GLOBAL MARKETING BLOG

理論的に学ぶ
2019年11月12日

世界水準の多言語サイトとは?
気をつけるべき「多言語サイト制作、10のポイント」

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10_アイキャッチ

世界水準のグローバルサイト制作!
「多言語サイト制作のヒント10」

現在、多くの企業がグローバルサイトの制作に取り組んでいます。これはなぜでしょうか?

ポジティブな面からみれば、日本の製品が世界で高く評価され製造業を中心に大きな売り上げ増を達成していることなどが挙げられます。ネガティブな面からみれば、日本の人口問題が挙げられます。今後日本の人口は急速に減少し、2050年には3000万人減の約9500万人で高齢化率は約40%になると試算されています(総務省報告資料)。つまり、いくら製品やサービスを準備しても「日本国内には買い手が存在しなくなる」という未来が待っているのです。

一方、国連の報告では、世界の人口は2019年の約77億人から2050年には97億人に増加すると見積もられており、多くの企業は将来を見据え海外マーケティングに焦点を移し「グローバルサイトの制作」に取り組んでいるのです。

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10 _日本における総人口の長期的推移
<日本における総人口の推移(総務省報告資料より)

では、世界に向けたサイトを制作する時に何を気を付けてサイト制作に取り掛かればよいのでしょうか?本記事では、世界水準のグローバルサイト制作に向け、Webサイト担当者が気をつけるべき「グローバルサイト制作のヒント 10」について紹介します。

 

グローバルサイトの現状

2010年代、日本の多くの企業がグローバル化の波に乗り、グローバルサイトの制作に取り組みました。しかし、グローバルサイトを苦労して制作した企業の多くが思うように成果を残せずにいます。その理由として、日本の多くの企業が所有するグローバルサイトが日本語のサイトを単に英語にしただけのものであることや、狙いとする国や地域に向けてローカライズされていないこと、またサイトを運営する担当者が最新のウェブマーケティング事情に精通していないことなどが挙げられます。

グローバルサイトを活用した海外マーケティングは非常に効果的である一方、正しい戦略が練られていない場合、全く成果を挙げられないということになりかねません。グローバルサイトの制作によって大きな成果を挙げるためには、高いコンバージョン率を達成できうる高度にデザインされたグローバルサイトを制作する必要があります。

 

グローバルサイトを最大限に活かすために
必要なグローバルサイト制作のTips 10

では、成果が期待できるグローバルサイトを制作する際、どのような点に気を付ければいいのでしょうか。海外での最新の知見と弊社がこれまでに得た知見のなかから、グローバルサイト制作のTips 10を紹介します。

1.企業理念を大きくピックアップする

グローバルサイトの大きな目的の一つは、「ブランド価値を高めること」です。これはどの企業においても当てはまることでしょう。海外の人々があなたのグローバルサイトを訪問した際、あなたの企業が信頼できる企業であるかどうかを確認します。その際「どのような信念のもとで企業運営を行っているのか、商品やサービスを購入するに値する信頼できる企業なのか」を知ろうとします。グローバルサイトのホームページに、あなたの企業の理念や過去の業績を大きくピックアップすることが重要です。以下で紹介しているDENSOのグローバルサイトは、一目見ただけでも未来に向かう力強さを感じさせます。

Webサイト担当者が気をつけるべき「グローバルサイト制作のTips 10」_denso
<企業理念を前面に打ち出したDENSOのグローバルサイト>

 

2.グローバライズする

日本の常識が世界では通用しないことは多々あります。日本人ではなく、世界の人々に向けてグローバライズされたウェブサイトを制作することが重要です。例えば、世界で人気のモデルを取り入れたり、世界のトレンドと関連させた製品を積極的に紹介することで世界の人々の関心を引くことができるでしょう。そのためにも、世界の動きを常に把握したうえでのサイト制作が重要になります。例えばトヨタのグローバルサイトでは、日本ではあまり見かけないトラック型の車が目玉商品として紹介されています。これは、世界の車事情に精通したトヨタの海外マーケティング戦略の1つといえます。

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10_toyota
<海外のトレンドを取り入れたTOYOTAのグローバルサイト>

 

3.ローカライズする

上記では、「世界の人々」という括りで紹介しましたが、国や地域によって、人々の興味関心、経済事情などは異なっています。そのため商品やサービスを特にどの地域に対して紹介したいのかを事前に決め、特定の地域に特化したローカライズされたサイトを制作することでより多くのトラフィックを得ることができます。朝日新聞が中国からのインバウンド客のために作成したWebサイト「潮日本」は、中国人におすすめの観光情報とともに、中国人のみにクーポンを配布することで差別化を図り、中国人からの多くのトラフィックを獲得しています。

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10_ 潮日本

 <中国人観光客向けにローカライズされた「潮日本」>

 

4.ターゲットとする地域で人気の検索エンジンのSEO

現在、世界の検索エンジンの主流はGoogleですが、グローバルサイトの検索順位を上げるためには、基本的には日本語サイトと同様にGoogleでのSEO対策が必要になります。しかしながら、英語でサイトを公開するということは、これまでの国内をターゲットとした日本語サイトと違い、何十、何百倍ともいう競合が世界に存在することになります。付け焼刃のSEO対策をしただけでは、顧客の検索に一切引っかからず、せっかく作ったグローバルサイトが顧客の目に触れずに終わってしまいます。競合との争いに勝ち抜き顧客の目に留まるためには、日本語サイトでのSEO対策以上に、専門的な視点からのSEO対策が重要です。
また、中国ではGoogleが利用できないため、中国で独自に開発された検索エンジンでのSEO対策が非常に重要となります(参照:中国最新の検索エンジン事情)。

 

5.写真や動画を効果的に利用する

現在、世界のウェブサイトのコンテンツで重要な役割を果たしているのは「写真」や「動画」です。商品やサービスを容易にイメージできる写真や動画を利用し、シンプルながらも魅力的なサイトを作成することが大切です。世界的な大企業SAMSUNGの商品紹介ページには、テキストはほとんどありません。しかし、顧客を奥へ奥へと引き込む力があります。また、写真を効果的に活用したグローバルサイトは、サイトの更新が比較的容易にできることから、Web鮮度がSEOに大きく関係する検索エンジンのSEO対策としても、非常に大きな役割を果たします。

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10_sumsun (1)
<世界中で人気のSAMSUNG製品を紹介したWebサイト>

6.翻訳サイト・ソフトに頼らない

最近は、非常に高性能の翻訳サイト・ソフトがありますが、その多くが、情報を正しく翻訳することに重点が置かれています。そのため、そこに強いメッセージ性はありません。特にグローバルサイトのホームページに翻訳サイト・ソフトに頼った文章を利用してしまうと、勢いのないつまらないサイトになってしまい、多くの閲覧者はサイトから離れてしまいます。力強いメッセージで顧客を引き込みたいのなら、グローバルサイト(特にホームページ)の翻訳を翻訳サイト・ソフトに頼るべきではないでしょう。

 

7.キャッチコピーを効果的に利用する

世界的に有名な企業であれば問題ないかもしれませんが、多くの企業は世界での認知度がほとんどない状態です。会社概要を読めば理解できるかもしれませんが、そこまでしっかりと確認する人は、よっぽど興味がある人のみでしょう。多くの人は、グローバルサイトを一目見た印象で、サイトを利用するかどうかを決めます。そこで重要になるのが、キャッチコピーです。印象に残るキャッチコピーを作成し、それを顧客に伝えることで、ブランド価値の向上に大きく貢献します。世界的に有名なお菓子メーカー、ロッテのキャッチコピーは、日本語サイトでは「お口の恋人」、グローバルサイトでは「Your Lifetime Friend, LOTTE」です。キャッチコピーを利用し、短時間に顧客の関心を引くことができれば、ブランド価値の向上に大きな影響を及ぼすでしょう。

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10_LOTTE (1)
<特徴的なキャッチコピーを効果的に活用したロッテのWebサイト>

 

8.グローバルサイトのコンバージョンを焦点化する

グローバルサイト制作には非常に多くの労力が必要なため、多様な成果を求めてしまいがちですが、グローバルサイトを軌道に乗せることは日本語サイトと比べても遥かに難しいといえます。グローバルサイトで何を達成したいのかを再度確認し、そのコンバージョンをベースにグローバルサイトの現状を慎重に分析してください。最近は、気軽に活用できるアクセス分析ツールも販売されていますが、コンバージョン率はグローバルサイト運営の核であるため、その分野に精通した専門家と協力しながら進めることが望ましいでしょう。

 

9.問い合わせページの充実を図る

グローバルサイトにてブランドのアピールができているにも関わらず、お問い合わせページが非常に分かりにくいサイトを見かけることがあります。グローバルサイトの目的がブランド価値の向上だけであれば問題ありませんが、その先の仕事成立に繋げようとするのであれば、企業からの問い合わせページの分かりやすさや、問い合わせの容易さは非常に重要です。様々な情報を提供してもらいたいと思うあまり、非常に長く、ややこしい問い合わせページを抱えるグローバルサイトもありますが、シンプルかつ手軽な問い合わせ方法が掲載された問い合わせページがベターでしょう。

世界的な飲料メーカーのNestleは、顧客からの声を積極的に聞くことで大きな成長を果たしてきた企業の一つです。顧客が気軽に連絡を取れるよう、電話、メール、ツイートなどの多様な手段が準備されているとともに、メールでの連絡の際は、非常にシンプルなフォーマットのみが準備されています。これにより、世界中の人々との繋がりが生まれやすくなり、顧客がなにを欲しているのかが用意にわかるようになります。

Webサイト担当者が気をつけるべきグローバルサイト制作のTips 10_Neslte
<充実した問い合わせページ:NestleのWebサイト>

 

10.色彩感覚やフォントへの認識の違いを理解する

「色」は万国共通に存在していますが、色がもたらす影響は異なるといわれています。弊社のウェブサイトでも、グローバルでみたときに「コンバージョン率(CVR)が高い」のは、何色のボタン?という記事を公開したことがありますが、グローバルサイトを作成するときには、サイト全体やボタンの色、フォントの違いが顧客にどのような感情を呼び起こすのかについても十分に吟味してから使用するとさらに効果的です。

 

終わりに

海外のユーザーを魅了するグローバルサイトは、日本語でのサイト制作以上に多くの壁が立ちはだかることを理解していただけたと思います。しかし、今後の日本の人口推移・マーケットを考慮すると、グローバルサイト制作は必須ともいうべき施策の1つになっていくのではないでしょうか。

サイト制作バナー

 

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。