多くの役職に就いているユーザーや仕事上での意思決定者・オピニオンリーダーたちが多く、購買力が高いことが挙げられます。また、LinkedIn広告では、年齢・性別・場所など基本的なターゲティングセグメントに加えて、所属会社やスキル、学歴、役職と言った、LinkedInが保有するデータ特有のセグメントを利用してターゲティングを行うことが出来る優れたプラットフォームです。

LinkedInを十分に活用するには、ユーザーを惹きつける魅力的なコンテンツ作りがポイントです。LinkedInの投稿コンテンツの中で「How to(ハウツー)系」が最もエンゲージメントが高い傾向にあります。ターゲットユーザーの共通の問題や課題の解決策を提示しましょう。またコンテンツの投稿だけでなく、ショーケースページや業界グループなどLinkedInが提供する機能を上手く活用することで興味に応じて異なるビジネス界のフォロワー獲得へ繋がります。

▼ Facebook Facebook-logo

若年層のFacebookユーザーは減少しているものの、BtoB企業の意思決定者が比較的多く活用しているのが、Facebookです。Facebookの月間アクティブユーザーは30億人、デイリーアクティブユーザーも20億人を超えています。現在でもユーザー数は増加傾向にあるFacebookは、海外市場では依然として人気のあるプラットフォームの1つです。

ユーザーが求めているモノを理解したうえでFacebookを活用することができると、顧客との信頼関係へと繋がります。平坦な情報だけを配信するのではなく、企業情報など自社の「人間的」な側面をアピールし、あえて形式張らないフランクな方法でユーザーとコミュニケーションすることが大切です。注意点として、Facebookのタイムラインは、Twitterと比べるとゆったりとているため、1日に何度も投稿するとユーザーのフィードが曇ってしまう可能性があるので注意しましょう。

▼ YouTube

BtoB企業にとってYouTubeは、教育動画「ハウツー(How to)動画」の配信に適した媒体です。YouTubeでハウツー動画を視たユーザーに対して「続きはサイトで」と、サイト流入へと誘導するのです。「お客様導入事例」「ケーススタディコンテンツ」もまた、YouTube動画に適したコンテンツです。お客様の生の声を動画に収めることで、テキストでの情報発信よりも生きた情報をユーザーに届けることが可能です。

▼ Twitter twitter logo

BtoB企業にとって、Twitterは優先度の低いSNSかもしれません。しかしながら、Twitter上には”将来自社の顧客となるかもしれない”潜在顧客が多数眠っていることも、また事実です。

Twitterは拡散力に優れており「ブランド認知向上・競合分析・オーディエンスの特定・アンケート」など様々な切り口から活用できる優れたプラットフォームです。そんなTwitterではエンゲージメントが重要です。会話をベースとしたコミュニケーションプラットフォームであることから、企業がTwitterで成功するためにはユーザーからのダイレクトメッセージに丁寧に対応し、人肌のコミュニケーションを心がけることです。

そして何より、お客様に対して有益な情報を提供しましょう。厳選コンテンツの投稿以外にも、顧客・インフルエンサーのTweetをリツートするなど、品質を意識しながら常にアクションし続けることが大切です。

▼ Instagram instagram-logo

InstagramはBtoCビジネスと相性の良いプラットフォームですが、ユーザー行動を理解することでBtoBビジネスでも効果的に活用することができます。BtoBの場合、長期間に及ぶ販売サイクルの中で、顧客との信頼関係を構築する必要があります。視覚的インパクトの強いInstagramは、「企業文化」や「ブランド価値」をアピールすることが可能です。

Instagramを利用する多くのユーザーは、仕事から離れたプライベートな時間にInstagramを使用する傾向が強いため、ガチガチのビジネスコンテンツではなく、企業の裏側を見せたり、イベントやスポーツで活躍する社員の様子、さらには新設したオフィスのカフェスペースなど、もう1歩踏み込んだ世界にユーザーをお連れしましょう。仕事以外のことでも伝えられることはたくさんあるはずです。

 

BtoC

▼ Facebook Facebook-logo

BtoCマーケターの97%はFacebookを使用しています。Facebookコミュニティに参加し、顧客との関係性を構築しながら製品やサービスを紹介することは有効な打ち手といえます。

写真・ブログ記事はもちろんのこと、近年非常に人気の高い動画フォーマットなどを投稿しましょう。自社のFacebookページ上で常にフレッシュな情報を発信することが重要です。また、写真や動画を含む投稿は、視聴数とエンゲージメントを獲得する可能性が高くなります。最低でも1日1回の投稿がおすすめです。

▼ Twitter twitter logo

ユーザーの関心の高いコンテンツを投稿しましょう。また、コメントなどを通して顧客との会話に参加することが大切です。BtoC企業は楽しくて、消費しやすいコンテンツを投稿しましょう。BtoB企業と同様にユーザーを惹きつけるためにツイートやチャットに参加することで、インタラクティブなコミュニケーションをSNS上で実現するのです。

▼ Instagram instagram-logo

Instagramが登場した当初は、「マーケティング費用をかけるほどではない」とまで言われていたInstagramですが、現在では既存の消費者だけでなく新規ユーザーへのタッチポイントとして大きな可能性を持っています。

BtoCの販売サイクルが非常に短いことを考えると、Instagramとの相性は抜群です。「魅力的な製品を、素早く手に入れたい!」、そんなZ世代を中心とする消費者と企業を繋ぐ最適なプラットフォームです。

2億人以上のユーザーが1日に少なくとも1度はビジネスプロフィールを閲覧し、最も閲覧されているストーリーズの3分の1は企業であることは注目すべき点の1つです。

 

さいごに

ソーシャルメディアは、海外顧客⇔企業を繋ぐ、現代のマーケティングでは必要不可欠な施策の1つです。ビジネスモデルによって異なるSNSの特性を理解し、効果的に活用することでビジネスを大きく発展させるきっかけを作ることができます。BtoBとBtoCでそれぞれに異なる「目標設定、戦略、そして最適なコンテンツ」を踏まえてSNSをマーケティングにフル活用しましょう。

そして、実は日本よりも海外市場の方がSNSマーケティングは大きな効力を発揮しうる可能性を秘めています。もしSNSを活用した効果的なグローバルマーケティングをご検討でしたら、ぜひ私達にお申し付けください。

ホワイトペーパー_海外SNSマーケティング入門

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。