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2020年12月14日

「人間翻訳 vs 機械翻訳」
~多言語サイト制作に向けたメリット・デメリット解説~

人間翻訳 vs 機械翻訳~多言語サイト制作に向けたメリット・デメリット~1

絶えず競争の激しいマーケットで成功するために、世界中のあらゆる企業はグローバルにマーケットを拡大しています。以前からデジタルシフトのトレンドに加え、新型コロナウィルスの影響により世界中で一気にデジタル化が進む中、世界での市場拡大を目指すには、「顧客が話す言語」で翻訳されたウェブサイトが必要となります。そして、そのウェブサイト制作にあたり必要不可欠なのは、多言語ウェブサイトにおける「翻訳の品質」です。

多言語ウェブサイトの翻訳には、人間が提供する翻訳と機械翻訳の2つの主要な方法で取り組むことができます。年々、精度の高くなってきた機械翻訳と人間が行う翻訳。

今回は「人間翻訳と機械翻訳」この2つのメリット・デメリットをご紹介します。

 

なぜ、「母国語での翻訳」が重要なのか?

母国語で翻訳する重要性

多言語ウェブサイトの翻訳は、顧客の信頼の向上・アクセシビリティ・ユーザーエクスペリエンスの向上など、大きなメリットをもたらします。

米国・英国で調査サービス提供しているCSAResearch社の調査によると、ウェブサイトの翻訳は「持っておくといい」というレベルではなく、海外顧客の75%は「自分の言語で行われているサービスの場合、同じブランドを再購入する可能性が高く、自国語でのカスタマーケアを望む」と考えているようです。また、90%の人は「理解できないウェブサイトはすぐに離脱する」との回答しています。

また、同社は、B2C 及びB2Bの「多言語ウェブサイト」と「英語のみのウェブサイト」の重要性についての比較調査をブラジル・中国・フランス・ドイツなど世界29か国を対象とした調査を実施しました。調査結果レポート「Can’t Read, Won’t Buy(読めない買わない)」では、65%のユーザーは母国語でのコンテンツを好み、73%は母国語での製品レビューを望んでいるとの調査結果を報告しています。

この調査結果からわかるように、単に「ウェブサイトが翻訳されていれば良い」のではなく、現地で日常的に使用されている「母国語での翻訳」が非常に重要になってくることがわかります。英語はグローバルな共通言語かもしれませんが、英語のネイティブスピーカーが世界人口の約25.3%しか占めていないことを考えると、単に「英語圏だから」という安易な理由で言語を選択してはいけないのです。

 

「機械翻訳」メリット・デメリットとは?

機械翻訳メリット・デメリット

check メリット

機械翻訳の大きなメリットの1つは、無料で機械翻訳してくれる機能でしょう。あまりお金をかけたくない、少しでも安く翻訳を済ませたいと考えている場合には「機械翻訳」をおすすめします。

少し前までは機械翻訳の精度は低く、まったく違う単語に変換されてしまいその意味を掴むのが難しいという時代もありました。しかし、過去5年間で機械翻訳の精度も大きな進歩を遂げ、精度の高い翻訳ができるようになりました。現在では、最先端のAIを駆使したニューラル機械翻訳(NMT)が主流となっています。ニューラル機械翻訳は人間の神経細胞に似た生物学的ネットワークを基盤としているため、利用する方にとっても扱いやすく、実行可能な機能レベルになっています。

機械翻訳の場合、自分が翻訳してほしい言語を選択するだけで、多くの語量を一瞬にして変換することができます。翻訳できないページやサイトなども出てくる場合もありますが、ほとんどのサイトやページを翻訳でき使いやすさも感じるでしょう。

dot logo デメリット

昔に比べて翻訳する力が伸びてきてはいますが、それでも機械翻訳が人間が実際に話す微妙な表現などを完璧に伝えることは今だに困難だという点ではないでしょうか。

機械翻訳を実際にしてみるとわかりますが、「このようなことを話したいのかもしれないと感じることができる言葉」と、「前後の文章とはまったく繋がらない言葉」に訳されることがあります。重要な意味の箇所を別の意味に翻訳されていると、本来伝えなくてはいけない部分が相手に伝わらないという事象が発生します。

具体的には、「心を込めて話した文章」「力を入れて書いた文章」「企業の商品などを魅力的に感じられるように特殊な表現やインパクトのある表現」にしていてもいざ、機械翻訳を通してみると「一般的な単語」に置き換えられてしまい、十分に企業メッセージを伝えられないという状況などが発生します。

便利な機械翻訳ですが、真の意味を伝えたいときには不十分さがあります。

また、Googleの品質ガイドラインには、自動化されたコンテンツを使用するウェブサイトは検索エンジンランキングにペナルティを課しています。このガイドラインには「公開前に人間によるレビューやキュレーションなしで自動ツールによって翻訳されたテキスト」が含まれており、完全に機械翻訳のみを使用したウェブサイトの場合、Googleからペナルティを課されるというリスクも発生します。完全なる機械翻訳では、グローバル市場においてブランドの信頼性と存在感を確立しようとしている企業にとって、不利になる可能性があるのです。

 

「人間翻訳」のメリット・デメリット

人間翻訳メリット・デメリット

check メリット

人間翻訳」のメリットは、言葉だけではなく「深い意味なども汲み取った表現」や、「その国の人たちの心の奥にフィットするような言葉」を表現することができます。さらに批判的思考や文化的認識も使いながら表現ができるので、ウェブサイトを訪問してくれる様々な国のユーザーに合わせた文章を作成することが可能になります。

自分たちが重要としている部分や企業や商品メッセージを伝えたいというときにも、その伝えたい国ではどのような表現をすれば、重要でインパクトのある部分だと認識してもらえるのかを吟味しながら言葉を選ぶことができます。

そのため、機械翻訳を見ていただけでは何を言いたいのかイマイチわからなかった文章に、命を吹き込み、メッセージ性を持たせ、ユーザーの心を捉える「人間らしい言葉」で表現することができるのです。

企業のコーポレートサイトなどの中で文章をより魅力的に伝えるには、相手が理解でき、心に訴えかけるような文章を作る必要があります。コピーやブランドメッセージを正しく心に響くように伝えられたときに初めて、本来の意味でも理解してもらえ共感、興味や関心を持ってもらうことが出来るようになるのです。

 

さらに、世界中でさまざまな情報が溢れる現在では、単純に多言語ウェブサイトを持っているだけでは、ユーザーの目に届けることは難しいといえるでしょう。インターネット検索で、上位表示されるSEO対策も重要です。

SEOの対策をしていないと、どんなに良い文章を作ったとしても、表示されなければユーザーの目に触れることは難しいでしょう。人間が翻訳を行うことによって、それぞれの国にマッチした最適なフレーズを選ぶことができるので、より海外ユーザーに訪れてもらえる多言語ウェブサイトを作ることが出来るのです。SEO対策も人間にはできますが、今のところ機械翻訳にはできない部分になります。

 

dot logo デメリット

人間翻訳でのデメリットは、やはり「コストが高い」ではないでしょうか。海外ユーザーに対して伝わり文章を考え、翻訳することは、それなりに手間暇やスキルが必要となります。そのため機械翻訳と比較するとどうしても料金は高くなってしまいます。

ただ、料金がかかってしまったとしても魅力的な文章にすることで、その国のユーザーに見てもらえるとしたら、お問い合わせや売上などに繋がる可能性が高くなるでしょう。コスト面のデメリットを考慮しても、メリット面が多く、人間翻訳はより魅力的な文章を届けることができるのではないでしょうか。

今は機械が翻訳する場合であっても、AIテクノロジーや独自の専門知識なども活かし、翻訳にかかるコストを低く抑える方法も多く存在しています。

 

「機械翻訳と人間翻訳」を組み合わせる魅力

人間翻訳と機械翻訳の融合

機械翻訳はコストや安く早く翻訳できるというメリットがあり、人間翻訳ではよりその国の人たちが理解しやすい文章に仕上げられるという良さがあります。どちらかだけを利用するとなるとコストが大幅に高くなってしまうことや、安く済ませることで意味の通じない翻訳箇所が多く、海外ユーザーに伝わらないという問題点が発生してしまいます。

ニュアンス・メッセージ・ユーザーが最初に目にするランディングページなど、どうしてもここだけは伝えたいという重要な文章は人間で翻訳し、単語の選択がそれほど重要でない製品ページや、ブランドに依存しないコンテンツなどは機械翻訳で行うなど、機械翻訳と人間翻訳を組み合わせることでよりコストも抑えながら読みやすい文章をその国の人たちに届けられるようになるでしょう。

 

まとめ

「人間翻訳・機械翻訳」どちらにもメリットとデメリットが存在します。一概にどちらだけが良いということはありません。しかし、「海外ユーザーの心を捉える」という部分に軸を置くと、圧倒的に「人間翻訳」が勝ります。ニーズに合わせながら機械翻訳のオプションを活用し、ウェブサイトの中で重要な部分には人間翻訳を使い、「人間翻訳と機械翻訳」の両方を組み合わせることで、海外ユーザーの心に響く翻訳を行いましょう。

良い翻訳文作成やグローバルブランディングに向けて多言語ウェブサイト制作などでお悩みでしたら、ぜひお気軽に私達にお申し付けください!

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吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。