GLOBAL MARKETING INSIGHT

CEO対談
2018.3.29

「そうだ、ベトナム行こう」で決めた起業から10年。
まだまだASEANは、日本企業が目指すべきフロンティア!

対談者

アイコニックグループ
代表取締役社長 CEO/Founder
安倉 宏明 様

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アジアに特化した転職エージェント「ICONIC」の創業者が語る、今後のアジアの動向

3年間のサラリーマン時代を経て、起業のためベトナムへ

山岸 - 今回は、アジアで働く人々を中心に就業支援を行っているグローバル転職エージェント「アイコニックグループ」の代表取締役社長・安倉さんにお話を伺っていきます。まずは起業にいたった経緯などについてお聞かせください。

安倉 - 弊社はベトナムのホーチミンで創業しまして、今年(2018年)でちょうど10年になります。

山岸 - まずベトナムで起業されたんですね。

安倉 - はい。日本の企業は国内で起業してからアジアに展開することが多いと思いますが、弊社は私が11年前に単身ベトナムに渡り、現地で起業しました。

山岸 - なぜホーチミンだったんですか?

安倉 - 実は、起業するまでは、ベトナムに強いこだわりがあった訳ではないんです。日本で産まれ育って、何となく留学したりひとりでNYに行ったりして学生生活を過ごしているうちに、「海外の人とふれあうのって刺激的で面白いな」と思うようになって。それで商社の海外営業などを受けて、新卒で「ベンチャー・リンク」という会社に勤めたのですが「3年で起業しよう」と予め決めていました。

山岸 - 「ベンチャー・リンク」ですか、有名な。

安倉 - はい。豆腐屋さんの業態を作って出店していくという、非常にドメスティックな仕事をしていました。

山岸 - すごく日本的ですね。

安倉 - はい。3年目になった時に「このままこの仕事を続けていくべきか」と考えて、やはり自分で事業を起ち上げるために退職しました。でもそれまで一心不乱に仕事に打ち込んでいたので、プライベートもなければビジネスアイデアもなくて。

山岸 - なるほど(笑)。

安倉 - 当時は25、26歳くらいで若かったですし、この先の自分の人生をかけたいと思うような仕事とは何かと考えた時に、「人口が減って行く日本で起業するより、これから先、大きく成長していく国でビジネスをした方が面白そう」と単純にそう考えました。

山岸 - それ、よく分かります。

安倉 - と言っても、お金も人脈もノウハウもない、あるとすれば情熱だけでした。これから伸びていく人たち、伸びていく過程で色んなものが必要になってくる人たちにサービスを提供することで、その人たちの生活レベルを上げてお互いwin-winになれたらと思ったんです。

山岸 - それがベトナムだった。

安倉 - はい。たまたま半年前にベトナムに旅行に行ったのを思い出して、「そうだ、ベトナム行こう」と。

山岸 - あれ? どこかで聞いたようなフレーズですね(笑)。

実際に行動に移したからこそ「勝てる」と実感

安倉 - 当時もきっと、「これから市場が縮小する日本を出て、海外に行こう」と考えた人は大勢いたはずなんです。でも実際に会社を辞めて行動を起こした人は少なかった。

山岸 - 行動に移せる人って少ないんですよね。

安倉 - 私は「皆がやらないからこそ勝算がある」と思ったんです。もちろん海外で起業するのは相当大変だと思いましたが、苦労があるのは日本でも同じ。しかも海外といってもたくさんの国がある中で、ベトナムで起業する日本人と考えるとさらに少なくなる。そうした意味でも「勝てる」と思ったんですね。

山岸 - ハノイでホテルを経営している友人がいますが、彼も同じことを言っていましたね。彼のところにも何人も日本人が来て、ベトナムでの会社経営について聞いていくのですが、99.9%の人が話を聞くだけで何も行動を起こさないと。

安倉 - ですよね。私は旅行で訪れてから半年後にベトナムでの起業を思い立ちましたが、その時はただ場所を選んだだけで、実は、どんなビジネスをするかも固まっていませんでした。出資金を他から募ることは考えていなかったので、会社員時代の3年間で貯めた300万円をあてました。

山岸 - 「ベンチャー・リンク」さんは、かなり仕事がハードだったと聞きますよね。

安倉 - 夜中にミーティングが入っていることも普通で、今振り返ってみると、かなり生産性の低い働き方をしていました。3年間、合コンもせず働き通しでしたよ(笑)。「ベンチャー・リンク」に入って良かったのは、仕事の仕方やテクニックというより根性が育てられたことですね。これは大きいと感じています。

山岸 - 気合とかですかね。

安倉 - ビジネスを立ち上げるのには情熱が必要ですし、その時点では唯一無二のビジネスだったとしてもやがては後進が出てきますから、「やり切るぞ」という精神面の強さがないと続けられないと思うんです。

山岸 - それはそうですよね。

“鉄道王”は諦め、人材サービスで起業!

安倉 - ベトナム行きを決めたもうひとつの理由が、物価の安さでした。今も安いですが当時はもっと安くて、頑張れば外国人でも月に4万~5万円の生活費で済んでいたと思います。300万円あれば多分、家賃の安いところに住んでローカル店で食事をしていれば、売上がゼロだとしても2~3年は生き延びられるなと思いまして。いかんせん、何も決まっていなかったので。

山岸 - なるほど。

安倉 - 幸い、現地に知り合いの会社があったので「1年だけ何かさせてください」とお願いして、その間に色んなことを考えて、自分が情熱を捧げられると思ったのが人材サービスだったんです。実は最初はインフラに興味があったので、「鉄道を引いてベトナムで鉄道王になるぞ」なんて友達に言っていたのですが、調べたら地下鉄の線路を1m引くのに1,000万円くらいかかると分かって、「これじゃ30cmしか引けないな」って(笑)。

山岸 - あ、それは……プラレールみたいな(笑)。

安倉 - しかも300万円の資金を全額かけて線路を30cm引いたら、生活費もなくなっちゃうし会社が立ち上げられないじゃないですか。そもそも、引き方も分からなかったですし(笑)。

山岸 - 根本的なところですね(笑)。

安倉 - それで、「社会は人でできていて、人がいるからさまざまな技術やサービスが生まれて、プロダクトも生産されていく」、「自分には技術も営業のノウハウもないけれど、能力のある人を日本から引っ張ってくることができれば自分がベトナムにいる価値がある」と思ったんです。調べてみると、人材紹介というビジネスなら自分にもできそうだと。そうして2008年にまずは日本人から、そして1週間後にはベトナム人の人材紹介も始めました。ホーチミンからスタートして、現在はベトナムは他にハノイ、インドネシアはジャカルタ、チカラン、マレーシアはクアラルンプール、そしてシンガポール、日本も含めて5カ国7拠点で運営しています。

質の高い人事コンサルも軌道に

安倉 - 2013年からは、ベトナムに進出してくる日本企業の現地での組織人事や、アジアの企業の人事制度の設計を請け負うコンサルティング業務も開始しました。ちなみに最初にコンサルをさせていただいたのは、某大手製造業さんでした。

山岸 - 超大手じゃないですか!

安倉 - スタートして最初のお客様が超大手ということで、不安もありましたが、弊社には優秀な社員と人材紹介事業で集めたアジア人材のデータベースがあるのだから「やれるはず」という思いはありました。実は弊社で人事コンサル事業を始める前、他社の人事コンサル担当のスタッフの方と何人かお会いしたのですが、彼らにはないアジアの人材についての豊富な知識が弊社にはあるのだから、やれないはずはないと。

山岸 - そうですよね。

安倉 - そうして試行錯誤しながらコンサルを続けてきた中で、直近3年ぐらいでクオリティが高まって、今ではベトナムの人事コンサルならどこにも負けないという自負があります。2016年からはインドネシアでも同事業を始めて、自社で育成したベトナム人社員が各企業様をコンサルティングすることも可能で、ローカライズ化も進んできました。
各社の賃金体系や福利厚生の内容、経営課題まで把握をさせていただき、コンサルティングを行っているので、集まった情報は企業を特定しない形で人材紹介や採用の領域に生かせます。こうしたアナログな方法で深掘りした価値の高い非公開情報は、一般的な公開情報が膨大に蓄積されるGoogle等の大企業さんが苦手とするものですから、今後もそれらを使って新しいサービスに落とし込んでいきたいと思っています。

企業も人も、動き続けなければ負ける

山岸 - 海外における人材採用は、日本企業が進出する際の大きな困りごとの1つですよね。人に関わることって、日本の担当者が現地に行っても最良の選択ができるかというとできないですからね。

安倉 - ローカライズの悩みはどの企業さんも持っているようですね。弊社としては、日本企業が日本から海外に出て行く際のサポートがもちろん本業なのですが、今後は海外から優秀な人材が日本に来る際のサポートもできればと思っています。「交換」は経済の本質であり、弊社にその仕組みができている以上、人もモノも情報もお金も全部、動かし続けないと負けてしまうと思うんです。最近、これまで以上に時代の流れが早くないですか。

山岸 - うちもITでやっていますけど、本当に変化が早くて“半年前には予想もつかなかった展開”によく直面しますよ。

安倉 - 目まぐるしいですよね。スマホシフトも激しくて、それによって人の行動体系も商習慣もまったく変わってしまっている。5年後、10年後にはもう、フリック入力さえしなくなって、すべて音声認識になっているかもしれない。サービスもまったく変わってきますよね。

山岸 - 変わるでしょうね。

安倉 - そうするとインターネットでの情報入手が検索じゃなくてTL(タイムライン)メインになるかもしれない。例えば、Twitterのほうが情報の伝達は早いじゃないですか。

山岸 - TLに流れてきますから、やっぱり早いですよね。

安倉 - 中国においては、企業コンテンツを作らずにWeChatのアカウントだけ作る企業も出てきているとか。そうなると、広報の仕方をはじめ全部が変わってくる。そうした分かりやすい例以外にも社会はどんどん変化しているので、企業も人もできる範囲で動き続けるのが宿命かなと。

「iconicJob」は、アジアや日本での細かな人材ニーズに対応

山岸 - 御社の求人サイトには、海外で働きたい日本人が集まっていますよね。

安倉 - そうですね、「iconicJob」はまさにそうした人にターゲティングしたオウンドメディアです。2014年から自社のエンジニア、ディレクター、デザイナーで運営しています。

山岸 - 弊社もフィリピンにラボを作ったので、今後はそこを拠点に南に降りていこうと考えておりまして。友人がいるベトナムにも将来的に会社を作っていこうと思っているのですが、やっぱり誰がやるかが問題で、自分があっちに行くわけにはいかないじゃないですか。そうすると、ガッツがあるスタッフにとりあえず行ってもらわないと立ち上げられないと思っているんです。立ち上げはやっぱり、“頭より体を使う”というような人間にやってもらいたいんですよね。

安倉 - そうした人材が社内にいればいいですけど、なかなかいない。それこそ弊社にお任せください(笑)。海外で立ち上げの人材が欲しい、すでにある海外拠点の人材管理をしたい、海外から国内で働いてくれるエンジニアを呼びたいなど、細かなニーズはたくさんあります。最近では、中国系の企業が日本に来て拠点を立ち上げるために、日本人のエンジニアがほしいという依頼もありました。

山岸 - 現地の企業が現地で雇用する人材がほしいといったこともありますよね。今後、市場はさらに伸びそうですね!

“グローバル人材”の市場は、これからが面白い

山岸 - 日本人で海外にチャレンジしたい人って、海外で大きな成功を手にしたいというような人ですか? そうなると年齢的には若そうですが。

安倉 - 年齢的には20代から60代くらいで、性別を問わずいますね。60代では「元駐在員でした」とか、海外経験がある方も多いです。でも「理由はないけど、とにかく海外に行きたい」という人も相当数いますよ。

山岸 - 年齢は意外と広いんですね。

安倉 - “グローバル人材”って狭義と広義のギャップが大きい言葉で、私は広義の意味では英語が話せなくても海外に多少でも興味があればグローバル人材だと思っています。狭義ではイチローやダルビッシュのように、どこに行っても野球さえあれば活躍できるというような人材。例えばイスラエルに行ってすぐ仕事ができますか?と言ったら、無理だと思うんですよ、普通の仕事は文化依存しますから。だからイチローやダルビッシュのように、世界のどこに行ってもすぐに活躍できる人なんてそんなにいない。

山岸 - 弊社でも、社内には外国籍のスタッフが何人もいてホームページ制作などは翻訳から対応していますが、私もグローバル展開する際に「もし自分が外国語ができなければ、できる人を雇えばいい」と考えています。

安倉 - 弊社と取引している上場企業や成長企業の中で「海外のマーケットを取らないと決めている会社」は感触的には1~2割もないです。裏を返すと、少なくとも7~8割の企業は「グローバルや海外に関係なくはない会社」なんですよ。そういう意味でも、“グローバル人材”はとても多いと思っています。

山岸 - そうですね。ちなみに弊社では、セミナーなどをやっている中で「海外に行かないなら、これからも行かないという覚悟を決めて戦ってください」と話しています。と言うのも、今は日本国内で日本人向けにモノを売っていれば経営がなりたっているとしても、10年後・20年後、日本に海外からもっとたくさん人が来たり住むようになったりした時、海外の人にモノを売る準備ができていなかったとしたら、その時に対策を始めたのでは遅いですよねと。だからうちも御社も、市場としてはこれからが面白いですよね。

安倉 - 面白くなると思います。

外国人のマネージメントはリスペクトが必須

山岸 - 日本企業が外国人スタッフを雇うとき、やってはいけないことってありますか?

安倉 - 大きく分けると、日本で日本に来ている外国人を雇うパターンと、現地で現地の人を雇うパターンがあると思うのですが、日本人が外国人をマネージメントする際に気を付けたいのはまず「フラットに接する」ということですね。

山岸 - それはなんとなく……。

安倉 - 私たちは「ICONIC WAY」という独自の理念の中に「Always respect」(常に敬意を払う)という言葉を入れているんです。常に感謝の気持ちを持ち、相手を敬おうと。

山岸 - 確かに、あるかもしれないですね。

安倉 - 国が違うとプロトコルが違うというか、物事のとらえ方が違ったりするんですよね。例えばベトナムでは、エレベーターから降りようとすると乗り込んで来る人と必ずぶつかるんです(笑)。でもそれは日本での「降りる人が先だ」というルールに従うからで、ベトナムでは道を歩いていてぶつかっても彼らが怒ることはないんです。彼らにとってはぶつかることは失礼なことではないから、謝ることも怒ることもしないんですね。それが良いか悪いかではなくて、生きるプロトコルが違うだけの話で、そうした小さな違いがたくさん重なるんですよ。

山岸 - なるほど!

安倉 - 職場でも同じで、数学の近似値のように「近いけれどぴったりとは合わない」というようなことがたくさん起きる。それがその人の個性の問題なのか、国の文化の問題なのか、言語の問題なのか、生まれ育った地方の問題なのかなど、それぞれを切り分けないとマネージメントの方向性を間違えることにつながりますね。

山岸 - 弊社でもよく日本企業から「海外の良い人材がほしい」と言われるのですけど、私の経験としては雇用する前に日本企業のマネージャーが海外人材の扱い方を勉強しないと、せっかく良い人材が来ても出て行ってしまうと思うんですよね。

日本のブランド力は急速に落ちている

山岸 - とは言え、まだ日本ブランドは健在だと思うのですが、これが5年後、10年後になったら……。

安倉 - ベトナムで創業して10年目ですが、日本のブランド力は落ちているように感じますね。それはこの10年間でめちゃくちゃ感じます。

山岸 - 本当ですか!

安倉 - 2000年頃ってまだ日本はアジアで圧倒的ナンバーワンだったのに、今では中国がナンバーワンになり、日本は後塵を拝していますよね。それでもまだオシャレなイメージはあるようなので、上手くブランディングすればまだ何年も行けると思いますけど、このままではマズイと思います。

山岸 - 本当にそうなんですよね。ここで自分たちがアジアの中でどんな位置にいるのかを確認し直して、アジアと足並みをそろえてやっていかないと、10年後にはアジアの国が成長して日本なんてもう見向きもされないかもしれない。そういう意識を皆が持たないと。

安倉 - テクノロジーの進歩も目覚ましいですからね。これまでにも、イギリスで産業革命が起きて“世界の工場”がアメリカに移り、それが日本へ、中国へと移って、さらにベトナム、インドネシア、タイに移ってきています。ここがラスト世代だと言われているんですよね。

山岸 - ロボット化が進んでAIがさらに進化すれば……。

安倉 - やがて労働主導型のビジネスモデルはなくなってしまうでしょうね。もっと言うと世界中で急激に高齢化が進んでいるので、日本以外の先進国の未来も実は厳しい状況ですよね。短期間で超高齢化した日本の出生率は1.45(2017年)なんですが、アジアでも少子化が深刻で、ベトナムは新興国ながら2017年の時点で1.81と2を割っています。中国は1.6、台湾はなんと調べたら227の地域の中ではワースト3の1.13なんですよ。韓国は1.26くらい、香港が1.19くらいでした。

山岸 - そうなんですか。

安倉 - アフリカや中東の一部の国々以外はほぼ2前後なので、世界は全体的に人口の延びが止まってきていて、急激に高齢化するのは確実です。韓国も台湾も、これから日本のように成長することはないでしょう。

山岸 - 危機的ですね。

安倉 - でも、単純に高齢化した日本はダメでASEANは未来があるかというと、実はそんなことはありません。そうした中で私たちはどう生きていくのが良いのか。当面、ASEANは日本企業が落としてはいけないフロンティアであることは間違いありませんが。

山岸 - ASEANは最後の砦みたいな感じですね。

海外進出は「儲かるから」より「ハマりそうだから」やる!

山岸 - 最後に、まだ海外に出ていない人たちに向けて、熱いコメントをお願いします。

安倉 - あまりないんですけどね(笑)まだまだ自分がもっと頑張らなければいけない立場なので。

山岸 - それを言ったら自分もそうですけど(笑)。でももう海外で活躍されている安倉さんのような人がコメントを発信することで、背中を押される人もいると思いますのでぜひ!

安倉 - まったくこれまでの話と視点は変わるのですが、一個人の人生として見た時、知らない国で知らない人たちと飯を食って、共に夢を追うという人生は絶対にオススメです。儲かる・儲からない、経済がどうなるとかは抜きにして、良いですよと言いたいですね。

山岸 - それは分かりますね。

安倉 - どちらかというと「儲かるから」というよりも、「ハマりそうだから」やるっていう感覚のほうが正解かなと思っています。

山岸 - お金よりも、楽しいかどうか。アジア進出ってやっぱり、儲かるかという視点があるとは思いますが、根本はそうじゃないんですよね。

安倉 - 結局はそれがお金にもつながってくると思うんです。100年前なら移住してその国に溶け込まないとやっていけなかったと思いますが、今はもう、クロスボーダーのような人間が増えているので、国というプラットフォームに依存していないんですよ。

山岸 - そうですね!

安倉 - どっちかというともはや、国よりもGoogleに依存していますもん(笑)。

山岸 - 弊社なんて、Googleがなくなったら仕事がなくなっちゃいますから(笑)。

安倉 - それくらい国と企業の役割がどんどん変わってきている中で、今後は世界中で国にとらわれない生き方が進んでいくと思います。

山岸 - グローバルに仕事をするということが、必ずしもその国に行かなければならないとは限らないですし、その国の人になるというのとは違いますからね。

安倉 - 今はもう、土地のコミュニティよりFacebookのコミュニティのほうがつながりが強かったりする。「最近会っている気がするとけど、実際に会うのは3年ぶりだね」なんてことも。

山岸 - よくあります(笑)。

安倉 - 土地による制約はどんどん減っていて、居酒屋で飲んでいたらベトナムにいる知人から「奥さんが帰ってこないんだけど、どこにいるか知らない?」とLINEで電話がかかってくるとか。昔ならこんなことで国際電話をかけるなんてありえなかったですよね。だから、「海外に出たほうが面白いよ」って言いたいです(笑)。

山岸 - 本当にそうですよね。私もアメリカに10年行っていましたが、国をまたいでアメリカに行くより、むしろ大阪に行くほうがハードルが高かったりします(笑)。
安倉さん、本日はありがとうございました!