GLOBAL MARKETING BLOG

ピックアップ 新着トレンドを知る
2021年03月16日

「WeChatとLINE、共通点と違い」は?
~アジア2大スーパーアプリを紐解こう~

皆さんは普段どのSNS(ソーシャルメディア)を一番よく使いますか?

2021年3月1日、日本ではZホールディングスとLINEの経営統合が完了したと発表され、大きなニュースとなりました。今回の経営統合でZホールディングスとLINEを合計した時価総額は日本のIT業界の巨人「楽天」の約2.2倍、売上高は1.05倍となりました。また時を同じくするように、3月12日、楽天に対して日本郵政が1500億を出資するというニュースが報じられ大きな話題となりました。この日本郵政の出資とともに中国巨大IT企業のテンセント(約650億)とも資本提携をしており、広大な中国インターネット市場進出への突破口となるのではないかとみられています。

現在、日本のIT業界は大きな再編期にあります。このダイナミックな再編の背景には、全世界にまたがるメガプラットフォーマーGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)や中国ハイテク3大企業BAT(Baidu、Alibaba、Tencent)といったグローバルテックジャイアントの巨大化、その市場独占に対する危機感があります。今回の再編劇も、これからZホールディングスや楽天が、GAFAM・BATというメガプラットフォーマーと世界のIT業界でしのぎをけずる、その号砲のひとつとみることもできるかもしれません。

では、このIT業界のダイナミクスの中枢に位置し、なおかつ皆様とも馴染み深いコミュニケーションアプリについて質問です。新生Zホールディングスの「LINE」、中国テンセントのスーパーアプリ「WeChat」。同系統のグリーンを使ったアプリアイコンがお互いに似ている2つのアプリの違いを、ご存知ですか?

今回は、私達日本人にとって馴染み深い「LINE」と、中国ITジャイアントのテンセントが提供する「WeChat」という2大コミュニケーションアプリの共通点・違いをご紹介します。

 

「LINE」とは?

LINEは、ユーザー同士であれば「国内・海外、通信キャリア」を問わず無料で音声・ビデオ通話・チャットが利用できるコミュニケーションアプリ。ニュース・タイムライン(ニュースフィード)、マンガ、ウォレット、音楽など多岐の機能を備えたソーシャルメディアプラットフォームで日本国内の月間ユーザー数は8600万人に達します。

グローバルにみても、日本に加えて「タイ・台湾・インドネシア」における総月間ユーザー数は1億8500万人、LINE Pay登録ユーザーは5000万人を突破し、世界230以上の国と地域で利用されています。

国別LINEユーザー数を見ると、台湾では2018年にサービスが開始されて以来、月間アクティブユーザーが2100万人を超えるなど現地で人気の高いアプリとなっています。台湾の人口が2400万人であることを考えると、国民の9割近くの人がLINEを使っていることになります。また、タイでも同様に2020年第3四半期には月間アクティブユーザーが4700万人に達し着実に市場を拡大しています。タイの人工は7000万人弱なので、約6割強のタイ人がLINEを使用していることになります。一方で、インドネシアでは2017年第2四半期の3800万人から1300万人(インドネシア人口2億6700万人)に減少するなど、国によってLINEの人気度は異なる傾向をみせています(参考:Business of Apps)。

 

「WeChat」とは?

wechat logo

Wechatは、2011年から中国でサービスが開始されたメッセージアプリです。「メッセンジャー機能」と「ソーシャル・ネットワーキング・サービス機能」という2つの機能が融合している点が大きな特徴です。中国全土において、ほとんど生活の必需品・インフラともいえるSNS/ソーシャルメディアプラットフォームです。

LINE同様のチャット機能はもちろん、「ショッピング、チケット予約、オンライン、オフライン決済、配車や飲食店での注文から決済、税金の申請、オンライン診療、健康格付けアプリ」など人々の生活に必要なありとあらゆるサービス・機能がアプリ内で完結することができ、世界でも有数の「スーパーアプリ」へと進化し続けています。

20以上の言語と200の国と地域をカバーし、世界の月間アクティブユーザーは12億人を突破するなど、2020年に世界で5番目に使用されたソーシャルアプリとなりました。また中国国内をみても、中国モバイルトラフィック全体のうち34%を占めるなど中国モバイルインターネット時間の約30%がWeChatに費やされているといわれています。


<出典:eMarketer>

数ある機能を備えるスーパーアプリですが、WeChatの機能で中国国内で最も使用されているのは「メッセージのやりとり、つまりチャット機能」です。では、同じくメッセージアプリとして日本人にとって馴染み深いLINEの機能と似ている点はあるのでしょうか?

 

「WeChat」と「LINE」の共通点

メッセージングアプリである

WeChatとLINEが共通する第一の点、それは共にメッセージングアプリであるということ。

WeChatもLINE、文字でチャットしたり、スタンプで表情や感情を伝えたり、無料電話をしたりとコミュニケーションをリアルかつ端的に行えるという特長があります。メールやタイムライン投稿などのやりとりと比べて、リアルタイムで簡易なおしゃべりをしているような感覚で、気軽に利用できる形態です。

多言語対応している

どちらも多言語対応しており、グローバル展開しています。

WeChatは、中国語のほか、英語、日本語、スペイン語、韓国語、イタリア語など約20言語に対応しています。LINEも、日本語、英語、中国語、アラビア語、イタリア語など全17言語に対応しています。どちらも世界を網羅するのに足る多言語アプリであり、そのグローバル展開を後押ししています。

企業がPRに活用できる

WeChatもLINEも、企業が公式アカウントを取得しプロモーション・デジタルマーケティングに活用することができます。

例えば、企業のWeChat公式アカウントでは、ユーザーにメッセージを送信したり、企業が自ら独自のメニューを作成・設置し、自社コンテンツに効果的に誘導したりすることが可能です。

一方LINEでは、「LINE@」と「LINE公式アカウント」という2種類があり、LINE@はどちらかというと小規模・中規模企業向け、LINE公式アカウントは大企業向けという形になります。こちらもWeChat同様、ユーザーへメッセージを送ることができるほか、タイムライン投稿やクーポン配信など多彩なメニューが揃っています。企業のSNSマーケティングに活用しやすいという点で、2つのアプリは共通しています。

 

「WeChat」と「LINE」の違い

では、WeChatとLINEはどのような点で異なるのでしょうか。今度は違いについてご紹介します。

利用ユーザー数の違い

登録ユーザー数で比較してみましょう。WeChatの月間ユーザー(MAU)数は全世界で約11.5億人、対してLINEの月間ユーザー数は全世界で1億6400万人、日本では8400万人に達しています(2019年時点)。WeChatは中国全土をカバーすることで総人口のうち多くの人々がWeChatを使用していることを考えると、中国以外の地域での浸透度は高くないと考えることができます。一方で、約1億人のLINEユーザーが日本以外のユーザーであることを考えると、LINEは少しずつ着実に世界的なシェアを高めているといえるかもしれません。

WeChatはコミュニケーション機能が豊富

WeChatもLINEも、様々な機能でコミュニケーションを取ることができる点は共通していますが、WeChatは、中国の人たちの国民性が反映されておりより親密なコミュニケーションを取ることのできる機能が豊富にあります。

例えば、Wechat8.0の最新バージョンで、チャット時に使われるスタンプはさらに「爆弾」や「花火」の激しく可愛い表情スタンプ機能がリリースし、よりコミュニケーションが活性化できます。しかも、LINEと違って、すべてのスタンプは無料です。また、WeChatユーザーの個人ステータスの設定機能も追加し、例えば勉強中、食事中、休みなどの選択肢があり、いつでもステータスの変更ができます。

さらに、WeChatには「既読機能」が付いていないことも有名です。

 

さいごに

世界的に人気なSNSといえば「Facebook・WhatsApp・Instagram」などが最初に思いつきます。しかし一方で、アジア地域に目を向けてみると、そこには独自の発達を遂げるローカルSNSともいえるプラットフォームが多数存在します。そうした”ローカルプラットフォーマー”ともいえる「WeChat」と「LINE」は日々のコミュニケーションに欠かせません。また、同時に企業のマーケターにとっても、アジア諸地域で愛用される2つのアプリを使いこなすことで、的確なデジタルマーケティング施策に繋げることができるといえます。

日本とは異なる世界のSNS事情に関わるグローバルマーケティングでお困りのことがありましたら、ぜひ私たちにお申し付けください。

グローバルSNS広告バナー

吉田 真帆

吉田 真帆 マーケティング部 プランナー

コンテンツ・SNS・メールマーケティングを統括しています。 オーストラリア永住権を取得したにも関わらず、思いもよらず日本に帰国。日本9年を経て、現在はシンガポールからフルリモート中。