GLOBAL MARKETING BLOG

ピックアップ 新着理論的に学ぶ
2024年02月02日

デジタル広告とは?「定義と解説」
マス広告との違いやデジタル広告の特徴を理解しよう

低コストから始めることができ、狙ったターゲットにピンポイントでアプローチすることができるデジタル広告は、世界中のユーザーに対してオンライン上でビジネスを宣伝するための優れた方法の1つです。

2020年は新型コロナの影響によって広告市場全体は大幅に下落したにも関わらず、2021年日本の広告市場は大きく回復し、インターネット広告費がマスコミ四媒体広告費を初めて上回るなど大きな転換点となりました。

世界に目を向けてみても、2024年の広告費用は去年より7.2%増加し、全世界で総額9,140億ドルになると予想されています。その中でデジタルメディアの広告支出が堅調で、+9.4%も増加すると予測されています。

コロナロックダウンを機に、世界中で今までデジタル広告とは無縁だった多くの企業が、活発にデジタルを駆使するようになった今だからこそ、「デジタル広告の基本」を正しく理解することは、海外マーケティング成功に導く第一歩となります。そこで今回は、デジタル広告をより深く理解するための「デジタル広告の基本」を解説していきたいと思います。

 

目次

 

デジタル広告とは?

デジタル広告とは、インターネット上に表示されるあらゆる形式の広告で、「オンライン広告」や「ウェブ広告」と称される事もあります。ウェブサイトなどを検索していると、画像やテキスト・動画などさまざまな種類の広告を目にすると思いますが、それらを総称して「デジタル広告」と呼びます。

デジタル広告には、ウェブ上に掲載されるウェブ広告のほか、動画配信サービスやメール配信サービス、さらにSNS上で表示されるものなど数多くの種類が存在しています。

デジタル広告は、潜在層に向けた認知拡大から購入後のカスタマーリテンション(顧客維持)のフェーズに至るまでのあらゆる段階で消費者にアプローチすることができるうえ、自社のターゲットに絞った適切なオーディエンスに適切なタイミングでリーチすることができるため、さまざまなビジネス目標を達成するための効果的なマーケティング戦略の一形態として認識されています。

冒頭でもお伝えしたように、デジタル広告への支出は世界的に増加を続けており、2024年には7,403億米ドルに達すると予想されています。

※ 検索エンジン、ソーシャルメディア、バナー、オーディオ、デジタル広告、動画広告、コネクテッド TV、アプリ内広告、インフルエンサー広告を含む

 

デジタル広告のメリット

デジタル広告のメリット

デジタルメディア広告のメリットを、シンプルにいくつか挙げてみます。

広告費が安い

デジタル広告費は増加傾向にありますが、それでもマス広告に比べたら、かなりリーズナブルです。広告の表示期間もコントロールできますし、大小さまざまなキャンペーンを実施し、低コストで効果を測定できる点が、デジタルメディアの魅力と言えるでしょう。

特定のユーザーに適切なメッセージで訴求ができる!

デジタル広告ではターゲットをグループ分けして、そのグループそれぞれに最適な広告の作成が可能です。各グループに最も関連性の高いものと判断された広告が表示されるようになります。

デジタル広告の作成と掲載は、難しいというイメージがありますが、コツを覚えてしまえば(もちろんテクニックは必要になりますが)、広告の作成から掲載までがマス広告と比較すると、圧倒的に簡単に進みます。「収益をもっと上げたい」といった設計部分では、専門的な知識が必要になるときもありますが、専門家のアドバイスを受けながら改善することをおススメします。

費用対効果が高いlightbulb- idea

自社の狙ったターゲットにだけ広告を配信することが可能なデジタル広告は、中小企業であっても莫大なマーケティング予算をかけることなく、高い成果を上げることが可能になります。

緻密な設計をすることで、大掛かりな制作費もコストも必要なく、低予算で効果的なマーケティングを展開できます。

スピードが速い 

デジタル広告は、広告制作から掲載まで短期間で実施できる施策です。さらにリアルタイムで効果を解析できるため、効果を把握して、データを見ながら必要な修正まで素早く対応可能です。

オンラインでは、ユーザーの反応も早くなります。広告を見つけて指定されたフォームから申し込みするまで、数分で済むこともあるのです。時間が短縮できるということは、ユーザーにとっても広告主にとってもWinWinになります。

 

デジタル広告の種類と特徴

デジタル広告の種類と特徴

デジタル広告のフォーマットにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があるため、目的に沿った広告フォーマットを選びます。ここではデジタル広告の種類とその特徴を詳しくご紹介します。

検索広告(リスティング広告)

リスティング広告とは「検索連動型広告」と呼ばれる、テキストタイプのデジタル広告です。

検索エンジンに検索語句を入力すると、検索した語句に関連した広告が検索結果の上位に表示されます。海外では「Search Ads」と呼ばれたり、クリック課金制の広告をすべてひっくるめて「Pay-Per-Click Advertising(PPC広告)」と表現します。リスティング広告は広告ではない検索結果と区別できるように、日本では「広告」・海外では「Ads」と表記されます。全世界の検索広告市場は、2028年に4,174億米ドルに達すると予測されています。

ユーザーが検索するキーワードに関連して、広告が表示されるという点が、リスティング広告の大きな特徴です。ユーザーが検索エンジンを使って「検索行動」を行う場合、情報収集・商品、サービスの購入といった「目的」を持っているため、認知から購入にいたるカスタマージャーニーに例えると、「購買意欲の高いユーザー」をターゲットにリスティング広告の効果が発揮されます。

 

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告とは「コンテンツ連動型広告」とも呼ばれるデジタル広告における形態の一つです。スマートフォン向けアプリ、WEBサイト、動画サイト、ブログサイト等のアプリやWEBサイト上などの、「アドネットワーク」と呼ばれる広告枠を提供する無数の媒体に掲載されます。

ディスプレイ広告として代表的なのはGoogleディスプレイ広告(GDN)です。GDNに媒体として登録しているメディアの広告枠に自社のディスプレイ広告が表示される仕組みです。

レスポンシブディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、「具体的なニーズが顕在化していないユーザー」に対しても有効な広告として知られています。ユーザーが見ているコンテンツに関連する内容や、興味関心・年齢・地域等の属性に基づいて広告を配信することができるため、「認知拡大・自社想起」など、ユーザーニーズを顕在化させることができるというメリットがあります。

また、画像や動画などを組み合わせることでより多くの情報を伝えることができ、視覚的にユーザーにアプローチすることが可能です。また、リスティング広告と比較して、費用が安い傾向にあるのが特徴です。ディスプレイ広告市場は、2026年までに2,927億米ドルに達すると予測されています。

 

ネイティブ広告

ネイティブ広告は、広告が表示されるメディアのコンテンツやデザインと同化する形で表示される広告のことです。ユーザーにとって自然な形で表示されるため、「広告」と認識されにくい広告形式なため、ユーザーにストレスなく見てもらえるというメリットがあります。

ネイティブ広告はバナー広告やディスプレイ広告と比較すると、エンゲージメント・CTRが高くなる傾向があり、世界中で人気の高い広告形式です。Business Researchによると、2031年までに世界のネイティブ広告市場は3078億2177万米ドルに達すると予測されており今後も人気の高いデジタル広告の1つです。

Taboola広告のフォーマット (1)
<Taboola広告>

 

ソーシャルメディア広告(SNS広告)

ソーシャルメディア広告とは、Facebook、Instagram、LinkedIn、YouTube、TikTokなどのソーシャルメディア上に配信する広告を指します。(以下、SNS広告)

SNS広告のフォーマットは、テキスト・画像・動画・GIFなど、プラットフォームによってさまざまな形態を取ります。ソーシャルメディアのタイムライン上に、他の投稿との間に自然に溶け込む形で表示される場合もあり、「ネイティブ広告」と称されることもあります。

SNS広告は、ソーシャルメディアを利用しているユーザーの「年齢・地域・性別・興味関心」など、多様なターゲティングが可能です。例えば、フォローしているSNSアカウントのカテゴリや、アカウント登録している職歴や勤続年数、役職に絞った優れたターゲティングが可能だったりします。そのため、狙ったターゲットに近いユーザーだけに的確にアプローチすることができる広告形態であり、潜在的なユーザーに企業・ブランドのメッセージを効率的に届けてくれる優れた広告です。

LinkedInハッシュタグ戦略
<LinkedIn広告>

ユーザーの年齢や目的によって使用しているソーシャルメディアが異なるため、ターゲットに合わせたメディア選定がSNSマーケティング成功の重要なポイントの1つとなります。例えば、年齢層が高いベビーブーマー世代は、SNSを48%程度しか利用していない一方で、ミレニアル世代では、90.4%以上がソーシャルメディアを利用しています。

ソーシャルメディア広告市場における広告支出は年々増加しており、2028年には2,558億米ドルに達すると予測されています。

 

動画広告

世界的に主流となってきているデジタル広告の1つが「動画広告」です。近年、動画コンテンツへアクセスしやすくなったことや、消費者のメディア習慣の変化により、短時間で多くの情報を伝えられる動画広告が、世界中で人気が高まっています。

YouTube広告の詳細

動画広告は「インストリーム動画広告」と呼ばれる、動画プラットフォーム内で再生されるタイプの広告が幅広く使われてきましたが、最近ではウェブやアプリの広告枠で再生される「アウトストリーム動画広告」も増えてきています。
インストリーム広告は高確率で見てもらえる一方で「基本的に動画コンテンツ内でしか配信できない」といったデメリットを抱えているため、配信先が限定されています。一方でアウトストリーム動画広告の場合、動画プレイヤーや動画コンテンツに依存する必要がないことから、ページのどの部分でも広告を配信することが可能です。
また、近年はOTT(オーバーザトップ)と呼ばれる、ネット回線によって配信されるコンテンツ配信サービスに向けた動画広告も非常に人気が高まっています。

世界に目を向けると、動画に慣れ親しんでいる「ミレニアル世代」がビジネスの意思決定主体世代になったことで、動画広告を活用したマーケティング施策の重要性は今後も増していくとみられています。

動画広告市場は2028年までに2,419 億米ドルに達すると予測されています。

 

音声広告

音声広告は音楽配信サービスやポッドキャストなど、音声コンテンツに再生される広告です。近年の音声コンテンツブームも伴い、オーディオ広告市場は2028年までに132億米ドルにまで達すると予想されています。

音声広告と言っても音声だけでなく、ホストやゲストが製品やサービスについて話し合うネイティブ広告や音声広告と同時に表示できるバナー広告など多様な広告フォーマットが存在しています。
リスティング広告やSNS広告と同様、年齢・性別・地域・ユーザーの嗜好性などといった詳細なターゲティングが可能となっています。また、制作コストも動画よりも低い傾向にあることから、海外向け広告の1フォーマットとして活用する企業も増えてきています。

 

デジタル広告とマス広告との違い

デジタル広告とマス広告の違い

配信媒体

マス広告はマスメディアという媒体を通して掲載される広告のことを指します。たとえばテレビCMはテレビの電波を通して放送されている広告です。その他新聞や雑誌、ラジオもマス広告に分類されます。「テレビ・新聞・雑誌・ラジオ」の4媒体に掲載される広告のことです。広告の対象は個人ではなく大衆(マス)であり、不特定多数の人にアプローチすることができる広告媒体です。

一方デジタル広告は、インターネットや動画配信サービスなど「通信」というデジタル化されたコミュニケーションサービスを利用して配信されます。ターゲットとなる対象は「興味・関心」を持ったユーザーで、広告をクリックして「見る or 見ない」は配信先の個人で選択が可能です。

目標設定

マス広告を実施する目的は基本的には「認知・自社想起」が最終的なゴールになります。一方、デジタル広告は、潜在層顧客に向けた「認知拡大」から比較・検討・購買・購入後のカスタマーリテンション(顧客維持)のフェーズに至るまでのあらゆる段階で消費者にアプローチすることが可能なため、目的(目標)によって異なる広告戦略を立案します。

ターゲティング

マス広告は配信媒体の特性として、「不特定多数の多くのユーザー」がターゲットとなります。一方デジタル広告では、ユーザー一人ひとりの検索履歴や閲覧履歴、SNS広告などでは登録したユーザーデータなどを活用して広告配信を行うことができるため、ユーザー興味・関心・職業・年齢・居住地域など自社の目的に合った的確なターゲットに無駄なく配信することができるのです。また、リアルタイムでの広告の成果などのデータを追跡することが出来るため、目標が現時点でどれだけ到達できているのか、或いはどのようなコンテンツや施策が効果的なのかを明らかにすることができます。

費用

マス広告は、広告費用が高額になります。15秒ほどのテレビCMを放送するだけでも、制作費から含めると、数千万円~数億円ということも珍しくありません。それが海外向けマス広告制作の場合の費用は…想像以上だと言えます。

それと比較すると、デジタル広告ではコストを最小限に抑えての宣伝が可能です。通常デジタル広告は、ユーザーがクリックすることで料金が発生するクリック課金制度など、広告の興味のあるユーザーがアクセスしたときのみ費用がかかる仕組みになっています。また、対象となるユーザーがよく利用する場所(たとえば検索結果画面など)のみに表示することも可能です。もちろん、海外向けデジタル広告の場合は、ある程度コストをかけないと効果がイマイチという傾向はありますが、コストを上手くコントロールしながら効率良く顧客を獲得できるのも、マス広告との違いと言えるでしょう。

広告効果測定

先述した通り、マス広告は大衆向けの広告で「認知拡大」をゴールと設定して不特定多数のユーザーに対して広告を配信します。そのためテレビやラジオでは「述べ視聴率(GRP)」や「延べ注視量(GAP)」といった指標で計測しますが、大まかな指標となり一人ひとりのユーザーに向けた細かな効果測定は困難です。

デジタル広告では、Googleアナリティクスや専用の解析ツールを使用することにより、デジタル広告の効果が数値化されます。広告の効果が数値化されることで、広告やサイトの改善点が見つかりやすくなります。さらに、テスト広告といって、同じ商品を異なる広告で宣伝し、どちらがより反応が高いかということもデジタル広告なら簡単に分析できるようになりました。

デジタル広告にアクセスしたユーザーの数やアクセス数、広告から遷移先に移動したユーザーの数など、過去の推移やリアルタイムで把握することが可能です。

 

デジタル広告の有効性

デジタル広告の有効性

デジタル広告は大勢の人ではなく「個人にアプローチできる」という特徴があります。この特徴を念頭において、広告の目的を設定することが大切です。売りたい商品があるものの知名度が低いという場合は、「ブランドの認知度を高めるための広告」を作成すると良いでしょう。売上を伸ばしたいというのであれば、「異なるターゲットに訴求する広告」が必要になります。

このように、オンライン上で活動しているユーザーにアプローチし、利益を上げるために利用されるのがデジタル広告です。これは日本に限らず海外でも同じことで「世界共通の常識」となっています。

  • デジタル広告について知っておくべき「統計データ」についてご紹介します。
  • 2022年7月、インターネットユーザーは50億300万人を突破(世界人口の62.8%以上)
  • 2022年7月、ソーシャルメディアユーザーは47億人を突破
  • 1日のインターネット利用時間は世界平均で6時間58分
  • Googleを使って検索するユーザーの数は、1日あたり35億
  • Googleでの検索量は、毎年約10%~15%増加
  • インターネットユーザーの76.1%はソーシャルメディアを活用してブランドを「検索」
  • 64%の人がオンライン動画に影響されて商品を購入し、購入決定の52%はFacebookにさかのぼることができる

このようにデジタル社会の加速に伴い、世界中でインターネットの影響はとても大きく、企業にとって無視できない存在となりつつあります。企業はブランド認知度を高め、リードを増やし、売上を上げる必要があります。そのためにデジタル広告の積極的な活用は非常に有効であるといえるのではないでしょうか。

 

デジタル広告が今後も重要になる理由

デジタル広告が重要になってくる理由

デジタル広告は、マス広告よりも重要視される可能性を持っています。もしかしたら、マス広告でも十分やっていけると考えている人もいるかもしれません。しかし、時代は確実に非デジタルからデジタルに移行しています。

海外の話になりますが、近年、スーパーボウルやオスカー受賞式、オリンピックなど、多くの人が注目しているイベントの視聴者が低下し続けていると指摘されています。2020年、オスカー授賞式はテレビ放映されましたが、視聴者数は640万人減少し、前年からマイナス20%少なくなり史上最低の視聴数を記録しました。

視聴者が少なくなったということは、それだけテレビでCMを放送しても、以前のような効果が得にくくなっていると考えられます。これはテレビ放送に限ったことではなく、ダイレクトメール広告や新聞、雑誌など非デジタル媒体と呼ばれるほとんどで、同じような現象が世界中で起きています

2024年、インターネットユーザーは全世界で50億人を突破しています。さらに16~64歳の全年齢における1日のインターネット使用時間は5時間以上です。人々の関心が、現実世界からインターネット世界へ移行しているこの流れは、今後も続いていくと考えられています

1日のインターネット利用時間 世界版 2023年1月

 

さいごに

低コストで最適なターゲットにアプローチできるデジタル広告は、海外ユーザーに対してオンライン上でビジネスを宣伝するための優れたプロセスです。大手企業に限らず、中小企業にとっても強力な広告ツールとして活用してくれるはずです。これを機会に、海外向けデジタル広告を検討してみてはいかがでしょうか。

ホワイトペーパー_はじめての海外デジタルマーケティング 目標設定メディア選定代理店選び

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。