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2022年11月25日

デジタル広告とは?「定義と解説」
マス広告との違いやデジタル広告の特徴を理解しよう

デジタル広告とは?定義と解説

低コストから始めることができ、狙ったターゲットにピンポイントでアプローチすることができるデジタル広告は、世界中のユーザーに対してオンライン上でビジネスを宣伝するための優れた方法の1つです。

2020年は新型コロナの影響によって広告市場全体は大幅に下落したにも関わらず、2021年日本の広告市場は大きく回復し、インターネット広告費がマスコミ四媒体広告費を初めて上回るなど大きな転換点となりました。世界に目を向けてみても、2021年、デジタル広告が世界の広告売上全体の64%を占めるなど、多くの企業がデジタル広告の活用に乗り出していることがわかります。詳細を見ても「Facebook・Google広告の3分の2以上をローカルビジネスが占める」など、小規模ローカルビジネスが「ビジネスを維持するために初めてデジタルマーケティングと広告を採用する」といった動きがみられました。


<出典:電通 日本の広告費№9>

※マスコミ四媒体広告費=新聞・雑誌・ラジオ・テレビメディア(地上波テレビ+衛星メディア関連)の「媒体費と制作費の合算」

このように、今までデジタル広告とは無縁だった多くの企業が、活発にデジタルを駆使するようになった今だからこそ、「デジタル広告の基本」を正しく理解することは、海外マーケティング成功に導く第一歩となります。そこで今回は、デジタル広告をより深く理解するための「デジタル広告の基本」を解説していきたいと思います。

 

目次

 

デジタル広告とは?point

デジタル広告とは、インターネット上に表示されるあらゆる形式の広告でオンライン広告やウェブ広告と称される事もあります。ウェブサイトなどを検索していると、画像やテキスト・動画などさまざまな種類の広告を目にすると思いますが、それらを総称して「デジタル広告」と呼ばれています。

デジタル広告には、ウェブ上に掲載されるウェブ広告のほか、動画配信サービスやメール配信サービス、さらにSNS上で表示されるものなど数多くの種類が存在しています。

デジタル広告は、潜在層に向けた認知拡大から購入後のカスタマーリテンション(顧客維持)のフェーズに至るまでのあらゆる段階で消費者にアプローチすることができるうえ、自社のターゲットに絞った適切なオーディエンスに適切なタイミングでリーチすることができるため、様々なビジネス目標を達成するための効果的なマーケティング戦略の一形態として認識されています。

 

デジタル広告の種類と特徴

デジタル広告の種類と特徴

デジタル広告のフォーマットにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があるため、目的に沿った広告フォーマットを選びます。ここではデジタル広告の種類とその特徴を詳しくご紹介します。

検索連動型広告(リスティング広告)

リスティング広告とは「検索連動型広告」と呼ばれるデジタル広告の形態の一つです。検索エンジンに検索語句を入力すると、検索した語句に関連した広告が検索結果の上位に表示されます。海外では「Search Ads」と呼ばれたり、クリック課金制の広告をすべてひっくるめて「Pay-Per-Click Advertising(PPC広告)」と表現します。リスティング広告は広告ではない検索結果と区別できるように、日本では「広告」・海外では「Ads」と表記されます。

Apple text ad
< Apple advertising >

検索されるキーワードに密接に関連している点がリスティング広告の大きな特徴です。ユーザーがインターネットを活用して「検索」を行う際は、情報の獲得や商品・サービスの購入を目的に具体的な“キーワード”を用いて検索を実施します。そのため、リスティング広告は「購入・予約・ユーザー登録」などのコンバージョンを目的としたするケースが多く、認知から購入にいたるカスタマージャーニーに例えると、「購買」に近いフェーズにいるユーザーをターゲットにリスティング広告の効果が発揮されます。

次のような「目的」がある場合、リスティング広告と相性が良いでしょう。

  • 短期的な成果を出したい
  • 予算に応じて広告費用を柔軟に調整したい
  • 検索結果における表示を増やしたい
  • Googleのような検索エンジン上にいるユーザーに広告を表示したい

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは「コンテンツ連動型広告」とも呼ばれるデジタル広告における形態の一つです。スマートフォン向けアプリ、WEBサイト、動画サイト、ブログサイト等のアプリやWEBサイト上などの、「アドネットワーク」と呼ばれる広告枠を提供する無数の媒体に掲載されます。

ディスプレイ広告として代表的なのはGoogleディスプレイ広告(GDN)です。GDNに媒体として登録しているメディアの広告枠に自社のディスプレイ広告が表示される仕組みです

ディスプレイ広告は具体的なニーズが顕在化していないユーザーに対しても有効な広告として知られています。ユーザーが見ているコンテンツに関連する内容や、興味関心・年齢・地域等の属性に基づいて広告を表示することによって、企業の認知拡大・自社想起などユーザーニーズを顕在化させることができるというメリットがあります。また、画像や動画などを組み合わせることでより視認性が高く、視覚的にユーザーにアプローチすることが可能です。リスティング広告と比較して、費用が安い傾向にあるのが特徴です。

ソーシャルメディア広告

ソーシャルメディア広告(以下、SNS広告)とはFacebook、Instagram、LinkedIn、YouTube、TikTokなどのソーシャルメディア上で展開する広告のことを指します。SNS広告のフォーマットは、テキスト・画像・動画・GIFなど様々な形態を取ります。ソーシャルメディアのタイムライン上に、他の投稿との間に自然と溶け込む形で広告は表示される場合もあり、「ネイティブ広告」と称されることもあります。

SNS広告はそのソーシャルメディアを利用しているユーザーの年齢・地域・性別・興味関心などの属性以外に、フォローしているSNSアカウントのカテゴリをターゲットしてに広告を配信することも可能なため、自社のターゲットに近いユーザーに的確にアプローチすることが可能です。また、潜在的なユーザーに企業・ブランドのメッセージを効率的に届けてくれる優れた広告媒体です。

LinkedInのFacebook広告
<LinkedInによるFacebook広告>

しかし、ソーシャルメディアは検索エンジンとは異なり、プラットフォームによって利用しているユーザーの世代に差があることが特徴です。1946年~1964年のベビーブーマー世代はSNSを48%程度しか利用していないにも関わらず、1981年~2000年初頭のミレニアル世代では、90.4%以上がソーシャルメディアを利用しています。ユーザーの年齢や目的によって使用しているソーシャルメディアが異なるため、ターゲットに合わせたメディア選定が広告施策を含むSNSマーケティング成功の重要なポイントの1つとなります。

動画広告

世界的に主流となってきているデジタル広告の1つが動画広告です。短時間で多くの情報を伝えられるため世界中で人気が高まっている広告フォームの1つです。動画広告は「インストリーム動画広告」と呼ばれる、動画プラットフォーム内で再生されるタイプの広告が幅広く使われてきましたが、最近ではウェブやアプリの広告枠で再生される「アウトストリーム動画広告」が増えてきています。

インストリーム広告は高確率で見てもらえる一方で「基本的に動画コンテンツ内でしか配信できない」といったデメリットを抱えているため、配信先が限定されています。一方でアウトストリーム動画広告の場合、動画プレイヤーや動画コンテンツに依存する必要がないことから、ページのどの部分でも広告を配信することが可能です。

世界に目を向けると、動画に慣れ親しんでいる「ミレニアル世代」がビジネスの意思決定主体世代になったことで、動画広告を活用したマーケティング施策の重要性は今後も増していくとみられています。

音声広告

音声広告は音楽配信サービスやポットキャストなど、音声コンテンツに再生される広告です。近年の音声コンテンツブームも伴い、2022年世界のデジタル音声広告の広告費は7650億円以上に達する見込みです。

音声広告と言っても音声だけでなく、ホストやゲストが製品やサービスについて話し合うネイティブ広告や音声広告と同時に表示できるバナー広告など多様な広告フォーマットが存在しています。
リスティング広告やSNS広告と同様、年齢・性別・地域・ユーザーの嗜好性などといった詳細なターゲティングが可能となっています。また、制作コストも動画よりも低い傾向にあることから、海外向け広告の1フォーマットとして活用する企業も増えてきています。

 

デジタル広告とマス広告との違い

デジタル広告とマス広告の違い

配信媒体

マス広告はマスメディアという媒体を通して掲載される広告のことを指します。たとえばテレビCMはテレビの電波を通して放送されている広告です。その他新聞や雑誌、ラジオもマス広告に分類されます。「テレビ・新聞・雑誌・ラジオ」の4媒体に掲載される広告のことです。広告の対象は個人ではなく大衆(マス)であり、不特定多数の人にアプローチすることができる広告媒体です。

一方デジタル広告は、インターネットや動画配信サービスなど「通信」というデジタル化されたコミュニケーションサービスを利用して配信されます。ターゲットとなる対象は「興味・関心」を持ったユーザーで、広告をクリックして「見る or 見ない」は配信先の個人で選択が可能です。

目標設定

マス広告を実施する目的は基本的には「認知・自社想起」が最終的なゴールになります。一方、デジタル広告は、潜在層顧客に向けた「認知拡大」から比較・検討・購買・購入後のカスタマーリテンション(顧客維持)のフェーズに至るまでのあらゆる段階で消費者にアプローチすることが可能なため、目的(目標)によって異なる広告戦略を立案します。

ターゲティング

マス広告は配信媒体の特性として、「不特定多数の多くのユーザー」がターゲットとなります。一方デジタル広告では、ユーザー一人ひとりの検索履歴や閲覧履歴、SNS広告などでは登録したユーザーデータなどを活用して広告配信を行うことができるため、ユーザー興味・関心・職業・年齢・居住地域など自社の目的に合った的確なターゲットに無駄なく配信することができるのです。また、リアルタイムでの広告の成果などのデータを追跡することが出来るため、目標が現時点でどれだけ到達できているのか、或いはどのようなコンテンツや施策が効果的なのかを明らかにすることができます。

費用

マス広告は、広告費用が高額になります。15秒ほどのテレビCMを放送するだけでも、制作費から含めると、数千万円~数億円ということも珍しくありません。それが海外向けマス広告制作の場合の費用は…想像以上だと言えます。私も海外で某航空会社のオフライン広告の撮影に関わったことがありますが、それはそれは数分単位で莫大なコストが発生します。

それと比較すると、デジタル広告ではコストを最小限に抑えての宣伝が可能です。通常デジタル広告は、ユーザーがクリックすることで料金が発生するクリック課金制度など、広告の興味のあるユーザーがアクセスしたときのみ費用がかかる仕組みになっています。また、対象となるユーザーがよく利用する場所(たとえば検索結果画面など)のみに表示することも可能です。もちろん、海外向けデジタル広告の場合は、ある程度コストをかけないと効果がイマイチという傾向はありますが、コストを上手くコントロールしながら効率良く顧客を獲得できるのも、マス広告との違いと言えるでしょう。

広告効果測定

先述した通り、マス広告は大衆向けの広告で「認知拡大」をゴールと設定して不特定多数のユーザーに対して広告を配信します。そのためテレビやラジオでは「述べ視聴率(GRP)」や「延べ注視量(GAP)」といった指標で計測しますが、大まかな指標となり一人ひとりのユーザーに向けた細かな効果測定は困難です。

デジタル広告では、Googleアナリティクスや専用の解析ツールを使用することにより、デジタル広告の効果が数値化されます。広告の効果が数値化されることで、広告やサイトの改善点が見つかりやすくなります。さらに、テスト広告といって、同じ商品を異なる広告で宣伝し、どちらがより反応が高いかということもデジタル広告なら簡単に分析できるようになりました。

デジタル広告にアクセスしたユーザーの数やアクセス数、広告から遷移先に移動したユーザーの数など、過去の推移やリアルタイムで把握することが可能です。

 

デジタル広告はなぜ有効?

デジタル広告はなぜ有効か?

デジタル広告は大勢の人ではなく「個人にアプローチできるという特徴があります。この特徴を念頭において、広告の目的を設定することが大切です。売りたい商品があるものの知名度が低いという場合は、「ブランドの認知度を高めるための広告」を作成すると良いでしょう。売上を伸ばしたいというのであれば、「異なるターゲットに訴求する広告」が必要になります。

このように、オンライン上で活動しているユーザーにアプローチし、利益を上げるために利用されるのがデジタル広告です。これは日本に限らず海外でも同じことで「世界共通の常識」となっています。

  • デジタル広告について知っておくべき「統計データ」についてご紹介します。
  • 2022年7月、インターネットユーザーは50億300万人を突破(世界人口の62.8%以上)
  • 2022年7月、ソーシャルメディアユーザーは47億人を突破
  • 1日のインターネット利用時間は世界平均で6時間58分
  • Googleを使って検索するユーザーの数は、1日あたり35億
  • Googleでの検索量は、毎年約10%~15%増加
  • インターネットユーザーの76.1%はソーシャルメディアを活用してブランドを「検索」
  • 64%の人がオンライン動画に影響されて商品を購入し、購入決定の52%はFacebookにさかのぼることができる

このようにデジタル社会の加速に伴い、世界中でインターネットの影響はとても大きく、企業にとって無視できない存在となりつつあります。企業はブランド認知度を高め、リードを増やし、売上を上げる必要があります。そのためにデジタル広告の積極的な活用は非常に重要といえるのではないでしょうか。

 

今後デジタル広告が重要になる理由

デジタル広告が重要になってくる理由

デジタル通信を使った広告は、マス広告よりも重要視される可能性を持っています。もしかしたら、マス広告でも十分やっていけると考えている人もいるかもしれません。しかし、時代は確実に非デジタルからデジタルに移行しています。

海外の話になりますが、近年、スーパーボウルやオスカー受賞式、オリンピックなど、多くの人が注目しているイベントの視聴者が低下し続けていると指摘されています。2020年、オスカー授賞式はテレビ放映されましたが、視聴者数は640万人減少し、前年からマイナス20%少なくなり史上最低の視聴数を記録しました。視聴者が少なくなったということは、それだけテレビでCMを放送しても、以前のような効果が得にくいことにつながります。これはテレビ放送に限ったことではなく、ダイレクトメール広告や新聞、雑誌など非デジタル媒体と呼ばれるほとんどで、同じような現象が世界中で起きています。

Pew Research Instituteが実施した、2019年の調査で、およそ89%の人が定期的にインターネットを利用しているということがわかりました。65歳以上でも、約66%の人がインターネットを利用しています。インターネットに時間を費やす人は年齢が若くなるほど多くなり、アメリカでは、若年層がインターネットに費やす時間は、1週間で50時間以上になると言われています。人々の関心が、マスメディアからインターネットに移行する流れは、今後も続くと考えられています。この傾向は、海外だけでなく日本も同じと考えて良いでしょう。

 

デジタル広告が成功する理由

デジタル広告が成功する理由

デジタルメディア広告が成功する理由について、シンプルにいくつか理由を挙げてみます。

(1)広告費が安い

デジタル広告費は増加傾向にありますが、それでもマス広告に比べたら、かなりリーズナブルです。広告の表示期間もコントロールできますし、大小さまざまなキャンペーンを実施し、低コストで効果を測定できる点が、デジタルメディアの魅力と言えるでしょう。

(2)特定のユーザーに適切なメッセージで訴求ができる

デジタル広告ではターゲットをグループ分けして、そのグループそれぞれに最適な広告の作成が可能です。各グループに最も関連性の高いものと判断された広告が表示されるようになります。

デジタル広告の作成と掲載は、難しいというイメージがありますが、コツを覚えてしまえば(もちろんテクニックは必要になりますが)、広告の作成から掲載までがマス広告と比較すると、圧倒的に簡単に進みます。

「収益をもっと上げたい」といった設計部分では、専門的な知識が必要になるときもありますが、専門家のアドバイスを受けながら改善することをおススメします。

(3)費用対効果が高い

自社の狙ったターゲットにだけ広告を配信することが可能なデジタル広告は、中小企業であっても莫大なマーケティング予算をかけることなく、高い成果を上げることが可能になります。

緻密な設計をすることで、大掛かりな制作費もコストも必要なく、低予算で効果的なマーケティングを展開できます。

(4)スピードが速い

デジタル広告は実際に広告を作成してから掲載まで圧倒的な短時間で実行可能な施策です。さらにリアルタイムで効果を解析できるため、効果を把握して、データを見ながら必要な修正まで素早く対応可能です。

オンラインでは、ユーザーの反応も早くなります。広告を見つけて指定されたフォームから申し込みするまで、数分で済むこともあるのです。時間が短縮できるということは、ユーザーにとっても広告主にとっても良い環境と言えるでしょう。

 

さいごに

低コストで適格なターゲットにアプローチできるデジタル広告は、海外ユーザーに対してオンライン上でビジネスを宣伝するための優れたプロセスです。大手企業に限らず、中小企業にとっても強力な広告ツールとして活用してくれるはずです。これを機会に、海外向けデジタル広告を検討してみてはいかがでしょうか。

ホワイトペーパー_はじめての海外デジタルマーケティング 目標設定メディア選定代理店選び

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。